「恒温動物」の版間の差分

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このような煩わしい議論や定義付けを避けるため、近年は“体温が主に代謝熱で維持されている”という意味での「内温性」「内温性動物」や、「高度な体温調節能力がある」といったような表記で留める例が増えている。[[哺乳類]]・[[鳥類]]以外の生物を記述するときに、あえて「恒温性」と表現し、高度な体温調節機能があることを強調することもある。
 
[[Image:wiki snake eats mouse.jpg|thumb|right|サーモグラフィー画像: ヘビがネズミを捕食]]恒温が「恒に体温を一定に保つ」ことと考えるなら、そのような動物は発見されていない。「積極的な体熱産生と放散を伴って能動的にある範囲に体温を保つ」こととするならば、'''動物では様々な分類群に分布する'''(珍しくもない)'''生理特性である。'''例えば[[ウミガメ]]、[[ネズミザメ]]類や[[マグロ]]類、[[昆虫]]類にはほぼ一定の体温を保ち、0℃の気温や、10℃の冷水の中でも活発に活動するものがある。この時の体温は[[ヒト]]や[[セイヨウオオマルハナバチ]]では40℃付近であるが、[[アカウミガメ]]で23℃付近、[[ホホジロザメ]]で26℃付近<ref>Journal of Comparative Physiology BAugust 1997, Volume 167, Issue 6, pp 423-429. Regulation of body temperature in the white shark, Carcharodon carcharias. Kenneth J. Goldman</ref>と比較的低い。つまり、アカウミガメやホホジロザメは“冷血”の“恒温動物”である。また、[[カツオ]]や[[アキアカネ]]、[[カモノハシ]]、[[カッコウ]]等の活動時体温は外水(気)温よりも5〜10℃以上高く、40℃に達することもあるが、外温や運動の有無で体温が浮動し安定しない。つまり“温血”の“変温動物”である。このことからもわかるように、よく見る'''左図のような温度分布図は、その時の体温の高低を示しているに過ぎず、恒温動物と変温動物との差を象徴的に表すものではない。温血動物という言葉が用語として不適切'''なゆえんでもある。
 
植物においても[[ザゼンソウ]]、[[ヒトデカズラ]](''Philodendron selloum'')、[[ハス]]など、花器を開花期間中一定の温度に保つものが存在する。例えば[[ザゼンソウ]]では4℃から15℃の外気温中で、肉穂花序の温度を24℃±1℃以内に保つが、これは多くの[[哺乳類]]や[[鳥類]]の体温日周変動幅より小さい。ただし、[[植物]]や[[昆虫]]における体温維持は[[花]]器や[[胸]]部など必要な部分および期間のみであることが多い。なお、[[鳥類]]や[[哺乳類]]も厳密な意味では全身の体温を保っているわけではない。[[耳介]]や[[足]]先などは大きく体温が変動する。ただし、日周変動の幅が1℃以内の体温(ヒト程度)を生涯保つような種の多くは、哺乳類か鳥類である。