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{{出典の明記|date=2013年1月}}
'''標準状態'''(ひょうじゅんじょうたい)とは、[[物理学]]、[[化学]]や[[工学]]などの分野で、測定する[[平衡状態]]に依存する[[熱力学]]的な[[状態量]]を比較するときに基準とする状態である。
一般的には[[気体]]の標準状態
== 圧力 ==
指定される圧力は、'''標準状態圧力'''({{lang-en-short|standard-state pressure}}, SSP)と呼ばれる。しばしばSSPにおける量であることを表す為に {{math|°}} を付けて表され<ref name="barrow">[[#barrow|バーロー『物理化学』]]</ref>、SSPその
SSPの設定として主なものが二種類あり、一つは、歴史的に用いられてきた、標準大気圧をSSPとする
{{Indent|<math>1\ \text{atm} =101\ 325\ \text{Pa}</math>}}▼
{{Indent|
* [[国際純正・応用化学連合|IUPAC]]▼
}}
{{Indent|
}}
である。
1960年の[[国際単位系]](SI)の採択を経て、IUPACでも1969年にGreen bookを出版してSIへの転換とした<ref name="netsu"/>。その後1970年代のGreen book改訂の際に[[標準気圧]]が非SIになるとして、SSPの慣習的な1気圧(1 atm)から10{{sup|5}}パスカル(1[[バール (単位)|バール]]、1 bar)への変更が主張され、IUPACの推奨はこの主張に沿って行われた。
20年以上(2004年当時)を経過してもIUPACの推奨はしばしば無視されており、化学熱力学のデータベースに二種類の設定があることで混乱が見られる<ref name="netsu">[[#netsu|長野 (2004)]]</ref><ref name="nagano">[[#nagano|長野 “標準状態圧力の成立過程”]]</ref>。
種々の[[物理定数]]の推奨値を発表している[[科学技術データ委員会|CODATA]]はIUPACの推奨に沿って後者をSSPとしているが<ref>[[#stdspr|CODATA Value]]</ref>、標準状態の設定に依存する[[モル体積]]や[[サッカー・テトロード定数]]などは両方のSSPに基づく値で発表している。
IUPACによるSSPの変更の推奨は単位の変更に伴うものとして行われたが、標準状態とは(仮想的な)測定条件であり、基準とする量の選び方であって、単位の選び方ではない。
物理学の理論は単位の選び方には依らないが、例えば標準生成エンタルピーは標準状態の設定に依存してその'''量が変化する'''(単位の変更による数値の変化ではない)。
そもそも、10{{sup|5}}パスカル、あるいはバールは、SIに沿った'''一貫性のある単位ではない'''ことに注意。
== 温度 ==
基準とする温度には、'''SATP'''と'''STP'''がある。温度は右下の添え字で示される<ref name="barrow"/>。
: 基準の温度を25[[セルシウス度]]
: 気体の標準状態としては、現在は主にSATPが使われる。 : 基準の温度を
== 体積 ==
1[[モル]]の[[理想気体]]の[[体積]]は、SATPでは24.8[[リットル]]、STPでは22.7リットル(1997年より前は22.4リットル)である。
体積を標準状態において測った場合、そのことを明示するために単位を m
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
; 書籍
* {{Cite book|和書
|author= G. M. Barrow
|translator= 藤代亮一
|title= 物理化学
|publisher= [[東京化学同人]]
|year= 1968
|ref= barrow
}}
* {{Cite book|和書
|author= 田中一義、田中庸裕
|title= 物理化学
|series= 化学マスター講座
|publisher= [[丸善]]
|page= 98
|year= 2010
|isbn= 978-4-621-08302-4
|ref= tanaka
}}
* {{Cite book|和書
|editor= 環境保全対策研究会 編
|title= 二訂・大気汚染対策の基礎知識
|publisher= [[産業環境管理協会]]
|edition= 第3版
|year= 2005
|isbn= 4-914953-69-2
|ref= jemai
}}
; 雑誌
* {{Cite journal|和書
|author= 長野八久
|title= 標準状態圧力の成立過程
|journal= Netsu Sokutei
|volume= 31 |issue= 3 |pages= 146-150
|year= 2004
|url= http://www.netsu.org/j+/Jour_J/pdf/31/31-3-151.pdf
|format= PDF
|ref= netsu
}}
== 関連項目 ==
* [[常温]]
* [[参照基準大気]]
== 外部リンク ==
* {{Cite web
|url= http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?stdspr
|title= CODATA Value: standard-state pressure
|accessdate= 2014-01-31
|publisher= [[アメリカ国立標準技術研究所|NIST]]
|ref= stdspr
}}
* {{Cite web
|url= http://www.netsu.org/JSCTANew/wp-content/uploads/2014/06/posterWGonSSP.pdf
|title= Borderless Science Seeks for Seamless Standards: Standard State Pressure Should Be 101.325 kPa
|accessdate= 2015-08-02
|date= 2008
|work= ICCT2008で発表したポスター
|publisher= [[日本熱測定学会]]
|format= PDF
|ref= jscta
}}
* {{Cite web
|url= http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/~nagano/ssp2.htm
|title= 標準状態圧力の成立過程
|accessdate= 2015-08-02
|author= 長野八久
|date= 2004
|publisher= [[大阪大学]]
|ref= nagano
}}
{{DEFAULTSORT:ひようしゆんしようたい}}
|