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量子論では[[ニールス・ボーア]]が遷移の概念を最初に導入した。[[ボーアの原子模型]]では、[[原子]]が光を放出・吸収したりするのは、原子がある[[定常状態]]からエネルギーの違う他の定常状態に突然飛び移る時だけである。この飛び移りを'''遷移'''という。
==== 遷移確率 ====
量子力学では系の定常状態は[[ハミルトニアン]]の[[固有状態]]であり、系の外部からの[[摂動]]が無ければ系は定常状態にとどまっている。外部からの摂動が加わると、系は新たなハミルトニアンの固有状態になっていないときは時間変化し、他の定常状態に遷移する。始状態<math>|i\rangle</math>に摂動が加わってからt秒後の状態を<math>|t\rangle</math>とすると、状態<math>|i\rangle</math>から別の定常状態<math>|f\rangle</math>への'''遷移確率'''は<math>|\langle f|t\rangle|^2</math>で定義される。
 
時間依存を考慮した[[散乱理論]]によると、摂動<math>\hat{H}'</math>が与えられて十分よって始状態<math>i</math>から終状態<math>f</math>への遷移時間起き経過したときの厳密な単位時間あたりの遷移確率<math>W_{i \rightarrow f}</math>は、時間依存を考慮した[[散乱理論]]により、以下のように表される。
:<math>W_{i \rightarrow f}=\frac{2\pi}{\hbar}|\langle f |\hat{T}|i \rangle |^2\delta(E_f-E_i)</math>
ここで<math>\delta(x)</math>はデルタ関数で[[エネルギー保存]]を表す。<math>\hat{T}</math>は摂動<math>\hat{H}'</math>に対応した[[T行列]]である。
 
しかし一般的には摂動が小さいとして、[[摂動論]]によって求められた遷移確率を用いることが多い。この場合、T行列要素は次のように摂動展開される。
:<math>
\langle f |\hat{T}|i \rangle