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[[ファイル:Cthulhu sketch by Lovecraft.jpg|thumb|250px|ラヴクラフトによる素描、1934年]]
'''クトゥルフ'''(Cthulhu)は、[[クトゥルフ神話]]などに登場する[[架空]]の[[神性]]、あるいは[[宇宙]][[生物]]。
== 発音 ==
[[日本語]]では'''クトゥルー'''、'''ク・リトル・リトル'''、クルウルウ、クスルー、トゥールー、チューリュー、[[九頭竜伝承|九頭龍]]などさまざまな表記があるが、本項では[[日本]]で一般的な表記のひとつである「クトゥルフ」を用いる。なお、この発音は[[宇野利泰]]の表記<ref>『[[クトゥルフの呼び声]]』より。ラブクラフト全集文庫版第2巻に収録。</ref>による。また、後にこのタイトルを使用した[[ケイオシアム]]社の[[TRPG]]が翻訳され輸入された際、そのまま本表記が用いられた。
本来、人間には発音不能な呼称を[[便宜的]]に表記したものであるため、英語でもCathulu, Kutulu, Q'thulu, Ktulu, Cthulu, Kthulhut, Kulhu, Thu Thu, Tuluなどと複数の綴りが存在する。[[S. T. Joshi]]は、[[ハワード・フィリップス・ラヴクラフト|ラヴクラフト]]は「Khlûl'hloo(クルールー)」もしくは「Kathooloo(カトゥルー)」という音を「Cthulhu」と書き写したと述べている。
ラヴクラフト自身は「Cthulhu」の発音について、「舌の先をぴったり[[口蓋]]に押しつけて、不完全な二つの[[音節]]、Cthu-lhuを唸るように、吼えるように、咳きこむように発音する」と記述している。これをカタカナで表現すると「クルールー」になる。
一方、ラヴクラフトから[[遺著]][[管理者]]に指名された[[ロバート・H・バーロウ]]は「ラヴクラフトはCthulhuを"Koot-u-lew"と発音していた」と証言しており、[[オーガスト・ダーレス]]もこれを支持した。「クトゥルー」という表記はバーロウの説に由来する。
これらを踏まえた上で翻訳家の[[大瀧啓裕]]はラヴクラフトが作り出した神話作品内(特に[[東京創元社]]刊行のラヴクラフト全集の大瀧啓裕翻訳分)では「クルウルウ」と表記し、オーガスト・ダーレスが作り上げた[[神話]][[体系]]は「クトゥルー」と表記している。
== 概要 ==
クトゥルフの登場する神話作品は数多いが、初出はハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説『クトゥルフの呼び声』(The Call of Cthulhu、[[1926年]])である。
オーガスト・ダーレスの体系付けた'''クトゥルフ神話'''においては[[旧支配者]]の一柱で、「[[水]]」を[[象徴]]している。「[[風]]」の象徴である[[ハスター]](一説にはクトゥルフの[[兄弟]]とも言われる)とは対立するものとされた。
一般には、[[タコ]]に似た頭部、[[イカ]]のような[[触腕]]を無数に生やした顔、巨大な[[鉤爪]]のある手足、ぬらぬらした[[鱗]]に覆われた山のように大きなゴム状の身体、背には[[コウモリ]]のような細い[[翼]]を持った姿をしているとされる。
[[海底]]に沈んだ[[古代]]の[[石造都市]][[ルルイエ]](ル・リエー)に封印されている(周囲に[[島]]の全く無い海域)。この「[[幾何学]]的に狂った角度と、暗緑色の巨石で構築された都市」は、[[星辰]]が適切な位置に近づいたごくわずかの期間や[[地殻変動]]によって、[[海面]]に浮上することがある。ルルイエ(とそこに眠るクトゥルフ)の浮上する時期には、クトゥルフの[[夢]]が[[テレパシー]]によって外界へ漏れ、ある種の精神的な[[ショック]]を世界的に及ぼすことが知られている。但しいつも夢を見ている訳ではないらしく、ルルイエに紛れ込んでクトゥルーの顔の前で[[タップダンス]]を踊った男は、テレパシーによる精神的ショックを受けていない<ref>『The Mall of CTHULHU』ISBN 1597801275</ref>。
なお、ルルイエ
[[1925年]]([[大正]]14年)[[2月28日]]に海底[[火山]]の活動に伴ってルルイエが浮上した際には、[[子供]]や[[芸術家]]など[[感受性]]の強いものの間に、同時多発的な激しい[[悪夢]]、[[精神疾患|精神異常]]、[[自殺]]の[[頻出]]などが見られたとされている<ref>『クトゥルフの呼び声』より。ラブクラフト全集文庫版第2巻に収録。</ref>。
南太平洋の[[ポナペ]]諸島や、[[アメリカ合衆国]][[マサチューセッツ州]]の港町[[インスマス]]
[[旧支配者]]たちを祭る[[司祭]]の役割を果たしていたという記述がある。
なお、[[水神]]と解釈されることがあるが、ラヴクラフトによる元来の設定では、自らの[[墓|墓所]]を含むルルイエが水没したために活動を制限されているのであり、[[水棲]]種族[[深きものども]]から[[信奉]]されている描写こそあれ、[[水]]や水棲の者を統べるといった要素は見られない。クトゥルフ自身の持つテレパシー能力も、大量の[[海水]]によってほとんどが遮られている。また『[[ダニッチの怪]]』で語られているところでは旧支配者ですらなく、あくまで旧支配者の匂いを感知することすらできない存在に過ぎない<ref>ラヴクラフトの著作においては「旧支配者」と呼称される謎の存在は、[[実体]]が[[別次元]]にあるため人類には不[[可視]]だと述べられていることが多い。</ref>といい、『[[狂気の山脈にて]]』では、クトゥルフの一族は同じく宇宙から飛来してきた[[古のもの]]や[[イースの大いなる種族]]らと、当時の[[地球]]の[[覇権]]をめぐって争っていたという。
== 眷属 ==
[[眷属]]には、「[[右腕]]」の[[ムナガラー]]、“父なる”[[ダゴン]]、“母なる”[[ハイドラ (クトゥルフ神話)|ハイドラ]]、水棲種族「[[深きものども]]」
[[ゾス]]の星から飛来した時に同行した[[イダー=ヤアー]]との間に生まれた[[ゾス三神]]と呼ばれる三柱の[[息子]][[ガタノトーア]]、[[イソグサ]]、[[ゾス=オムモグ]]がいる他、[[クティーラ]]という娘がいる<ref>[[ブライアン・ラムレイ]]「タイタス・クロウの帰還」(東京創元社) ISBN 4488589030</ref>。▼
また、二番目の[[妻]][[スクタイ
[[クトゥルヒ]]と呼ばれる、クトゥルフと共に地球に来訪したクトゥルフの[[落とし子]]達がいる。タコに良く似た落とし子達は、本物のタコ同様に煮えた[[オリーブ・オイル|オリーブオイル]]で[[揚げる|調理]]が可能<ref>[[リス・ヒューズ]]『Abomination with Rice』(「Cthulhu Unbound Volume2」ISBN 1934861146)所収</ref>。▼
▲[[ゾス]]の星から飛来した時に同行した[[イダー=ヤアー]]との間に生まれた[[ゾス三神]]と呼ばれる三柱の息子[[ガタノトーア]]、[[イソグサ]]、[[ゾス=オムモグ]]がいる他、[[クティーラ]]という娘がいる<ref>[[ブライアン・ラムレイ]]「タイタス・クロウの帰還」(東京創元社) ISBN 4488589030</ref>。
▲また、二番目の妻スクタイ(Sk'tai)はクトゥルフ自身に依って殺されており、三番目の妻はクトゥルフの姉妹である[[カソグサ]]であると[[オーベッド・マーシュ]]の子孫の一部に伝え続けられている<ref>[[ジョゼフ・S・パルヴァー]]『Nightmare’s Disciple』ISBN 1568821182</ref>。
▲[[クトゥルヒ]]と呼ばれる、クトゥルフと共に地球に来訪したクトゥルフの落とし子達がいる。タコに良く似た落とし子達は、本物のタコ同様に煮えた[[オリーブ・オイル|オリーブオイル]]で[[揚げる|調理]]が可能<ref>リス・ヒューズ『Abomination with Rice』(「Cthulhu Unbound Volume2」ISBN 1934861146)所収</ref>。
== 脚注・出典 ==
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* [[クトゥルフの呼び声 (TRPG)|クトゥルフの呼び声]] - [[テーブルトークRPG|TRPG]](ケイオシアム/ホビージャパン/ログイン)
* [[アオイシロ]] - 作中に登場する「クロウクルウ」が、クトゥルフをモデルとしている。
* [[アローン・イン・ザ・ダーク|アローン・イン・ザ・ダーク(初代)]] クトゥルフ神話を[[ベース]]にした[[アドベンチャー]]ゲーム。
{{クトゥルフ神話/作中事項}}
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