「メラトニン」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
29行目:
| excretion = [[尿]]
}}
'''メラトニン'''({{Lang-en-short|melatonin}})または'''''N''-アセチル-5-メトキシトリプタミン''' ({{Lang|en|''N''-acetyl-5-methoxytryptamine}})<ref>[http://www.sleepdex.org/melatonin.htm Melatonin - A Neurohormone and a Sleep Aid]</ref> は、[[動物]]・[[植物]]・[[微生物]]で見られる天然の[[化合物]]である<ref name="Caniato2003">{{cite journal |author=Caniato R, Filippini R, Piovan A, Puricelli L, Borsarini A, Cappelletti EM |title=Melatonin in plants |journal=Advances in Experimental Medicine and Biology |volume=527 |issue= |pages=593–7 |year=2003 |pmid=15206778}}</ref><ref name="Paredes2009">{{cite journal |author=Paredes SD, Korkmaz A, Manchester LC, Tan DX, Reiter RJ |title=Phytomelatonin: a review |journal=Journal of Experimental Botany |volume=60 |issue=1 |pages=57–69 |year=2009 |pmid=19033551 |doi=10.1093/jxb/ern284}}</ref>。メラトニンは[[トリプトファン]]から[[セロトニン]]を経て体内合成される。
動物では[[ホルモン]]の一つで[[脳]]の[[松果体|松果腺]]から分泌される。メラトニンの血中濃度は1日のサイクルで変化しており、いくつかの生物学的機能に[[概日リズム]](サーカディアンリズム)を持たせている<ref name="Altun2007">{{cite journal |author=Altun A, Ugur-Altun B |title=Melatonin: therapeutic and clinical utilization |journal=Int. J. Clin. Pract. |volume=61 |issue=5 |pages=835–45 |year=2007 |pmid=17298593 |doi=10.1111/j.1742-1241.2006.01191.x}}</ref>。[[ヒト]]では、メラトニンの血中濃度は昼に低く夜に高く、[[睡眠]]と関連している。[[夜行性]]の生物の場合も同様なリズムを示す。
 
37行目:
 
== 作用 ==
*; 催眠・生体リズムの調節作用
*: 日中、強い光を浴びるとメラトニンの分泌は減少し、夜、暗くなってくると分泌量が増える。メラトニンが脈拍・体温・血圧・などを低下させる事で睡眠の準備が出来たと体が認識し、睡眠に向かわせる作用がある。又、朝日を浴びて規則正しく生活することで、メラトニンの分泌する時間や量が調整され、人の持つ[[体内時計]]の機能、生体リズムが調整される。そのため不規則な生活や昼間太陽光を浴びないような生活を続けるとメラトニンがうまく分泌されず、不眠症などの睡眠障害の原因となる。又、メラトニンは幼児期(1~5歳)に一番多く分泌され、歳を重ねる毎に分泌量が減っていく。(歳を取ると眠る時間が短くなるのはこのためである。)
*; 抗酸化作用
*: <!--{{要出典範囲|[[ビタミンE]]の2倍の効果を持ち|date=2009年1月}}、-->[[血液脳関門]]も容易に通り抜けることができ体全体に行きわたる[[抗酸化物質]]であると言われている。メラトニンの抗酸化作用により生殖細胞が保護(活性化)され、又ホルモンバランスも改善されるため、不妊症の治療に有効であるとの報告がある<ref>[http://www.akanbou.com/topics/topics/018.html  睡眠ホルモン「メラトニン」に注目]</ref> <ref>[http://blog.akatyan.jp/entry-96.php  メラトニンと妊娠]</ref>。 但し、メラトニンには後述の「性腺抑制作用」もあり、多く摂取すると[[月経]]を止める作用などもあり素人判断による安易な摂取は禁物である。
*; 性腺抑制作用
*: メラトニンが増加すると[[性腺刺激ホルモン]]が抑制されて生殖腺の発達と機能を抑制し(性腺の退化)、逆にメラトニンが減少すると性腺刺激ホルモンが増加し、性腺刺激ホルモンの過剰分泌が思春期早発につながる。
*; 色素細胞に対する退色作用
*: 人間の場合その作用はみとめられなかったがカエル等の両生類では退色作用が認められている。
 
 
== 副作用 ==
54 ⟶ 53行目:
* 腹痛(多量に飲んだ場合は、吐き気などの原因になる、といった意味)
 
専門家の指導が無い限り、14歳以下の子供、妊娠を希望する女性、妊婦、授乳中の女性は使用しないことが勧奨されている<ref>{{cite web|url=http://altmedicine.about.com/od/melatonin/a/melatonin.htm|title=Melatonin|author=About.com|accessdate=2009年12月3日}}</ref>
 
== 研究史 ==
68 ⟶ 67行目:
日本では2010年まで承認されておらず、薬事法(当時)により、業としてメラトニンを製造・輸入・販売することは認められていなかった。そのため、入手しようとする人は主として[[個人輸入]]の形で入手するとか、あるいは米国渡港時・旅行時に入手する、などということが行われていた。
 
[[2010年]](平成22年)4月16日、不眠症治療薬である薬剤一般名「[[ラメルテオン]]」([[武田薬品工業]]株式会社・商品名:ロゼレム錠&reg;8mg)が、[[厚生労働省]]の製造販売承認を取得した。適応は「不眠症における入眠困難の改善」であり、用法・用量は、成人に1回8mgを就寝前に投与となっており、2010年6月11日に[[薬価基準]]収載となった。[[日本]]で研究・開発されたが、まず[[アメリカ合衆国]]の[[アメリカ食品医薬品局]]で承認・販売され、日本でも承認・販売されるようになったものであり、メラトニン受容体を刺激する日本発の睡眠剤である。ラメルテオンは、[[アメリカ食品医薬品局]]が公開したデータの分析により、偽薬と比較して[[うつ病]]の危険性を2倍に高めることが見出されている<ref name="pmid17711589">{{cite journal|last1=Kripke|first1=Daniel F|title=Greater incidence of depression with hypnotic use than with placebo|journal=BMC Psychiatry|volume=7|issue=1|pages=42|year=2007|pmid=17711589|pmc=1994947|doi=10.1186/1471-244X-7-42|url=http://www.biomedcentral.com/1471-244X/7/42}}</ref>。体重増加の副作用も指摘されている<ref>{{Cite book |和書|author=デイヴィッド・ヒーリー|translator=田島治、江口重幸監訳、冬樹純子訳|date=2009-07|title=ヒーリー精神科治療薬ガイド|edition=第5版|publisher=みすず書房|isbn=978-4-622-07474-8|pages=263-264}}</ref>。
 
日本では、[[医薬品医療機器等法]]により、一人につき二ヶ月分までの販売と制限されているが、含有量にバリエーションがあり、1回分の摂取量も各個人により異なる。
86 ⟶ 85行目:
== 外部リンク ==
* {{脳科学辞典|記事名=メラトニン}}
* [http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0326-1.html メラトニン原料と狂牛病について] (厚生労働省)
* [http://www.shigakyu.or.jp/oshirase/tyousahoukoku/suimin5.pdf  生活習慣とメラトニン分泌] (滋賀県学校給食会) 
* [http://www.waseda.jp/jp/opinion/2007/opinion256.html  生殖を支配する新規脳ホルモン] (早稲田大学)