「戦闘服」の版間の差分

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[[画像ファイル:2ID Recon Baghdad.jpg|thumb|280px|right|[[イラク]]・[[バグダット]]に展開する[[アメリカ陸軍]][[第2歩兵師団 (アメリカ軍)|第2歩兵師団]]所属歩兵たち<br />[[ACU迷彩|ACU]]を着用している([[2006年]][[8月]])]]
[[Imageファイル:OS CQC2.jpg|thumb|280px|right|[[陸上自衛隊]]と[[州兵|アメリカ合衆国州兵]]との[[CQC]]訓練の様子<br />着用した迷彩服や装備に、それぞれの運用思想・形態の違いを見る事ができる]]
'''戦闘服'''(せんとうふく、{{lang-en|Battledress/ Combat Dress}}、{{lang-de|Kampfanzug}})とは、[[戦闘]]用に作られた[[衣服]]である。
 
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== 歴史 ==
{{Seealso|カモフラージュ}}
[[Imageファイル:Waffen SS POWS Netherlands Sep 1944 IWM BU 1159.jpg|200px|thumb|[[第二次世界大戦|第二次大戦]]時にドイツの[[武装親衛隊]] (前列の4名) が用いた迷彩服]]
[[Imageファイル:Camouflaged-sniper.jpg|200px|thumb|非常に分かりづらいが、戦闘服に木の葉や枝等を接着した[[ギリースーツ]]などの[[狙撃手]]用特殊戦闘服などもある。]]
 
19世紀までの戦闘(とくに正規軍同士の中規模・大規模な会戦)は、わずかな例外を除き[[白兵戦|接近戦]]であった。また前近代の火器に用いられる火薬は[[黒色火薬]]が主流であり、激戦時には硝煙で視界が不自由になることも稀ではなかった。そのため混戦での敵味方の識別、および指揮官の所在地把握などを容易にするため、派手な原色の軍服が主流であった。しかし[[ライフル銃]]の登場や[[無煙火薬]]の普及をはじめとした銃器の性能向上や軍事技術・科学技術の発展によって、戦闘が白兵戦から遠距離の射撃戦に移行すると、原色の軍服は目立ちやすく、[[狙撃]]され易い弊害が生じた。このため19世紀後半から、目立たないアースカラーの戦闘服が提唱された。しかし中世ヨーロッパの甲冑の衣鉢を継ぐ磨き上げられた胸甲や兜、金モールや肩章で飾り立てられた派手で美麗な軍服は、[[騎士道]]の伝統に由来した精神的美意識と密接に結びついていたため、各国の保守的な軍上層部は、泥や枯れ草の色をした軍服を身につけるなど軍人としての名誉を棄損するものであるとして強硬に反発した。このため地味な色の軍服の普及は、19世紀から20世紀初頭にかけての数次の戦役で、目立ち易く派手な軍服の弊害が繰り返し証明されてからのことであった。
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現代は戦場の埴生や冬季・夏季の季節に応じた多種な迷彩服が多用される。[[ヘルメット]](鉄帽)にも同様の迷彩柄を施した「迷彩カバー」を被せることが一般的である。
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Imageファイル:Flecktarn.jpg|戦後の新生[[ドイツ連邦軍]]の迷彩柄([[:de:Flecktarn|Flecktarn]])
Imageファイル:Camouflage desert pattern.jpg|砂漠向きの迷彩柄 デザート(砂漠)パターンとも呼ばれる
 
Imageファイル:Oesterreich Erbsentarn.jpg|かつてのオーストリア陸軍の「エンドウ豆」迷彩柄
Image:Camouflage desert pattern.jpg|砂漠向きの迷彩柄 デザート(砂漠)パターンとも呼ばれる
Imageファイル:Pla camo.svg|[[中国人民解放軍]]の迷彩 リーフパターンと呼ばれる
Image:Oesterreich Erbsentarn.jpg|かつてのオーストリア陸軍の「エンドウ豆」迷彩柄
Imageファイル:Camouflage.svg|一般的な迷彩の例
Image:Pla camo.svg|[[中国人民解放軍]]の迷彩 リーフパターンと呼ばれる
Imageファイル:Buntfarbenmuster 1918.svg|[[1918年]]の[[ドイツ国]]陸軍の迷彩
Image:Camouflage.svg|一般的な迷彩の例
Image:Buntfarbenmuster 1918.svg|[[1918年]]の[[ドイツ国]]陸軍の迷彩
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明治期に入り、本格的に洋式の軍装が採用されるようになると、実用性より格式や装飾が重視されるようになった。
[[画像ファイル:陸自第二教育団記念行事.jpg|thumb|250px|right|陸上自衛隊の新型迷彩服]]
[[Imageファイル:Japan Ground Self Defense Force soldiers patrol through the Central Training Area's combat town March 17. The JGSDF recently started using the CTA for training in accordance with the U.S. - Japan Alliance.jpg|thumb|250px|[[迷彩服2型]]の上に[[戦闘防弾チョッキ2型]]を着用し、[[89式5.56mm小銃]]を構える[[陸上自衛隊|陸上自衛隊員]]]]
[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]では、日露戦争に際して戦時服が定められ、その後それが通常勤務服(45式)に採用された例もある。
{{main|軍服 (大日本帝国陸軍)}}
 
[[警察予備隊]]・[[保安隊]]を前身とする[[陸上自衛隊]]では、戦闘・戦争を連想させる迷彩服は周辺諸国を刺激する可能性があることから、非軍事的な作業服とも解釈しうる[[オリーブドラブ]](OD)一色の戦闘服が長らく用いられ、この旧タイプの戦闘服も正式名称は「[[65式作業服|作業服]]」とされていた。また、[[階級章 (自衛隊)|階級章]]も白色の線等で表されていたが、その場合には階級章が迷彩効果を大幅に削ぐ問題点があった。そこで、[[1973年]]頃に[[北海道]]における大規模な(とくに[[ソビエト連邦|ソ連]]との)地上戦を想定し、北海道の植生において迷彩効果の高い[[迷彩服1型]]を採用した。これに加え、[[1985年]]頃から階級章も同時期の米軍に倣い、より目立たないOD地に黒線の物に変更された。<br />その後、冷戦終結後の[[1991年]]頃に日本全国の植生において迷彩効果の高い新型迷彩服([[迷彩服2型]])を採用するに至った。以前は恒常業務にはOD色の作業服を着用し、迷彩服は演習時のみ着用していたが、現在では、ほとんどの部隊で恒常業務でも迷彩服を着用している。<br>2007年以降、迷彩服2型のマイナーチェンジモデルである[[迷彩服3型]]が配備されている。
* [[迷彩服3型]]
* [[戦闘装着セット]]
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Imageファイル:Marching NPR personnel.JPG|行進する[[警察予備隊|警察予備隊員]]([[1951年]]から[[1952年]]頃)
Imageファイル:NSF Military Policeman.JPG|[[保安隊]]警務官([[1954年]])
Imageファイル:Japanese soldier DA-SC-86-04468.jpg|[[米陸軍]][[大尉]](後方)と[[迷彩服1型]]の[[陸上自衛隊]]の[[2等陸士]](前方)<br />日米共同演習([[1985年]][[11月]])
Imageファイル:070907-jgsdf2.jpg|[[迷彩服2型|迷彩作業服2型]]を着用した[[陸上自衛隊|陸上自衛隊員]]たち
Imageファイル:Riflemen from the Japanese Ground Self Defense Force practice first aid procedures on a simulated injured soldier during a medical evacuation demonstration at the Nihonbara Training Area, Japan, Nov. 12..jpg|戦闘訓練を行う隊員([[2007年]])
画像ファイル:DM-SD-06-06318.JPEG|手前の隊員は[[防寒戦闘服外衣|防寒戦闘外衣]]を、写真中央の隊員は防寒戦闘白色外衣を着用している
Fileファイル:73式大型トラック初期型(教習車)内部.jpg|OD作業服を着用している隊員、OD色の旧型弾帯を装着している
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*[[拡張式寒冷地被服システム|ECWCS]]
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Imageファイル:Captain Claxton Ray Lt. Green.jpg|[[朝鮮戦争]]当時の戦闘服。迷彩柄ではなく、OD色。
Imageファイル:Learning_shooting2.JPEG|海兵隊中尉(右)とイラクのICDC兵士(左)。2004年6月11日。
Imageファイル:US 1stCavDiv Fallujah, Nov 12, 2004.jpg|陸軍[[第1騎兵師団 (アメリカ軍)|第1騎兵師団]]。ファルージャ。2004年。
Imageファイル:101st Airborne Division - Iraq 01.jpg|陸軍[[第101空挺師団 (アメリカ軍)|第101空挺師団]]。イラク。2003年。
Imageファイル:US Marines on reconnaissance exercise 2003.jpg|海兵隊の偵察隊兵士。戦闘服と同色のブッシュハットを着用。迷彩効果により背景に溶け込んでいる。2003年。
Imageファイル:USAF Airman Battle Uniform.jpg|空軍の戦闘服(Airman Battle Uniform)
Imageファイル:MARPAT combat.jpg|海兵隊の[[:en:MARPAT|デジタル迷彩パターン]]
Imageファイル:US and Russian paratroopers.jpg|共同訓練中の米兵と露兵。1998年9月28日。
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Imageファイル:Russian Naval Infantryman.jpg|[[海兵隊|海軍歩兵]]。2003年。
Imageファイル:Evstafiev-spetsnaz-prepare-for-mission.jpg|アフガニスタンで出撃準備するソ連軍特殊部隊([[スペツナズ]])。[[1988年]]。
 
Image:Evstafiev-spetsnaz-prepare-for-mission.jpg|アフガニスタンで出撃準備するソ連軍特殊部隊([[スペツナズ]])。[[1988年]]。
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=== ドイツ ===
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画像ファイル:Bundeswehr_G36.jpg|ボスニアで[[KFOR]]の訓練に参加する[[ドイツ連邦軍]]兵士。
画像ファイル:Bundeswehr-Soldat, Provinz Kundus.jpg|アフガニスタンに派兵されたドイツ連邦軍兵士。<br>砂漠用フレックタン柄の戦闘服を着用している。
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スウエーデン軍では1990年より独自の迷彩パターン'''M90'''の戦闘服を使用している。このパターンはドイツのスプリンター迷彩からの影響を受けている。砂漠地域向けの'''M90K'''柄の戦闘服も存在しており、こちらも砂漠地域で活動する兵士が着用している。
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Imageファイル:Soldier at Berga navy base, Sweden.jpg|戦闘服を着用するスウェーデン海軍の水陸両用部隊兵士。
Imageファイル:Swedish visit to Regional Command North.jpg|M90K柄の戦闘服を着用しMarmal基地を訪れる[[カール16世グスタフ (スウェーデン王)|カール16世グスタフ国王]](右から2人目)
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以下は、[[タイ軍事クーデター (2006年)|2006年のタイ軍事クーデター]]時の同国陸軍兵士の戦闘服である。
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Imageファイル:2006 Thailand Coup 006.jpg|鉄帽は耳を保護するフリッツタイプとなっている。通常の戦闘服の上にチョッキを羽織っている。
Imageファイル:BKK24090610.jpg|弾帯をサスペンダーで吊るしている。
Imageファイル:BKK24090611.jpg|シャツスタイルの憲兵
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[[オーストラリア軍]]は、AUSCAMと呼ばれている多色カモフラージュを着用する。これは米軍の[[BDU]]と類似しているが、コンピュータープログラムによりオーストラリアの景色の色を入れることによって開発された。現在ではマルチカムベースのオリジナル柄AMP OCUに更新作業が進んでおり、今後数年で統一される見込みである。
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Imageファイル:1 CER laying down barbed wire in Queensland 2009-07-09.JPG
Imageファイル:Simone Wilkie - cropped.jpg|AUSCAMの砂漠用を着用する女性兵士
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== 派生語 ==
 
なお、戦闘服という言葉は「勝負服」として[[ホステス]]などを中心に仕事着の意味を持って使われていた時代もあった(今も稀に使う者がいるが、事実上[[廃語]]に近い)。
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
 
== 関連項目 ==
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* [[歩兵]]
 
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:せんとうふく}}
{{gunji-stub}}
[[Category:軍服]]
<references />