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==概要==
1990年代後半以降、中国では、人々の大学進学熱に対応するために、政府は「高等教育の大衆化」を目指し、大学入学枠を大幅に拡大した<ref name="kourogi127">興梠(2002年)127ページ</ref><ref name="tanaka84">田中(2013年)84ページ</ref>。中国の大学定員は、[[1998年]]は約108万人であったが、[[1999年]]は約150万人、[[2000年]]には約221万人、そして[[2002年]]には約268万人と急増した<ref name="kourogi127"/>。その一方で、産業構造の転換は後手に回っている<ref name="kojima88">小嶋(2011年)88ページ</ref>。中国の労働市場では、「[[農民工]]」を対象とする単純労働の需要は大きいが、大卒者の希望する職種については求人が限られている<ref name="kojima88"/>。また熾烈な市場競争に直面した企業は、即戦力を採用したがる傾向があり、新卒者を時間をかけて育てあげるという余裕はない<ref name="kojima89"/>。こうしたミスマッチの結果、就職できなかった大卒者は、[[2007年]]には100万人、[[2008年]]には150万人、2009年には80万人に上る<ref name="kojima89"/>。彼らの多くは、低賃金の非正規労働で生計を立てながら、都市郊外の安アパートの一室に6、7名でルーム・シェアをして群れるように暮らしている<ref name="kojima89"/><ref name="tanaka84"/>。賢く勤勉だが、弱小で、群居しているところから「蟻族」と呼ばれる<ref name="kojima89"/>。この「蟻族」の数は、[[北京]]市内だけでも約数10万人、[[上海]]、[[広州]]、[[杭州]]、[[武漢]]、[[西安]]などの大都市にも「蟻族」の集住する「村」が形成されており、その規模は全国で100万人以上に達すると言われる<ref name="kojima89"/>。この「蟻族」の大半は「貧困第二世代」である<ref name="kojima89"/>。前述の廉教授は、以下のように述べる<ref name="kojima89"/>。「『蟻族』の多くは農村や県レベルの小さな町の出身である。両親は下流階級で家庭の所得も低い。彼らは小さいときから一生懸命勉強し、大学を卒業しさえすれば、人生を変えられると言われて育ち、苦学して大学に入り、良い就職を目指して学業に励んだ。しかし大学卒業と同時に、彼らは思い知らされる。コネがない者は、結局村に帰るしかないのだ」と<ref name="kojima89"/>。
 
==映画==
*『今天明天』監督・唐家岭, 2013年、中国<ref>[http://ent.qq.com/a/20130705/008056.htm 《今天·明天》6日首映 讲述北京“蚁族”故事]电影新闻腾讯娱乐 [微博] 2013-07-05</ref>
 
==脚注==
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* 国分良成編『中国は、いま』(2011年)岩波新書に所収「第4章 下からの異議申し立て」(執筆担当;小嶋華津子)
* 田中信行著『はじめての中国法』(2013年)有斐閣
 
==映画==
*『今天明天』監督・唐家岭, 2013年、中国<ref>[http://ent.qq.com/a/20130705/008056.htm 《今天·明天》6日首映 讲述北京“蚁族”故事]电影新闻腾讯娱乐 [微博] 2013-07-05</ref>
 
==関連書籍==