「成長ホルモン放出ホルモン」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Transgenic (会話 | 投稿記録)
m 送付先住所の編集
Transgenic (会話 | 投稿記録)
/* GHRHの血中濃度とその由来片上秀喜(2010)"成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)".広範囲 血液,尿化学検査、免疫学的検査(第七版)-その数値をどう読むか-,日本臨床:pp193-199,日本臨...
23行目:
 健常者の血中GHRH濃度は4-14pg/mLと低濃度である.そのため,従来は血中GHRHは血漿からの抽出とRIA法を組み合わせて測定されていた.しかし,用いた抗体の種類や抽出方法により,その値は10pg/ml~300pg/mLと,測定者により大きく異なっていた.新規の超高感度測定法(ICT-EIA,測定感度:0.2pg/ml)の開発により,健常者のみならず異所性GHRH産生腫瘍の症例で血中GHRH濃度を非抽出で直接的,かつ,正確に測定することが可能となった.カルチノイド,膵ラ氏島腫瘍(pNET),褐色細胞腫やMEN I型に伴う膵・消化管腫瘍などの神経内分泌腫瘍はGHRHを産生する.しかし,その産生能は低く,広範な全身転移に伴う腫瘍細胞量の著増がない限り,血中GHRH濃度はさほど高値を示さない(通常 50pg/mL以下).一方,先端巨大症を惹起するGHRH産生腫瘍では腫瘍細胞のGHRH産生量が著明に増加しており,末梢血中GHRH濃度は著明な高値を示す(>300pg/mL,通常,800-5,000pg/mL).
 
 末梢血中のGHRHの由来は消化管とされている.特異的分解酵素,DPP-4,により,活性型GHRHの血中半減期は短く(T1/2: 約7分),視床下部から末梢血までは距離がある.疾患により視床下部が破壊され,GHRH産生細胞数が著減した場合でも,血中GHRH濃度は変化しない.一方,先端巨大症,Cushing病,非機能性下垂体腺腫の症例において,下垂体門脈血が灌流し,GHRHが高濃度を示す海綿静脈洞や下錐体静脈洞,あるいは術中のトルコ鞍内や下垂体近傍での血中GHRH濃度は,同時に測定した末梢血中のGHRH濃度と有意差を認めない.同様の成績はCRH(corticotropin-releasing hormone,別名 CRF)とSRIF(somatotropin releaseーinhibiting factor, ソマトスタチン)の超高感度あるいは高感度測定でも示されている
 
 したがって,ヒトにおいては他の視床下部ホルモン,たとえばCRH(corticotropin-releasing hormone,別名 CRF),SRIF(somatotropin releaseーinhibiting factor, ソマトスタチン)など,CRHやSRIFと同様に,血中のGHRH濃度を測定することにより,疾患,睡眠,運動状態の変化などに伴う視床下部機能を推定することは困難であると結論づけられる.
 
== 異所性GHRHに基づく先端巨大症と下垂体性巨人症<ref>片上秀喜(2011)"異所性成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)産生腫瘍".異所性ホルモン産生腫瘍の診断と治療,日本臨床:69増:711-719,日本臨床社,東京</ref> ==