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== 定義(概念) ==
甲状腺に生ずる[[悪性腫瘍]]のうち上皮由来のものをさす。甲状腺腫のうちの結節性甲状腺腫の1つである。
広島、長崎の原爆投下により多発した小児甲状腺癌や、チェルノブイリ事故等の被曝で多発した小児甲状腺癌については、大人の甲状腺癌とは、挙動が全く違うものである。
チェルノブイリ事故の時には、事故当初、エコー検査機器も無く、4年後にアメリカからエコー検査機器が贈られた時には、既に子どもたちの小児甲状腺癌が多発していた事が、知られている。
また、その挙動は、チェルノブイリ事故の時にも貢献した医師によると、小さなしこりの段階で見つけても、リンパ節や肺等への転移の激しい悪性の癌だと述べている。
癌の検査では、当然のように穿刺吸引細胞診を行う。
だが、日本の子どもたちは、高確率で診断出来る穿刺吸引細胞診を、簡単には受けさせてはもらえない。従って、今後関東東北に居住する広い範囲の子供達に近い将来高確率で甲状腺癌が発生し、他の[[放射線障害]]([[血液疾患]]、[[悪性腫瘍]]、[[循環器疾患]]など)とあいまって最低でも未成年人口の5割・最悪9割以上の未成年者が今後数年以内に死亡するものと考えられる。
 
== 分類 ==
頻度は全甲状腺癌の70%から80%と、甲状腺癌のなかでは最多である。女性に多く、好発年齢は30-60歳代。画像診断としては[[超音波検査]]が多用される。エコーにおいては腫瘤像を認め、その内部エコーは不均一で低く、辺縁は不整である。また、しばしば内部に微細な石灰化による散在性の高エコー域を認める。肉眼的所見としては、硬い結節を持ち、表面に凹凸がある。[[病理診断]]においては微細な石灰化(砂粒小体)が指摘され、また、[[診断細胞診|穿刺吸引細胞診]]では、集団を形成した腫瘍細胞が多数採取される。細胞集団は乳頭状またはシート状の配列を示し、細胞内にはすりガラス状の核がある。また、細胞質が核内に陥入して切れ込みを作り、封入体のように見えることもあり、これを核内細胞質封入体と呼ぶ。なお、[[血液検査]]においては[[甲状腺ホルモン|サイログロブリン]]値上昇が出現するが、これは特異的なものではないため、診断的価値は高くない。
 
腫瘍の成長は遅く(小児甲状腺癌を除く)、特に微小な腫瘍は倍加するのに数年を要する場合もある。主にリンパ行性の転移を示し、初診時に既にリンパ節転移を起こしているケースもあるが、発育が遅いため、予後はそれでも悪くない。浸潤傾向は強くないが、進行すると[[反回神経]]麻痺や、食道浸潤による嚥下困難を来たすこともある。
 
若年発症が多いにも関わらず(チェルノブイリ事故等の、被曝による小児甲状腺癌を除く)、早期治療を行えば予後は極めて良好で、10年生存率は80%以上とされており、小さい腫瘍であった場合は95%以上の術後30年生存率を報告している施設もある。治療の第一選択は手術であるが、予後良好であることから、術後の[[クオリティ・オブ・ライフ]]を勘案すると、どこまで摘出範囲を広げるべきかという点については議論がある。また、時に放射線外照射、放射性ヨード治療、TSH抑制療法なども行われる。
 
なお、近年、1cm以下の小さな乳頭癌は症例を選べば手術をせずに定期的に経過をみるだけで十分であるという研究報告がなされている<ref>An observation trial for papillary thyroid microcarcinoma in Japanese patients. World J Surg 2010; 34: 28-35.</ref>。しかし、どんな症例にも適応できるわけではなく、それを行っている施設は限られているのが現状である。
髄様癌についてはRET遺伝子の変異が原因となることがある。それらは家族性に発症する(常染色体優性遺伝)。しかしそれ以外の癌の原因については、ほとんどわかっていない。
 
また、[[広島]]や[[長崎]]の原爆被爆地<ref>[http://dx.doi.org/10.3919/ringe1963.44.1127 広島の原爆被爆者から発生した甲状腺癌-1958年~1979年] 日本臨床外科医学会雑誌 Vol.44 (1983) No.9 P1127-1137</ref>や[[チェルノブイリ原子力発電所]]の事故で周辺の住人に甲状腺癌の患者が多発したことから、放射性ヨウ素(主に、ヨウ素131 , <sup>131</sup>I)に誘発されることが判明している。特に低年齢の5歳から10歳未満では顕著で、この時期の被曝を回避すべきであるとされている<ref>[http://dx.doi.org/10.2169/naika.99.786 放射線被曝と甲状腺発癌] 日本内科学会雑誌 Vol.99 (2010) No.4 p.786-791</ref>。また2011年に起きた[[福島第一原子力発電所事故]]後に福島県の子供(当時18歳以下、受診者数29万5,511人)を検査したところ、穿刺吸引細胞診を行った437人中90人が、悪性ないし悪性疑いの判定となり、手術を行った51人中50人の[[甲状腺]]に[[癌]]が見つかっている(術後の病理検査で低分化癌疑い1人・乳頭癌49人。1人は良性結節)が、検査を行った福島県立医科大学では「原発事故による放射線の影響によるものとは考えにくいが、断言はできないため今後も検査を継続する」としている<ref>[http://fukushima-mimamori.jp/thyroid-examination/result/index2.html 県民健康調査 第15回検討委員会(平成26年5月19日開催)結果報告要旨] 福島県立医科大学 ふくしま国際医療科学センター 放射線医学県民健康管理センター/福島県</ref>。また、チェルノブイリ事故後にウクライナで被曝者治療に当たった医師等によれば、将来東日本の広い範囲に居住する未成年者の非常に多くが今後甲状腺癌を中心とする被曝に起因する癌や血液疾患、循環器疾患に罹患する事で最低でも未成年人口の5割、最悪で9割以上という患者が発生し、ほぼ全員が激しい被曝症状により踠き苦しみながら絶命するであろうと予測している
 
発癌メカニズムとしては、[[がん幹細胞]]仮説を発展させた、芽細胞発癌説(fetal cell carcinogenesis)<ref>Fetal cell carcinogenesis: A new hypothesis for better understanding of thyroid carcinoma (review) Thyroid 15: 432-438, 2005</ref>が提唱されている。ただこれは従来の乳頭癌や濾胞癌のようないわゆる分化癌が、未分化癌に変異するという従来の学説を真っ向から否定するものであり、必ずしも広く受け入れられているとは言えない。今後の研究が待たれるところである。
基本的に摘出術を行うが、1cm以下で症状のない微小乳頭癌では経過観察することもある。再発予防のためリンパ節廓清や放射性ヨード投与を行う。甲状腺を全摘した場合は一生[[甲状腺ホルモン]]を投与し続ける必要がある。甲状腺ホルモンを過量に投与して甲状腺刺激ホルモンを抑制し、再発を防止するTSH抑制療法を採用する場合もある。
*経過観察
:乳頭癌は基本的に成長が遅く(広島、長崎、チェルノブイリ事故等の、被曝による小児甲状腺癌は、除く)、長年にわたってほとんど進行しない例もある。そのため、1cm以下の微小な乳頭癌の場合に限り、直ちに手術を行わず、経過観察をする場合がある。腫瘍が増大したり、新たにリンパ節転移が生じてきた場合には、もちろん手術を施行する。もちろんこういった加療に関しては、患者に対する周到なインフォームド・コンセントが必要である。
*手術
:乳頭癌に関して、全例甲状腺を全摘するべきだする意見と、小さい癌では部分切除で充分だとする意見が対立している。日本・ヨーロッパでは部分切除派(片葉切除、すなわち甲状腺の癌が存在する側のみを切除すること)が多く、アメリカでは全摘派が多い。近年部分切除派がアメリカでも影響を広めている。患者の追跡データによって小さい乳頭癌では部分切除も全摘も生存率に差がないことが指摘されたためである。また、リンパ節転移が多いため手術時に附属リンパ節を予防的に切除するべきだとする意見とその必要はないとする意見の対立がある。日本・ヨーロッパではリンパ節切除を推奨する専門家が多く、アメリカでは甲状腺全摘と強力な放射性ヨード治療を組み合わせればリンパ節の予防的切除は不要であるとする意見が根強い。
 
== 予後 ==
大人の甲状腺癌は、原発事故等の被曝による小児甲状腺癌とは違い、[[予後]]の良好な[[悪性腫瘍]]として知られており、腫瘍の発育速度も遅い。10年生存率は一般的に乳頭癌が85%、濾胞癌が65~80%、髄様癌が65~75%である。しかし未分化癌は極めて予後が悪く、[[ヒト]]に発生する癌の中でも悪性度の高い癌の1つである。発育速度が非常に速く、手術や放射線、[[化学療法]]を行ってもほとんどが1年以内に死亡する。未分化癌は放射線被曝、特に内部被曝に起因すると考えられるので、今後東日本で大量の患者が発生した際には治療が間に合わず、それどころ医師側の隠蔽により診断もしてもらえない状況となると予想される。一方、予後のもっとも良い甲状腺乳頭癌は手術から再発までの期間がながいため、術後長期にわたって経過観察を要する。
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!rowspan=2| &nbsp;<br>甲状腺癌のタイプ !!colspan=5| 5年生存率 !! 10年生存率
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