「上下」の版間の差分

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== 概説 ==
一定方向に[[重力]]のある環境で、重力の向かう方向、即ち物体が落ちる方向を'''下'''(した)、その対蹠で物体が登る方向を'''上'''(うえ)という。[[ヒト]]の身体で言うと、[[頭]]の方向が「上」、[[足]]の方向が「下」である。
 
方向だけでなく、物体の足側の面も「下側」と表現される。この表現は、無重力環境でも有効であるが、本来の上下は無重力環境では定義できないため、そこから派生する[[前後]]([[目]]の方向と[[背]]の方向)や[[左右]]([[横]])も意味をさないことになる。
 
また、[[平面]]と[[立体]]においては、上下(高さ)と[[前後]]([[縦]])の概念が、90[[度 (角度)|°]]逆転することもある。「『右上』側」という表現が一例で、「右上」という表現は、前後と平行する方向に''立てた''時の称である。逆に、上下と平行する方向に''置いた''時には「右前」となる。
 
物体のみならず、上への移動を「上がる」「上がる」、下への移動を「降りる」「下がる」「(くだる)」「落ちる」という。
 
== 上下の ==
=== 文字や絵、写真における上下 ===
文字、写真、絵等が記載された表示面には自ずと上方と下方が生じる。この場合、通常はその閲覧者から見て手元に近い側が下、手元から遠い方が上である。
 
==== 詳説 ====
 
=== 生物学における上下 ===
[[生物学]]では、[[器官]]の位置関係を表現するために、六方の名称をあまり用いない。体位によって重力方向との関係は一定しないからである。上下の代わりに'''頭側'''/'''尾側'''、前後の代わりに'''腹側'''/'''背側'''と称する。[[腹背]]方向という語は存在する。
 
=== 解剖学における上下 ===
[[解剖学]]では、例えば[[咽頭]]の「[[口腔]]・[[鼻腔]]に近い部分」、「中間部」、「気管・食道に近い部分」のそれぞれ各部位に上、中、下を付して「'''上咽頭'''」、「'''中咽頭'''」、「'''下咽頭'''」と呼ぶ例や、動脈に「'''上行'''」や「'''下行'''」を付す例が見られ、空間における観察者の上下感覚をそのまま解剖学的用語として用いている。
 
=== 遺伝子転写における上下 ===
 
=== 交通網における上下 ===
交通網では、[[首都]]に向かう方向を'''上り'''(のぼり)、首都と逆の方向に向かう方向を'''下り'''(くだり)という。現在の[[日本]]においては、[[東京都|東京]]が首都なので、鉄道や道路の「上り」は、東京方面を指すことになる。[[本州]][[日本海]]側では、[[道路元標]]は[[新潟市]]だが、「上り」という時は[[長岡市|長岡]]方面を指す(JRの鉄道網である[[弥彦線]]を除く)。これは、[[鶴岡市|鶴岡]]方面から東京に向かう時、[[富山市|富山]]方面から東京・新潟方面に向かう時、長岡で衝かるためである
 
戊辰戦争後の[[日本]]は[[東京都|東京]]が首都なので、鉄道や道路の「上り」は、東京方面を指すことになる。[[本州]][[日本海]]側では、[[道路元標]]は[[新潟市]]だが、「上り」という時は[[長岡市|長岡]]方面を指す(JRの鉄道網である[[弥彦線]]を除く)。これは、[[鶴岡市|鶴岡]]方面から東京に向かう時、[[富山市|富山]]方面から東京・新潟方面に向かう時、長岡で衝かるためである。
古代から近世の令制国時代では交通網の上下から転じて、概ね[[京都市|京]]から見て遠い側を下方、京に近い側を上方と称していたが、現在では「上京」とは地方から東京に行くことを指す。
 
戊辰戦争前の令制国体制では、交通網の上下から転じて、概ね[[京都市|京都]]に近い方は「'''上方'''(かみがた)」、京都から遠い方は「'''下方'''(しもがた)」と呼ばれていた。尚、戊辰戦争後の現代では、地方から東京に行くことが「上京」と呼ばれ、地方から京都に行くことは「上洛」と呼んで区別されている。
 
=== 日本の地名等の固有名詞における上下 ===
日本の地名等の固有名詞に「上」「下」が付く場合、一般的に河川の上流水源側や山側に位置すか下方を「上」「上側にあるかあるいは山地側(山地部)にあるか河川の平地側(平地部)や海側位置す「下」「下流」と表現。なお、令制国時代に京に近いか遠いかを指す地名表現として用いられた言葉に[[前後#日本における地名|「前」「後」]]がある。この場合は京に近い方が「前」、京から遠い方が「後」である。
 
* [[鴨川 (淀川水系)|賀茂川]]の上手(山側にある[[上賀茂神社]]と下手(平地にある[[下賀茂神社]]([[京都御所]]に近い方が下賀茂神社)
* [[木津川 (京都府)|木津川]]の上流側にある上狛と下流側にある下狛(京に近い方が下狛)
* [[飛騨川]]の川上にあった[[七宗町#歴史|上麻生村]]と川下にあった下麻生町(京に近い方が下麻生町)
 
=== 価値判断としての上下 ===
位置の「上下」から派生して、優れ方や力の有る方は「上」、劣った方や力の無い方は「下」と表現される。英語やスペイン語で「貴い」「相手より優れる」を意味する『superior』の原義は「上にある」であり、「賎しい」「相手より劣る」を意味する『inferior』の原義は「下にある」である。優劣や貴賎を表す「上下」の用例として、上位/下位、上等/下等などと用いる。
 
;優劣
 
;貴賎
*社会的地位や職場内地位など、序列が存在する場合には、貴いすなわち治める側を「上」、賎しいすなわち従う側を「下」と表現する。特に、この貴賎に基づく関係を「[[上下関係]]」という。
*職場内階層地位では、命令を出す階層を「'''上役'''」、特に直属の社員を治める者を「'''上司'''」、直属で命令を受ける者を「'''部下'''」という。
*社会的地位の高*官署内で貴階層役人を「'''上'''階級」、社会的地位の低官署内で賎し階層役人を「'''下'''階級」という。
*社会的地位では、(下僚も含めて)政府すなわち統治する者を「'''お上'''」、政府以外すなわち統治される者を「'''下々'''」という。同様に、社会的地位の高い階層を「'''上流'''階級」、社会的地位の低い階層を「'''下流'''階級」という。
 
;長幼
*年齢においては、年長すなわち早く生まれた者「'''年上'''」、年少すなわち晩く生まれた者「'''年下'''」と呼ばれる。本来、長幼と貴賎は異なる概念だが、「[[孝悌]]」ともいう[[儒教]]イデオロギーでは、「長=年上=貴い」「幼=年下=賎しい」という価値観が付与されている
 
== その他 ==
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