「エロ劇画誌」の版間の差分

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彼らによると、当時の漫画雑誌界にははっきりとした階層があり、一流から三流までが区別される。一流は「[[ビッグコミック]]」を筆頭とする有名誌であり、それに続く一般漫画誌が二流で、三流がエロ劇画誌である。ところがここでの一流は内容においてあまりにも保守的で一切の変革を求めない。そして二流三流でデビューし、実力をつけた作家をつまみ食いにしている、と言い、このような状況を打破するためには三流をもって一流にしなければならない、といった主張がなされた。これらの主張や、『[[ガロ (雑誌)|ガロ]]』の作家[[川崎ゆきお]]の起用、またSF、ロック、プロレスなどの評論コラムを掲載するなど、エロ劇画誌の固定観念からは離れた自由な誌面が作られていた。1978年には「[[11PM]]」で三流劇画の特集を組み、1979年には『別冊新評』で「三流劇画の世界」が出版された。
 
彼らのエロ劇画誌の本分を逸脱した編集方針により、[[吾妻ひでお]]、[[いしかわじゅん]]、[[諸星大二郎]]など彼らに共鳴するメジャー作家や、芸術性が高いばかりに一般誌には受け入れられない[[ニューウェーブ (漫画)|ニューウェーブ]]と呼ばれた若手作家たち([[ひさうちみちお]]、[[蛭子能収]]、[[宮西計三]]、[[平口広美]]、[[奥平イラ]]、[[まついなつき]]、[[高野文子]]、山田双葉([[山田詠美]])、[[さべあのま]]など)に実験的な作品発表の場が提供され、これらによる名作が生まれた1979年頃までは「エロ劇画ルネッサンス」とも呼ばれる。こうした潮流は[[橋本治]]、[[飯田耕一郎]]ら理論派の論客や[[奇想天外 (SF雑誌)|奇想天外]]や[[宝島 (雑誌)|宝島]]などの[[サブカルチャー]]雑誌を巻き込んで展開されたが、彼らの目指したところはいわゆる一般読者の支持を得られず、亀和田の『アリス』は1979年に休刊、1980年には『大快楽』の編集者は退社、『エロジェニカ』の出版社が倒産に至る。エロ劇画誌における評論や冒険的な編集姿勢は『劇画ハンター』『ラブラブ』『映画エロス』などの諸誌にも広がったが、高取のエロジェニカからの撤退を期にほどなく収束していった。
 
== 流れの変化 ==