「鏡の国のアリス」の版間の差分

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この挿話はテニエルの手紙の内容からして、第3章の汽車のシーンの前後にあったものと推測されていたが、現物の発見によって、実際には第8章の最後に入っていたものであることがわかった<ref>ガードナー (1994), 246-247頁。</ref>。テニエルとコリングウッドは「章」と表現していたが(そのため既存の12章とは別にもう1章あったのだと誤解されてきた)、実際には独立した章となるような長いものではない。アリスが白の騎士と別れたのち、次の桝目に進もうとする直前の場面で、「スズメバチ」の深いため息を聞いたアリスが引き返し、彼の話を聞いてやるという内容で、問題の「かつら」は派手な黄色をした、海藻のかたまりのようなかたちをしたものと表現されている(当初はハンカチで隠されている)。またパロディ詩とおぼしき詩(原詩は不明)も一篇差し挟まれている。
 
「白の騎士」が登場する第8章はそうでなくとも長い章であり、キャロルがテニエルの提案を受け入れたのは、この章を短くする意図もあったと推測できる<ref>ガードナー (1994), 247頁。</ref>。発見された挿話はテニエルが判断したとおり、『鏡の国のアリス』の他の部分に比べて彩を欠いている、というのが読者のおおむね一致した見解であるが、しかしそれはキャロルが本腰を入れて推敲を行う前であったためであるとも考えられる<ref>ガードナー (1994), 248-250頁。</ref>。
 
== あらすじ ==