「機能不全家族」の版間の差分

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'''機能不全家族'''(きのうふぜんかぞく)とは、家庭内に[[対立]]や[[不法行為]]、[[身体的虐待]]、[[性的虐待]]、[[心理的虐待]]、[[ネグレクト]]等が恒常的に存在する家庭を指す。'''機能不全家庭'''(きのうふぜんかてい)とも称され、その状態を'''家庭崩壊'''(かていほうかい)、もしくは'''家族崩壊'''(かぞくほうかい)と言われている([[英語]]では'''family breakdown'''と表記されている[http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/je2/12970/m0u/%E3%81%8B%E3%81%A6/])。また、家族が散り散りになって暮らすようになる(天涯孤独になる)様を'''一家離散'''(いっかりさん)とも言う。
 
== 概要 ==
機能不全家族とは、「子育て」、「団欒」、「地域との関わり」といった、一般的に家庭に存在すべきとされる機能が、健全に機能していない家庭の問題を指す。そしてこの機能不全家族で指摘される問題は、家庭内での不健全な事象よりも、その機能不全家族の中で育った子供への悪影響を問題として指摘する場合が多い。つまり、機能不全家族内で育った子供は、機能不全な環境や考え方が当たり前であるかの様に認識して成長するケースが多く、また幼少期の重要な人格形成において愛情を得る機会が非常に乏しい事などにより、自己愛・自尊心、他者への共感、他者の苦しみに対する理解等に欠けた人間にもなりやすい。こうして、機能不全家族の中から「社会と健全な関係を築くことができない大人が輩出されてしまう」という結果が生じることになる。しかし、機能不全家族に生まれ育った者が全て必ず社会不適応な人間になるとは限らない。
 
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このような家庭問題(家族問題)の中で育った子供が、育った環境の不健全さに気づいた場合、過去に学んだ不健全な生活習慣からの脱却に向けて、莫大なエネルギーを費やして、回復の努力をしなければならないことが多い。しかしながら、機能不全家族の一番の問題点としては「(1)機能不全家族の中で育った子供が、育った環境の不健全さに気づかない場合に、自己の配偶者としても同様の歪んだ価値観をもったパートナーを選んでしまうこと」や「(2)親は無条件に正しく、全てを子供の原因だと決め付けて子供を泣き寝入りさせること」などが非常に多い。
 
[[凶悪犯罪]]などで犯人の精神鑑定を行ったり、生い立ちを探っている際に犯人の家庭や育ての親の思考、家庭教育が非常に歪んだものであることが発覚するケースが多い。しかし、個人情報プライバシーの保護という名目や、「親は無条件に正しい」という風潮が原因で、家庭環境のこうした側面はほとんど報道されないことが多い。
 
== 主要原因 ==
機能不全家族は不健康な家族文化、歪んだ家族システムを持つ家庭であり、その背景となる原因はさまざまである。
 
機能不全家族を生み出す家庭内の主要な原因としては、[[アルコール依存症]]、[[ギャンブル依存症]]、[[薬物依存症]]、親の[[自殺]]、親の[[死亡]]、親の[[浮気]]、両親の[[離婚]]、親の[[再婚]]、親からの見捨てられ行為([[ネグレクト]])、精神的な[[児童虐待]]、肉体的な児童虐待、性的な児童虐待([[児童性的虐待]])、家庭不和、[[ドメスティックバイオレンス|家庭内の暴力]]、[[サラ金]]地獄、生活困窮、生活苦を伴う家族の病気([[難病]]、[[介護]])、望まれない出生、不遇な[[里子]]体験などがある<ref>大越崇 『アダルトチャイルド物語』 星和書店 1996年</ref>。また、親が[[宗教]]にのめり込む場合も機能不全家族に陥ることがある。
 
== 家庭内の特徴 ==
機能不全家族で育った者は、その家庭内での経験のため、共通の傾向、行動パターンが見受けられる。
 
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インターネット掲示板などで、こういった親のことを「[[毒親]]」と呼ぶことがある(語源はスーザン・フォワード著「毒になる親」から)。
 
== 家庭内での子供の役割 ==
機能不全家庭で育った子供は、病的な家庭で生き延びるために役割を背負っている。役割を背負った子供は、子供として楽しい子供時代を過ごすことが出来ず、自分の感情を押し殺し、傷つきながら生きていく事となる。
 
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兄弟が居る場合はそれぞれが役割分担をし、一人っ子の場合は一人で全てのタイプを背負うこととなる。
 
== 子供の数と機能不全家庭 ==
子供が一人っ子の場合、様々な要因により複数子供がいる場合に比べ更に問題が密室化・深刻化しやすく、危険な状態に陥りやすいとされている。
*複数の子供が居れば自然と生じる機能不全家庭の役割分担が存在しないため、全ての役割またはいくつもの役割を一人きりで背負う事となる。
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*「子が一人なら親は可愛がるだろう」「余裕がある筈だから金や愛情をかけて貰えるだろう」「一人っ子なら甘やかされ恵まれている筈だ」というような、それぞれの家庭事情や親の性質、背景の差を全く無視した一般的な偏見により問題そのものが気づかれにくい上、何か問題が起きた場合「一人っ子だから甘やかされた」等と周囲の差別的で的外れな見解で片付けられる場合も多いため、その背景にある深刻な家庭問題や子供が抱える闇を黙殺されやすい。機能不全家族において子供を追い詰める原因となるのは周囲の固定的な価値観の押し付けや偏見であり周囲の人間やカウンセラーは、「この子供は〇〇だから恐らくこうだろう」というような固定観念を捨てる必要がある。
 
== 子供への影響 ==
機能不全家族で育った子供は、一般的に5つの傾向を持つようになる。
*良き子供を演じる
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*機能不全家族の行動を自分の子供に実行し、機能不全家族の世代間連鎖を引き起こす。
 
== 関連項目 ==
*[[アダルトチルドレン]]
*[[教育ママ|教育ママ(教育パパ)]]
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*[[クラウディア・ブラック]]
 
== 参考文献 ==
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