「ボルツマン定数」の版間の差分

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通常は記号 {{mvar|k}} が用いられる。特に{{en|Boltzmann}}の頭文字を添えて {{math|''k''{{sub|B}}}} で表されることもある。
 
[[ボルツマンの原理]]において、エントロピーは定まった[[エネルギー]](及び[[物質量]]や[[体積]]などの[[状態量]])の下で取りうる[[状態数|状態の数]] {{mvar|W}} の[[対数]]に比例する。これを
エントロピーの[[量の次元|次元]]を持ち、[[熱力学温度]]と[[エネルギー]]を関係付ける定数として位置付けられる。[[国際単位系]](SI)における単位は[[ジュール]]毎[[ケルビン]](記号: J K{{sup-|1}})が用いられる。2018年に予定されている[[新しいSIの定義]]においては、ボルツマン定数を[[ケルビン]]の[[定義]]に用いることが提案されている。新しいSIの定義ではボルツマン定数の値は不確かさを持たず、その値は正確に {{mvar|k}}={{val|1.3806488|e=-23|u=J K{{sup-|1}}}} 又はこれの修正値<ref>新しいSI冊子(第9版)の提案[http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_draft_ch123.pdf] Draft Chapters 1, 2 and 3 of the 9th SI Brochure(Draft dated 16 December 2013) , p.10/29の右側欄外の囲み注記 </ref>として定義されることになる。
{{Indent|
<math>S =k \ln W</math>
}}
と書いたときの比例係数 {{mvar|k}} がボルツマン定数である。
従って、ボルツマン定数はエントロピーの[[量の次元|次元]]を持ち、[[熱力学温度]]を[[エネルギー]]に関係付ける定数として位置付けられる。[[国際単位系]](SI)における単位は[[ジュール]]毎[[ケルビン]](記号: J K{{sup-|1}})が用いられる。
 
エントロピーの[[量の次元|次元]]を持ち、[[熱力学温度]]と[[エネルギー]]を関係付ける定数として位置付けられる。[[国際単位系]](SI)における単位は[[ジュール]]毎[[ケルビン]](記号: J K{{sup-|1}})が用いられる。2018年に予定されている[[新しいSIの定義]]においては、ボルツマン定数を[[ケルビン]]の[[定義]]に用いることが提案されている。新しいSIの定義ではボルツマン定数の値は不確かさを持たず、その値は正確に {{mvar|k}}={{val|1.3806488|e=-23|u=J K{{sup-|1}}}} 又はこれの修正値<ref>新しいSI冊子(第9版)の提案[http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_draft_ch123.pdf] Draft Chapters 1, 2 and 3 of the 9th SI Brochure(Draft dated 16 December 2013) , p.10/29の右側欄外の囲み注記 </ref>として定義されることになる。
{{seeSee also|新しいSIの定義}}
 
== 値 ==
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である<ref>[[#ksh|CODATA Value]]</ref><ref>[[#kshc|CODATA Value]]</ref>。
 
ボルツマン定数の値[[熱力学温度]]物理と[[絶対温度ケルビン]]の定義からその値が決定されるため、原理的には派生的な物理定義定数である。しかし、ボルツマン定数を基本原理から求めることはあまりに複雑すぎるためにまだ達成できておらず、実験的に決定された値が用いられている。
== 定義 ==
{{see also|新しいSIの定義}}
ボルツマン定数は他の物理定数と[[絶対温度]]の定義からその値が決定されるため、原理的には派生的な物理定数である。しかし、ボルツマン定数を基本原理から求めることはあまりに複雑すぎるために、まだ達成できておらず、実験的に決定された値が用いられている。
 
=== 気体分子運動論 ===
[[気体定数]] ''R'' は、ボルツマン定数 ''k''<sub>B</sub> に[[アボガドロ定数]] ''N''<sub>A</sub> を掛けたものである。
気体の熱力学系の絶対温度を ''{{mvar|T''}} とすると、ボルツマン定数によってエネルギー {{math|1=''E'' = ''kkT''}} <sub>B</sub>''T'' が定義に換算される。これは大まかに言うと古典的に振る舞う系のミクロな粒子によって運ばれる熱エネルギーである。たとえば、[[理想気体]]中の単原子分子は {{math|(3/2)''k'' <sub>B</sub>''TkT''}} の平均運動エネルギーを持つ。また、室温 300 [[25度(298ケルビン|K]] (27 [[摂氏|℃]]) に対応するエネルギー ''k'' <sub>B</sub>''T'' の値 4.14 &times; 10<sup>&minus;12{{e-|21</sup>[[}}ジュール|J]] である。
 
ボルツマン定数 {{mvar|k}} に[[アボガドロ定数]] {{math|''N''{{sub|A}}}} をかけると、[[気体定数|モル気体定数]] {{mvar|R}} となる。
{{Indent|<math>R = k_\mathrm{B} N_\mathrm{A}</math>}}
{{Indent|
 
{{Indent|<math>R = k_\mathrm{B} N_\mathrm{A} k</math>}}
気体定数はモル単位で粒子の数を数えるときにより有用である。
}}
 
モル気体定数はモル単位で気体の量を構成粒子の数を数えではなく[[物質量]]で量るときにより有用である。
==意味==
=== 気体分子運動論 ===
熱力学系の絶対温度を ''T'' とすると、ボルツマン定数によってエネルギー ''E'' = ''k'' <sub>B</sub>''T'' が定義され、これは大まかに言うと古典的に振る舞う系のミクロな粒子によって運ばれる熱エネルギーである。たとえば、[[理想気体]]中の単原子分子は (3/2)''k'' <sub>B</sub>''T'' の平均運動エネルギーを持つ。また、室温 300 [[ケルビン|K]] (27 [[摂氏|℃]]) に対応するエネルギー ''k'' <sub>B</sub>''T'' の値は 4.14 &times; 10<sup>&minus;21</sup>[[ジュール|J]] である。
 
===エントロピーとの関係===
 
統計力学では、与えられた(固定された全内部エネルギー ''E'' のような)マクロな束縛に対して可能な異なるミクロ状態の数 &Omega; の自然対数を用いて、[[エントロピー]] S が定義される。
 
{{Indent|<math>S=k_\mathrm{B} \ln \Omega</math>}}
 
比例定数 ''k'' <sub>B</sub> がボルツマン定数である。この等式は、系のミクロな詳細と系のマクロな状態を関係づけていて、これが[[統計力学]]の中心的な考え方である。
 
== 脚注 ==