「ミスラ」の版間の差分

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(宿曜経追加。文献を補ってマニ教の説明を修正)
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[[画像:0 Relief représentant Mithra - Louvre-Lens (2).JPG|thumb|ローマのミトラス]]
{{Zoroastrianism}}
'''ミスラ'''(Miθra)とは[[イラン神話]]に登場し、英雄神として西アジアから[[ギリシア]]・[[ローマ]]に至る広い範囲で崇められた[[神]]。[[インド神話]]の神'''ミトラ'''(मित्र [mitra])と起源を同じくする、[[インド]]・[[イラン]]共通時代にまで遡る古い神格である。その名は本来「'''契約'''」を意味する。
 
 
== イランのミスラ ==
「ミスラ」という語形はインドのミトラに対応する[[アヴェスター語]]形で、[[パフラヴィー語]]では'''ミフル'''(Mihr)、[[ソグド語]]では'''ミール'''(M&#x012B;r)(Miši)<ref name="sundermann"/>、[[バクトリア語]]で'''ミイロ'''(Miiro)という。西アジアではつねにアヴェスター語形で呼ばれたわけではない。中世はミフルとミトラという呼び方が一般的だった。アーリヤ民族の中では、古くからきわめて人気が高かった。古くは、契約・約束の神だったが、中世以降は友愛の神、太陽の神という性格を強めた。民間での信仰は盛んで、ミスラを主神とする教団も有った。ミトラ一神教という動きもあった。
 
== ゾロアスター教のミスラ ==
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[[画像:Mithra&Antiochus.jpg|thumb|left|ミスラ(右側)]]
ミスラは、司法神であり、光明神であり、闇を打ち払う戦士・軍神であり、牧畜の守護神としても崇められた。古くは[[アフラ・マズダー]]と表裏一体を成す天則の神だったが、[[ゾロアスター教]]に於いてはアフラ・マズダーが絶対神とされ、ミスラは[[ヤザタ]]の筆頭神に位置づけられた。このような変化があったものの、「ミトラはアフラ・マズダーと同等」であることが、経典の中に記され、初期の一体性が保存された。中世の神学では特に司法神としての性格が強調され、千の耳と万の目を以て世界を監視するとされる。また、死後の裁判を司るという。
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== マニ教のミスラ ==
[[マニ教]]におけるミスラ(ミフル神)の役割は、言語によって異なる。[[パルティア語]]ではミフル神は「第三の使者」と同一視され、[[パフラヴィー語|中世ペルシア語]]では「生ける霊」と同一視される<ref>{{cite book|和書|author=ミシェル・タルデュー|translator=大貫隆; 中野千恵美|title=マニ教|publisher=[[白水社]]|year=2002|pages=157,159}}</ref><ref name="sundermann">{{cite book|url=http://www.iranicaonline.org/articles/mithra-in-manicheism-1|author=Werner Sundermann|year=2002|chapter=MITHRA iii. IN MANICHEISM|title=[[イラン百科事典]]}}</ref>。
[[マニ教]]においては光明神としての性格が強調され、太陽と同一視された結果、ソグド語で[[日曜日]]の事もミールと呼ぶようになった。
 
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ミスラ神の光明神としての性格が強調され、太陽と同一視された結果、[[パフラヴィー語|中世ペルシア語]]では[[日曜日]]のこともミフルと呼ぶようになった。これがソグド語に借用されてミールになり<ref>{{cite book|author=Yutaka Yoshia|authorlink=吉田豊|chapter=Sogdian|year=2013|editor=Gernot Windfuhr|title=Iranian Languages|publisher=Routledge|page=329}}</ref>、「蜜」と漢訳された<ref>『宿曜経』下:日曜、太陽。胡名「蜜」、波斯名「曜森勿」、天竺名「阿你(泥以反)底耶(二合)」。</ref>。
 
この曜日名としての「ミール」は[[宿曜道]]とともに[[平安時代]]の日本にも伝えられ、当時の[[具註暦]]では、日曜日に「密」「みつ」「みち」(いずれもミールの漢字での音写)などと朱書きされていた。
== 日本 ==
この曜日名としての「ミール」は[[宿曜道]]とともに[[平安時代]]の日本にも伝えられ、当時の[[具註暦]]では、日曜日に「密」「みつ」「みち」(いずれもミールの漢字での音写)などと朱書きされていた。
 
== 他宗教への影響 ==
 
[[ユダヤ教]]の天使[[メタトロン]] (Metatron) の起源もミスラであるという説がある。メタトロンは神の住居といわれる第七天に住み、小ヤハウェともいわれるほどの実力者である。[[タルムード]]の賢者[[アヘル]]は、これを第二の神としたために[[異端|異端者]]とされた。一方のミスラも[[アフラ・マズダ]]を凌ぐほどの崇拝を受け、ゾロアスター教の正統に拮抗する勢力を保持した。また、ミトラの持つ「契約の神」「丈高き者」「万の目を持つ者」「万人の監視者」「太陽神」といった性格を、メタトロンも同じように保持していることが分かっている。メタトロンは「契約の天使」「非常な長身」「無数の眼の持ち主」「夜警」「太陽のような顔」といった性格を備えており、その異称「ミトロン (Mittron) 」からもミスラの影響がうかがえる。
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== 脚注 ==