「台湾沖航空戦」の版間の差分

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陸軍では、[[大本営]]情報参謀であった[[堀栄三]]の回想によれば、フィリピン出張の途上で台湾沖にて航空戦中であることを耳にして、「今までの戦法研究で疑問符のつけてある航空戦だ、この眼で見てみよう」と思い立ち、[[鹿屋航空基地|鹿屋]]で実際の航空兵から戦果確認方法について聞き取り調査を行うが戦果に対しての疑問は解消できず、「当該戦果は如何に多くても数隻程度と推測」と大本営陸軍部第二部(情報)長宛に打電した。<ref>「大本営参謀の情報戦記」 160頁-164頁</ref>その後作戦課へ報告されたが、省みられることがなかったという。
 
さらに、大本営海軍部によって大戦果が誤認であったと再判定された事実は、20日のフィリピン防衛戦に向けた陸海軍合同作戦会議においても陸軍部には伝達されなかった。
陸軍は誤認戦果と知らずに[[ルソン島]]での迎撃方針をレイテ島での決戦に変更し、[[第1師団 (日本軍)|第1師団]]、[[第26師団 (日本軍)|第26師団]]をはじめとする決戦兵力をレイテ島へ輸送した。しかし、第1師団を除く大半が輸送途中に空襲を受け、重装備や軍需品を海上で喪失、懸命に積み上げてきた決戦準備は水の泡となった。さらに、ルソン島で兵力が引き抜かれた穴を補うため、台湾から[[第10師団 (日本軍)|第10師団]]をルソン島へ投入、玉突きで沖縄から[[第9師団 (日本軍)|第9師団]]を台湾へ移動させた。こうして結果的に[[沖縄戦]]での戦力不足の原因ともなった。
 
陸軍は誤認戦果と知らずに[[ルソン島]]での迎撃方針をレイテ島での決戦に戦略を大きく変更し、[[第1師団 (日本軍)|第1師団]]、[[第26師団 (日本軍)|第26師団]]をはじめとする決戦兵力をレイテ島へ輸送増派した。しかし、第1師団を除く大半が輸送途中に空襲を受け、重装備や軍需品を海上で喪失、懸命に積み上げてきた決戦準備は水の泡となった。さらに、ルソン島で兵力が引き抜かれた穴を補うため、台湾から[[第10師団 (日本軍)|第10師団]]をルソン島へ投入、玉突きで沖縄から[[第9師団 (日本軍)|第9師団]]を台湾へ移動させた。こうして結果的に[[沖縄戦]]での戦力不足の原因ともなった。
また、海軍発表の戦果に疑問のあることが堀参謀から第14方面軍司令官の[[山下奉文]]大将に報告され、第14方面軍司令官として赴任する前の「決戦はルソン島で行なう」という事前取り決めを幻の大戦果に浮かれて急遽変更した大本営陸軍部第一部(作戦)との方針対立を招く一因となった。<ref>「大本営参謀の情報戦記」 186頁</ref>