「樽前山」の版間の差分

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山名の由来は、[[アイヌ語]]で「タオロマイ taor-oma-i」(川岸の高いところ・〈そこに〉ある・もの)。一般的にアイヌは山に山そのものを指す名前を付けず「これこれという川の上流(水源)の山」という名づけ方をすることが多いので、この言葉は現在の樽前山そのものを指すのではなく、樽前山の南側を下る現在の樽前川を指した言葉である可能性が高く、その水源として樽前山という名になったと思われる。樽前山そのものを指したアイヌ語の名称としては「ヲフイノボリ」が[[1807年]](文化4年)の[[秦檍丸]]による東蝦夷地屏風にあり<ref>渡辺 (2002)</ref>、増補千歳市史 (1983) ではこれをオフィヌプリ ohuy-nupuri(燃える・山)と解釈している(ウフィヌプリ uhuy-nupuri の方が同じ意味で一般的な表現)。「たるまいさん」、「たるまいざん」とも言う。
 
== 樽前火山活動史 ==
活動開始時期は約9000年前とされ、これまでの活動は約1000年以上の休止期を挟んで3つの活動期に区分される。
* 第1期:約9000年前に始まり、2回の[[プリニー式噴火]]により大量の火砕物噴出と小規模な火砕流。
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=== 有史以降の活動 ===
[[image:Tarumae1909.jpg|thumb|250px|1909年の噴火]]
* 1667年(寛文7年) 9月23日 大規模なマグマ噴火。総噴出物量2.8km{{sup|3}}、マグマ噴出量1.1DREkm{{sup|3}}。[[火山爆発指数]]:VEI5</br>降下火砕物(Ta-b)を東方に広く堆積させた。苫小牧北方で約2m、十勝平野でも数cmに達した。山麓に影響を与えた2回の火砕流により河道閉塞を生じ、[[錦多峰川]]上流の口無沼、[[樽前川]]下流の森田沼など形成した可能性が高い。
* 1739年(元文4年) 18 - 30日に大規模なマグマ噴火。総噴出物量4km{{sup|3}}、マグマ噴出量1.6DREkm{{sup|3}}。火山爆発指数:VEI5</br>8月16日に前兆となる地震があった後の噴火で、降下火砕物は千歳空港付近で約1m。山麓に影響を与えた4回の火砕流は、最大10kmの範囲に分布し、[[支笏湖]]に流入。 火砕堆積物は9層からなる。活動の末期に噴出量が多かった。山頂部に直径1.2*1.5kmの外輪山を形成。
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** 10月7日 山頂から噴火(約10分間継続)。噴煙の高さは約2700m。8日にも山頂から噴火。
* 1894年(明治27年) 水蒸気噴火。2月8日、8月17日。
[[image:Tarumae1909.jpg|thumb|250px|1909年の噴火]]
* 1909年(明治42年)1月 - 5月 中規模なマグマ噴火。総噴出物量0.02km{{sup|3}}、マグマ噴出量0.02DREkm{{sup|3}}。(ドーム)</br>約3ヶ月間小規模な噴火と鳴動が断続。2回の爆発的噴火の後、溶岩ドームを形成。
* 1917年(大正6年) 水蒸気噴火。
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* 1983年(昭和58年) 以降、観測態勢が充実し小規模な噴気や地熱活動、地殻変動の記録も残るようになる。
* 2003年(平成15年)、2011年(平成23年)、2012年(平成24年) [[火影]](火口が明るく見える現象)を観測。
* 2013年(平成25年) 火山性の地殻変動と火山構造性地震を観測<ref>長山泰淳ほか、{{PDFlink|[https://confit.atlas.jp/guide/event/jpgu2014/subject/SVC55-P05/ 2013年の樽前山の火山活動と噴火シナリオへの適用の試み] 日本地球惑星科学連合 2014年 ID:SVC55-P05}}</ref>。
 
=== 噴火の影響 ===
樽前山のある千歳市では、樽前山と風不死岳を一括して樽前山に含め、過去の噴火例を参考に数パターンの噴火想定を行っている<ref>[http://www.city.chitose.hokkaido.jp/index.cfm/95,7091,168,891,html 火山(樽前山)] 千歳市危機管理課 防災・危機対策係</ref>。
[[2000年]](平成12年)に[[有珠山]]が噴火した際、[[日本貨物鉄道|JR貨物]]輸送などの北海道の物流は大きな影響を受けたが、もし樽前山が火山灰の広範な噴出を含む噴火をした場合、JR[[室蘭本線|室蘭線]]・[[千歳線]]のほかに[[新千歳空港]]が使用不可能になるなど、より大きな影響が懸念されている。いずれも本州と札幌を結ぶ北海道の大動脈である。1739年の大噴火の際は、火山灰は千歳空港付近で1m、[[日高山脈]]を越えて十勝地方でも数cmの降灰が記録されている<ref>{{Cite news|url=http://mainichi.jp/select/news/20141109k0000e040164000c.html
# 小噴火。(1981年に起こったような噴火を想定)</br>前兆なく噴火、有害な火山ガスが発生する可能性があり登山規制。市街地での被害は発生しない。
|title=樽前山:噴火に備え 月光の中、白い噴煙上げる|work=毎日新聞|newspaper=毎日新聞社|date=2014-11-09|accessdate=2014-11-09}}</ref>。
# 中噴火。(1909年に起こったような噴火を想定)</br>山頂部に火口開口し噴煙を高く噴き上げる噴火。火山灰が風下の市街地で数センチ積もる可能性と、山頂部や山腹への噴石到達、噴火後の降雨による土石流、マグマ噴火の場合は[[火砕流]]、更に積雪期には融雪型泥流を想定。
 
# 大噴火。(1739年に起こったような噴火を想定)</br>周辺全方位への高温の火砕流、風下側には大量の軽石。広範囲の避難が必要。
また、[[1878年]](明治11年)に樽前山麓を通過した[[イザベラ・バード]]は、著書「[[日本奥地紀行]]」の中で、火山噴火により立ち枯れた無数の立木の記述をしていることから、火山性のガス([[硫化水素]]、[[二酸化硫黄|亜硫酸ガス]]など)が噴出・流下する危険性も予見される。
 
== 風倒木災害 ==