「天然記念物」の版間の差分

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平成27年3月10日現在指定件数
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加藤様のお名前を間違えてしまい申し訳ありません。
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天然記念物とその保護思想が発展した背景には、[[18世紀]]の[[産業革命]]以後の近代化に伴い自然の破壊が進んだことによる、[[自然保護]]の動きの高まりがあげられる。
 
天然記念物という用語は、[[ドイツ]]の[[博物学者]]である[[アレクサンダー・フォン・フンボルト]]が[[1800年]]([[寛政]]12年)に著書の「新大陸の熱帯地方紀行」に'''Naturdenkmal'''を用いたのが初めてだとされている<ref name = "sina">品田穣 「天然記念物保護の歴史とその意義」『天然記念物事典』 文化庁文化財保護部監修、1972年、308頁。</ref><ref name = kato>[[加藤奥雄 ]]「天然記念物を考える」 『日本の天然記念物』加藤奥雄・沼田眞・渡部景隆・畑正憲監修、講談社、1995年、6頁、ISBN 4-06-180589-4。</ref>。フンボルトは[[南アメリカ]]の[[ベネズエラ]]でザマン・デル・グアイル(Zamang der Guayre)と呼ばれる樹高18m、直径9m、枝張り59mの樹木に対して、「この天然記念物(Naturdenkmal)を傷つけるとこの地方では厳重に罰せられる」と記述している。またフランスの作家[[フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン]]が、[[1802年]]に著書の「ルネー(Rene)」の中でも天然記念物を用いている<ref name = "sina"/>。当時の天然記念物について、品田(1972)は「天然記念物という用語ができたものの、保護の必要性が認識されておらず、特に一般から注目されていなかった」としている。天然記念物の保護思想は当時の[[自然保護]]運動の推進とともに発展し、[[1898年]]に[[プロイセン王国]]の衆議院においてはじめて天然記念物に相当する「自然の記念物」の保護が議会で取り上げられ、[[1906年]]に「プロイセン天然記念物保護管理研究所」の設置および「同研究所の活動原則」が定められ、公的に天然記念物という用語が使用された。その他[[イギリス]]や[[スイス]]、[[アメリカ合衆国]]等の欧米諸国でも自然保護運動の発展とともに、天然記念物の概念が発生し、保護の対象とされてきた。
 
日本においては、[[三好学]]([[東京大学|東京帝國大学]][[教授]])が'''Naturdenkmal'''を「天然記念物」という語を用いて紹介した<ref>当時は「紀念物」と「記念物」とで表記は統一されていなかった。</ref>。三好は[[1906年]]に論文「名木の伐滅幷びに其保存の必要」で日本国内の名木の伐採状況と欧米の天然記念物の保護思想を紹介し、その翌年に論文「天然記念物保存の必要竝びに其保存策に就いて」および「自然物の保存及び保護」で天然記念物の保護・保存の必要性を説明している<ref name = "sina2">品田穣 「天然記念物保護の歴史とその意義」『天然記念物事典』、文化庁文化財保護部監修、312頁、1972年。</ref>。三好は[[1915年]]に出版した著書「天然記念物」で『その土地に古来から存在し、天然のままで残っているか、あるいはほとんど人為の影響をうけないでいるもの、すなわち、天然林・天然原野または固有の地質・岩石・動物など』と天然記念物の定義を示している<ref name = kato/>。[[1911年]]に「史蹟及名勝天然'''紀'''念物保存に関する建議案」が[[貴族院 (日本)|貴族院]]に提出され、[[1919年]]に「[[史蹟名勝天然紀念物保存法]]」が制定され、日本の天然記念物の保護行政が始まった。なお[[1950年]]に同法は廃止され、[[文化財保護法]]に引き継がれた。
 
[[1933年]]には、日本の支配下にあった[[朝鮮半島]]や[[台湾]]でも天然記念物の保護制度が設けられ、現在の[[大韓民国|韓国]]・[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]・[[台湾]]に引き継がれている。
 
== 日本における天然記念物 ==
日本で単に「天然記念物」と言った場合、通常は国が指定する天然記念物を指す。国が指定する天然記念物は「[[文化財保護法]]」([[1950年]]制定)に基づき、[[文部科学省|文部科学大臣]]が指定する。所管は[[文化庁]](文化財部 記念物課、文化財鑑査官)。文化財保護法の前身は[[1919年]]([[大正]]8年)に公布された「[[史蹟名勝天然紀念物保存法]]」である。
 
天然記念物の位置づけは、文化財保護法で規定する6種の「[[文化財]]」のうち、「記念物」を構成する3種の対象の一つである(他の2つは「[[史跡]]」と「[[名勝]]」)。建築物を含む美術・工芸品や芸術活動、伝統的な技術・技能などからなる指定文化財のうちでは、特異な存在といえる。
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文化財保護法第109条第2項の規定により、天然記念物のうち、世界的に又は国家的に価値が特に高いもの、として特別に指定されたものを'''特別天然記念物'''という。
 
==== 動物 ====
[[ファイル:Nipponia nippon.png|thumb|[[トキ]]]]
動物では、21件が特別天然記念物に指定されている。都道府県名が記載されていないものは、「地域を定めず指定された動物」である。
 
* [[ニホンカモシカ|カモシカ]]
* [[ニホンカワウソ|カワウソ]]
* [[イリオモテヤマネコ]]
* [[アマミノクロウサギ]]
* [[トキ]]<ref>日本で特別天然記念物に指定されているほか、韓国でも天然記念物に指定されている。</ref>
* [[コウノトリ]]
* [[タンチョウ]]
* [[アホウドリ]]
* [[カンムリワシ]]
* [[ライチョウ]]
* [[ノグチゲラ]]
* [[メグロ]]
* [[オオサンショウウオ]]
* 小湊の[[ハクチョウ]]およびその渡来地 : [[青森県]]
* [[鯛の浦|鯛の浦タイ生息地]] : [[千葉県]]
* [[ホタルイカ]]群遊海面 : [[富山県]]
* 長岡の[[ゲンジボタル]]およびその発生地 : [[滋賀県]]
* 八代の[[ツル]]およびその渡来地 : [[山口県]]
* 土佐の[[オナガドリ]] : [[高知県]]
* [[高知市]]の[[ミカドアゲハ]]およびその生息地 : [[高知県]]
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* [[根反の大珪化木]] : [[岩手県]]
* [[玉川温泉 (秋田県)|玉川温泉]]の[[北投石]] : [[秋田県]]
* 鬼首の雌釜および雄釜間歇温泉 : [[宮城県]]
* [[浅間山]]熔岩樹型 : [[群馬県]]
* [[御岳の鏡岩]] : [[埼玉県]]
* [[魚津埋没林]] : [[富山県]]
* [[薬師岳#薬師岳の圏谷群|薬師岳の圏谷群]]:[[富山県]]
* [[岩間の噴泉塔群]]:[[石川県]]
* [[鳴沢熔岩樹型]] : [[山梨県]]
* [[白骨温泉]]の噴湯丘と球状石灰石 : [[長野県]]
* [[根尾谷断層]] : [[岐阜県]]
* [[根尾谷]]の[[菊花石]] : [[岐阜県]]
* [[湧玉池]] : [[静岡県]]
* 大根島の熔岩隧道 : [[島根県]]
* [[秋芳洞]] : [[山口県]]
* [[秋吉台]] : [[山口県]]
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== 参考文献 ==
* [[加藤奥雄]]・[[沼田眞]]・[[渡部景隆]]・[[畑正憲]]監修 『日本の天然記念物』[[講談社]]、1995年3月20日、1101頁、ISBN 4-06-180589-4。
* [[品田穣 ]]「天然記念物保護の歴史とその意義」『天然記念物事典』 [[文化庁]]文化財保護部監修、1972年、308-318頁。
 
== 関連項目 ==
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{{日本の文化財}}
 
{{Stub}}
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:てんねんきねんふつ}}
 
[[Category:天然記念物|*]]
[[Category:日本の文化遺産保護制度]]