「マティルダ (神聖ローマ皇后)」の版間の差分

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[[Image:Empress matilda.jpg|thumb|マティルダ]]
'''マティルダ'''(Matilda, [[1102年]] - [[1167年]][[9月10日]])は、[[イングランド王国|イングランド]]王[[ヘンリー1世 (イングランド王)|ヘンリー1世]]とその王妃である[[スコットランド王国|スコットランド]]王[[マルカム3世 (スコットランド王)|マルカム3世]]の娘[[マティルダ・オブ・スコットランド|マティルダ]]との間に生まれた王女。同じマティルダの名を持つ多くの歴史上の人物と区別して、'''マティルダ皇后'''(Empress Matilda)、'''モード皇后'''(Empress Maud、Maud はサクソン語で Matilda)、'''イングランドのマティルダ'''(Matilda of England)などとも呼ばれる。
 
マティルダはイギリスにおける初の女性君主として知られる。ただし実効支配者としてイングランドに君臨したのが対立王を一時的に捕獲していた[[1141年]]の数ヵ月間に限られること、女王として戴冠することがついになかったこと、そして自らの手で王権を統合することができなかったことなどから、後世の史家はこのマティルダを正統な君主として認めながらも歴代のイングランド王には数えないという、玉虫色の扱いをするに至っている。
 
== 生涯 ==
モードは1102年に生まれた。最初に名付けられた名前はアデレードだったが、1114年、12歳で[[神聖ローマ帝国|神聖ローマ皇帝]][[ハインリヒ5世 (神聖ローマ皇帝)|ハインリヒ5世]]と結婚して皇后になったとき、母の名前を取ってモード(マティルダ)と改名した。1125年に夫が死ぬとイングランドに帰され、1128年に今度は[[フランス]]に送られて10歳年少の[[アンジューの領主一覧|アンジュー伯]][[ジョフロワ4世]]と再婚した。1133年には長男アンリ(のちのイングランド王[[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]])を生む。
 
1135年に父ヘンリー1世が死ぬと、モードは夫ジョフロワと共にイングランドの王位後継者に指名されたが、彼女の従兄である[[ブロワ]]伯家のエティエンヌがロンドンに入ってイングランドを掌握し、イングランド王[[スティーブン (イングランド王)|スティーブン]]となった。スティーブンはヘンリー1世の生前に王位を要求しないことを重ねて誓約していたため、モードは誓約違反を[[ローマ教皇]]に訴え出でたが、スティーブンは[[カトリック教会|ローマ教会]]と友好関係にあったためにこれは却下されてしまった。しかし王位簒奪の過程で教会や[[封建諸侯|諸侯]]に数多くの譲歩をしたスティーブンの王権は次第に弱体化してゆく。諸侯の統制を失ったと見たマティルダは1139年にイングランドに上陸、スティーブンとの間で王位を争って戦いを始めた。この結果スティーブンの治世は内乱に明け暮れることとなり、史上「[[無政府時代 (イングランド)|無政府時代]]」と呼ばれる時代が到来する。
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スティーブンを戴く国王派はすでにイングランド全土でその権威を失っていたが、マティルダを戴くアンジュー伯派もまた他方を制圧するだけの力がなく、以後の内戦は泥沼化したまま年月を費やした。1147年にグロスター伯が死ぬと強力な支持者を失ったマティルダはフランスに帰ることを余儀なくされる。1151年には夫のアンジュー伯ジョフロワも死去し、これでアンジュー伯派の力は著しく衰えてしまう。
 
しかしマティルダの長男アンリが成長するとともに再びアンジュー伯派は力を得はじめた。アンリは父が征服した[[ノルマンディー公]]位を得たのを皮切りに、父の死後には[[アンジュー]]伯位と[[ブルターニュ公国|ブルターニュ公]]位を襲爵、また婚姻によって妻が有する広大な[[アキテーヌ]]公領・[[ガスコーニュ]]公領・[[ポワチエ]]伯領なども得て、フランス国土の半分にも及ぶ一大勢力を築くと、1153年に大軍を率いてイングランドに上陸。スティーブンと妥協して、彼の生涯にわたってその王位を認めるかわりに、自らがイングランド王位継承者となることを認めさせた。スティーブンはその翌年死に、約束通りアンリがヘンリー2世としてイングランド王に即位、ここに[[プランタジネット朝]](アンジュー朝)が始まる。
 
マティルダはフランスに留まったままそのすべてを見届け、1167年にひっそりとこの世を去った。
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*[[アリエノール・ダキテーヌ]]
*[[修道士カドフェル]] - [[イーディス・パージター|エリス・ピーターズ]]の推理小説シリーズ。
*[[大聖堂 (小説)|大聖堂]] - この時代を描いた[[ケン・フォレット]]による歴史小説。端役ながら「モード」として登場する。テレビドラマ版ではより重要な登場人物として扱われている。
 
{{イングランド王|1141年 - 1148年|イングランド人の女君主}}