「トロール船」の版間の差分

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[[画像:togari.jpg|thumb|right|200px|アイスランドの近代的トロール船の船尾ランプ ここよりトロール網を繰り出す]]
[[中世]]において、[[デヴォン州]]の[[ブリクサム]]は[[イングランド]]南西部で最大の漁港であり、トロール船が発明された港としても有名である。ブリクサムはイングランド全体で最大の漁港であった。
 
初期のトロール網漁は、スマックと呼ばれる[[縦帆]]式の引き網漁船を別の[[外輪船]]が曳航する形で初められた。1881年にビーム式のトロール網を装備した蒸気トローラー、ゾディアック号が建造された。ビーム式には平坦な海底にしか使えない欠点があったが、1892年にスコットランドで複雑な海底地形に対応できるオッター・トロールが開発された。オッター・トロールは1895年にはイギリスの北海漁船団の標準装備となり、今日のトロール船の原型となっている。
 
オッター・トロールによる漁獲量は帆船時代に比べ6倍となり、1890年代には早くも漁業資源の減少が懸念され始めていた。また、漁獲量の急激な増大は魚の値下がりを招き、漁民や市場は大漁貧乏という混乱に陥った<ref>マーク・カーランスキー『鱈:世界を変えた魚の歴史』池央耿 訳、飛鳥新社、1999年、ISBN 978-4870313606、pp.132-135</ref>。
 
19世紀にブリクサムで発明されたトロール船は世界中で模倣され、各地の漁船団に影響を与えた。ブリクサムの特徴的なトロール船は「Torbay Lass」(訳注:[[トーベイ]]([[:en:Torbay|en]])の娘っ子」というほどの意か)としてよく知られ、その姿に触発された「レッドセイル・イン・サンセット」([[:en:Red Sails in the Sunset (song)|en]])という曲もある。ブリクサムは「深海漁師の母」としても知られ、そのトロール船は沿岸中で操業して[[ハル(イギリス)|ハル]]、[[グリムズビー]]、[[ローストフ]]の水産業の発展に寄与した。1890年代の同地にはおよそ300隻のトロール船があって、それらの大部分は船主が船長を兼ねていた。
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[[冷戦|冷戦期]]には、いくつかの国がトロール船に電子機器を積んで[[情報収集艦|スパイ船]]に仕立て、敵国の電子情報の収集([[シギント]])にあたった。特に、[[ソビエト海軍]]は漁船として建造されたものを改造したのではなく、最初から“一見漁船のような外観”の「電子情報収集艇」を建造し、世界各地で情報収集任務に当たらせている。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==