「出生前診断」の版間の差分
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'''出生前診断'''(しゅっせいぜんしんだん、しゅっしょうまえしんだん)とは、[[胎児]]の
==目的==
医療行為は診断(評価、assessment)と治療(介入、plan)から成り、この二者が反復される。胎児を対象とした医療にも出生前診断(胎児診断)と胎児治療の2つがある。
出生前診断の目的はいくつかある。第1に[[妊娠]]の有無の診断、すなわち胎児が存在しているか、生存しているかの判断である。第2に胎児の位置(胎位)や向き(胎向)、あるいは胎児環境が危険なものでないか(たとえば前置胎盤や常位胎盤早期剥離など)の評価である。これらは安全な妊娠分娩を迎えるために重要な診断となる。
第3に、その時点における胎児の状態評価、すなわち元気でいるか、well-beingでいるかの判断で、特に分娩進行時の評価が重要となる。分娩時は刻一刻と状態は変化していくので、連続的な生体モニタリングが理想的である。▼
▲第
▲第4に、胎児に遺伝疾患がないかの評価である。この胎児異常の有無を評価することを「狭義」の出生前診断とすることもある。
==歴史==
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==検査方法==
最も一般的なものはエコー([[超音波検査]])や胎児心音測定で、産科医にかかっていれば必ず受ける検査である。妊娠10 - 14週で調べる胎児の[[うなじ|項部]]浮腫(NT)などは胎児の[[染色体異常]]等の目安とされ
===胎児超音波検査===
胎児超音波検査には、胎児の発育や胎盤、羊水量をみる一般検査、nuchal translucency(NT)などにより病気のリスクを評価するスクリーニング検査、頭部や心などの病気を調べる精密検査という3つのレベルがある。
たとえば妊娠12週で胎児の超音波像を描出するとする。通常の検査(一般検査)では心拍、胎動の有無や、胎齢確認のための頭臀長(CRL)を計測することが主な目的となる。同時にまったく同じこの画像から、胎児の後頚部の浮腫(NT)を計測して染色体異常のリスクを推定するスクリーニング検査を行うことも可能である。さらにもし胎児の腹部に臍帯ヘルニアを思わせる膨らみが観察されれば、生理的臍帯ヘルニアは妊娠10-11週くらいまでしか認められないという専門的な知識があって、初めてこ
同じ時期の同じ超音波断層法を用いても、どのレベルまで診断しようとするか、発生学、遺伝学、超音波医学にどこまで専門的な知識をもっているかによって、「診断」の意義は大きく変わってくる。目的と性格の違う3つの検査が混同され一連のものとして行われているところに、胎児超音波検査の問題があると考えられる。
超音波検査で胎児異常を診断する目的には以下の
エコー([[超音波検査]])は、通常の妊婦検診で実施される。{{要出典範囲|date=2012年9月|それにより、胎児の染色体異常の可能性もある程度分かる。しかし、出生前診断になるという認識は薄く、半数の産婦人科医が、夫婦の同意を取らずに検査しているという。}}そこで[[日本産婦人科学会]]は、出生前診断になり得ると位置づける指針案をまとめた。エコーで染色体異常の可能性が指摘された場合において、最終的に異常だった確率は実はわずか数%から30%程度とされている。
==生命倫理==
[[母体保護法]]の文言を厳密に解釈し、出生前診断の結果としての人工妊娠中絶を刑法上の[[堕胎罪]]に該当すると主張する少数派意見も存在するだろう。}}
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