「小屋瀬鈴木家」の版間の差分
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[[天正]]18年（[[1590年]]）、[[小田原征伐]]で[[後北条氏]]に従った江梨鈴木氏は北条家と運命を共にし、200年以上にわたって伊豆江梨を支配した江梨鈴木氏は滅亡した。このとき、江梨城主・鈴木繁脩の弟、鈴木繁氏も敗走し、[[家臣団]]20余名と母子を率いて船で[[蝦夷地]]（[[北海道]]）へ落ち延びようと試みた。しかし船が途中の[[陸奥国]][[三陸沖]]で難破したため、陸奥国糠部郡葛巻村小屋瀬（現・岩手県岩手郡葛巻町小屋瀬）に落ち着いた。鈴木繁氏の母は[[北条氏政]]の娘とされ、小屋瀬に下った後は子弟に論語や五経を教えたと云う。
小屋瀬まで従った鈴木繁氏の家臣に、土屋次郎義真、三好弥九郎定親、中村茂左衛門義宗、油井徳仙、千葉平右衛門友行、林勘兵衛貞景、回立金六頼雅、刻嶋彦助正信らがいた<ref>葛巻町郷土史年表（葛巻町誌編纂委員会）</ref>。また、小屋瀬まで従った家臣は部下の[[武士]]7名、[[郎党]]24名ともいわれる<ref>河岡武春『海の民
鈴木繁氏は小屋瀬に下ると家臣たちとこの地に屋敷を構えて土着し、小屋瀬鈴木家の祖となった。同家は[[江戸時代]]を[[南部藩]]（後に[[八戸藩]]）に仕えて小屋瀬の[[地頭]]として続き、多くの名子（荘園領主や名主に隷属した下層農民）を抱えたという<ref>河岡武春『海の民
[[鈴木貢父]]（主税、新蔵、[[諱]]は歛）は、[[享保]]17年（[[1732年]]）に鈴木繁顕（助右衛門）の子・鈴木繁懿（助十郎）の七男のうちの六子として小屋瀬で生まれ、[[宝暦]]12年（[[1763年]]）に京都に遊学して香川南洋から教を受け、[[寛政]]8年（[[1796年]]）から[[盛岡藩]]初めての儒医（[[儒者]]と[[藩医]]を兼ねる）として仕えた。医学の専門家として内科を得意とし、著書に「治国法言」「儒医苗字帯刀御免創始由来記」などがあり、政治に関心があった。妻ははじめ[[三好氏]]の娘、後に遠藤氏の娘で、子は三好氏との間に重之など1男3女があった。[[文化]]5年（[[1808年]]）に病没し、[[盛岡市]]の[[報恩寺 (盛岡市)|報恩寺]]に葬られた<ref>葛巻町誌一巻（葛巻町誌編纂委員会）</ref>。
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鈴木繁懿（助十郎）の長男・喜右ェ門某の次男であった鈴木耕水（子父、諱は伝七）は、[[寛保]]2年（[[1742年]]）に生まれ、二十歳頃江戸に出て[[諸侯]]（諸大名）に仕えた。のちに絵画、文学に秀で、耕水と号して寛政前後に江戸南八丁堀に住み、1000余名の子弟を指導し名声を得た。耕水は生涯妻帯せずに学道を歩み、文化9年（[[1812年]]）2月18日に病のため没した。東京深川の善徳寺にある耕水の墓碑は葛巻の遠藤世衡（俊平）の撰である<ref>岩手県姓氏歴史人物大辞典（角川歴彦）</ref>。
小屋瀬鈴木家の本家には現在でも、江戸時代の格式ある家にのみ許された[[長屋門]]が残っている。また同家には小屋瀬蒲田家などの分流があり<ref>紫波六山会編 『鈴木佐太郎家と小屋瀬蒲田家の系譜
=== 倉部先生墓碑 ===
[[盛岡市]]の[[報恩寺 (盛岡市)|報恩寺]]にある鈴木貢父（倉部先生）の墓碑には同家の出自と功績が記されている。碑文は伊藤弘美の撰で、貢父の子・重之によって建てられた。また同碑には小屋瀬が「高野城」と記されているが、鈴木繁氏に従って来住した人々が多くの小屋を建てて住んだことから、小屋千→小屋瀬と呼ばれるようになったという<ref>藤岡一雄『くずまき歴史散歩
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'''君諱歛字貢父初称主税後称新蔵穂積姓鈴木氏六世祖豆州江梨城主鈴木大学頭繁脩天正年間隷北条氏麾下戦功其弟城之介繁氏与其子某避難奥州八戸葛巻高野城村遂隠而不在至君世々居其郷祖考諱繁顕称助左衛門妣千葉氏考諱繁懿称助十郎妣安部氏有七男君其弟六子也<ref>葛巻町誌一巻（葛巻町誌編纂委員会）</ref>…以下略'''}}
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== 参考文献 ==
* 小和田哲男『後北条氏研究
* 江梨鈴木氏由緒書（沼津市立駿河図書館、1980）
* 葛巻町誌一巻（葛巻町誌編纂委員会）
* 紫波六山会『小屋瀬蒲田家の系譜
* 紫波六山会編 『鈴木佐太郎家と小屋瀬蒲田家の系譜
* 河岡武春『海の民‐漁村の歴史と民俗
* 永岡治『伊豆水軍物語
* 藤岡一雄『くずまき歴史散歩
* 岩手県姓氏歴史人物大辞典（角川歴彦）
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