「神戸高専剣道実技拒否事件」の版間の差分

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|反対意見=なし
|参照法条=憲法20条など}}
'''神戸高専剣道実技拒否事件'''(こうべこうせんけんどうじつぎきょひじけん)とは、公立学校の学生が、自己の[[宗教]]的信条に反するという理由で、[[必修科目]]である剣道の履修を拒否したため留年処分となったうえに、次の年も留年処分となったため、学則にしたがいその退学処分にした処分に対して、違法であると取消しを求めた行政訴訟(抗告訴訟)である。学校教育における[[信教の自由]]の保障が争われた憲法学上著名な[[判例]]のひとつである。
 
== 事件の概要 ==
[[1990年]]に[[神戸市立工業高等専門学校]]に入学した学生には、「[[エホバの証人]]」の信者5名がいた。この年に同校は新校舎に移転したことにともない、体育科目の一部として格技である[[剣道]]の科目を開講した。この科目に対して5名は、彼らの信仰するところの[[聖書]]が説く「''彼らはその剣をすきの刃に、その槍を刈り込みばさみに打ち変えなければならなくなる。国民は国民に向かって剣を上げず、彼らはもはや戦いを学ばない''」<ref>[http://wol.jw.org/ja/wol/bl/r7/lp-j?q=%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%A42%3A4 イザヤ書2章4節]</ref>という原則と調和しないと主張し、剣道の履修を拒否した。彼らもただ授業を拒否しただけでなく、病気で体育が出来ない学生のように授業を見学した上で[[レポート]]の提出をもって授業参加と認めるように体育教師とかけあったが、認められなかった。そのため、5名の信者が体育の単位を修得できず同校内規により第1学年に[[原級留置]]となった。
 
翌年、信者5名のうち3名は剣道授業に参加したため第2学年に進級出来たが、1名は自主退学、もう1名([[原告]])は前年と同様経緯をたどったため再び第1学年に原級留置とされた。同校の学則は2年連続して原級留置の場合は退学を命ずることができるという内規があり、その内規により退学処分を命じられた。
 
== 裁判の焦点 ==
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なお学校側が主張した学生の行為を認めたら日本国憲法20条3項の[[政教分離]]に反するか否かであるが、『代替措置を講じることは特定の宗教に対する援助をするわけではない』として、特定宗教の援助にはあたらないとした。<ref>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25577&hanreiKbn=01 進級拒否処分取消、退学命令処分等取消事件,平成8年3月8日,民集第50巻3号469頁(裁判所判例検索システム)]</ref>
 
== 最高裁判決後 ==
最高裁判決の翌月(1996年4月)、原告の元学生は第2学年に復学している。すでに21歳となっていた元学生に対して、学校側からは第4学年へ編入する提案もあったが、元学生はこれを断り、取り消された退学処分の時点(第1学年末)に対応する学年に復学することを選択した。<ref>「朝日新聞」1996年4月9日 大阪朝刊22面</ref>
 
== 信教の自由 ==