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'''OGPK'''(Objective Gunner Protection Kit, オブジェクティブ・ガンナー・プロテクション・キット)は、2000年代後半に[[アメリカ合衆国]]で開発された、[[ハンヴィー]]や[[MRAP]]の機関銃手を防護する目的で開発された[[装甲]][[銃塔]]キットの名称である。
 
== 開発の背景 ==
[[2003年]][[3月]]に発生した[[イラク戦争]]において、[[アメリカ軍]]は短期間に侵攻作戦を進め、[[5月]]には[[ジョージ・W・ブッシュ|ブッシュ大統領]]により大規模戦闘の終息宣言が出された。しかしながら、その後も[[イラク]]の[[サッダーム・フセイン|フセイン大統領]]の行方は判らず、旧フセイン政権を支持する[[イスラム教]][[スンナ派|スンニ派]]の[[バアス党|バース党]]構成員や支持者からなる[[民兵]]組織や、元々はフセイン政権とは敵対的であったはずのイスラム教[[シーア派]]民兵組織、更には大規模戦闘後イラク国内に流入し勢力を伸ばした[[アルカーイダ|アルカイダ]]系の民兵組織により、アメリカ軍や駐留軍に対する攻撃は収まる事がなく、アメリカ軍の死者も、最初の2ヶ月の大規模戦闘での136名に対し、その後の駐留時の死者はその10倍を超える規模となっていた。
 
こういった環境下において、イラク国内でのパトロール活動を行う[[ハンヴィー]]や軍用トラックは装甲防御力がほとんど無く、[[小銃]]の攻撃を受けても乗員が死傷するという状況で、これらの車両の乗員は車両のドアや運転席周辺、あるいは銃座の周囲に鉄板を切り出した即製の装甲板を取り付けて運用していた。2005年に提出された報告書には、こういった車両の射手に対する360度全周の防護と、視認性の維持の重要性が記されていた。
 
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File:Defense.gov News Photo 040306-F-2828D-269.jpg|初期のハンヴィーの銃手。攻撃に対し無防備であった。
File:Defense.gov News Photo 041122-M-8096K-038.jpg|現地で即製改造された防護キット。2004年、イラク国内。
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== 概要 ==
アメリカ軍はこの報告を重要なものと認識し、アメリカ軍の兵器研究、開発を行う[[ニュージャージー州]][[ピカティニー・アーセナル]]の{{仮リンク|陸軍兵器研究開発技術センター|en|United States Army Armament Research, Development and Engineering Center}}(Armament Research, Development and Engineering Center, '''ARDEC''')が、'''OGPK'''(Objective Gunner Protection Kit)と呼ばれる装甲銃塔キットの開発を主導する事になった。ARDECはそれまでに培った各種兵器開発の経験を生かし、迅速に開発、試作を進めた。OGPKには、機関銃手が周囲の状況を把握し素早く射撃を行うという機能と、敵の攻撃に対する充分な防御力を持つという、場合によっては相反する2つの性能が求められた。ARDECの開発チームはイラクの戦地から帰国した兵士の意見を聞いたり、4種類の試作品をイラク国内に持ち込んで実際の作戦に投入し、開発へのフィードバックを行うなどして、前述の目的に適う装甲キットを開発開始から6ヵ月後に完成させた。OGPKはかなりの重量があったため、旋回を容易にする目的で、同じアメリカ軍の{{仮リンク|戦車・車両研究開発技術センター|en|United States Army Tank Automotive Research, Development and Engineering Center}}(Tank Automotive Research, Development and Engineering Center,'''TARDEC''')によって開発された電動式旋回装置(Battery Powered Motorized Traversing Unit, '''BPMTU''')の機能を組み込まれたものとなった。
[[File:US Army 50960 Overhead Cover.jpg|right|200px250px|thumb|上部装甲カバーを追加装着したOGPK]]
OGPKは同じ年内(2007年)に実戦配備が始まり、その年のアメリカ軍の優秀発明品トップ10に数えられる事となった。OGPKはその後も改良されており、建物の密集した街路での市街戦に対応するため、銃手の頭上を防護する装甲屋根の追加、装着した機関銃の[[仰角]]を約80°まで付けられる新型マウントが開発され、それぞれ2008年度、2009年度の優秀発明品トップ10となっている。

OGPKは2011年1月時点で、45,000セットがイラクおよび[[アフガニスタン]]に展開するアメリカ軍に実戦配備された。また、アメリカの主導により再編された[[イラク治安部隊|新生イラク軍]]や、その他[[MRAP]]系の対[[地雷]][[装輪装甲車]]を導入した国々でも広く使用されている。
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== 画像 ==
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File:Humvee Turret.jpg|ハンヴィーに搭載されたOGPK、2009年、アフガニスタン。
File:2009 Afghan Presidential election2.jpg|OGPKを装備した[[マックスプロ (MRAP)|マックスプロ]]、2009年、アフガニスタン。
File:Convoy (5375064599).jpg|OGPKを装備した[[RG-31]]、2011年、[[コロンビア軍]]
File:US Navy 070427-N-4928M-140 Marines from the 1st Battalion, 3rd Marine Regiment truck platoon, prepare to conduct a resupply mission.jpg|OGPKを装備した[[MTVR]]、2007年、イラク国内。
File:Security Forces at Sather Air Base DVIDS142439.jpg|[[プロトタイプ]]あるいは改造型のOGPKを装備したハンヴィー、2008年、イラク首都[[バグダド]]。
File:Soccer ball patrol DVIDS206925.jpg|OGPKを装備したイラク警察部隊のハンヴィー。2008年。
File:Mine resistant ambush protected ATV.jpg|開発時からOGPKを装備している[[M-ATV]]。
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*[http://www.army.mil/article/81663/ WWW.ARMY.MIL Missile gunners get added protection]
:[[TOW]][[対戦車ミサイル]]の射手の防護の為に開発された'''TOW/ITAS GPK''' に関する記述および写真
 
 
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