「武富士弘前支店強盗殺人・放火事件」の版間の差分

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{{Infobox 民間人の攻撃
|名称 = 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件
|画像 =
|場所 = [[青森県]][[弘前市]][[田町 (弘前市)|田町]]<br />株式会社[[武富士]] 弘前支店
|標的 = 民間人([[消費者金融]]会社従業員)
|日付 = [[2001年]][[5月8日]]([[火曜日]])
|時間 = 午前10時49分(JST)
|武器 = [[混合油]]([[ガソリン]]約95%)
|手段 = 放火
|死亡 = 5名
|負傷 = 4名
|損害 = 当該店舗(96.3m{{sup|2}})のうち85.16m{{sup|2}}の焼損。<br />強盗事件としては未遂。
|犯人 = K(男、[[1958年]][[5月19日]] - [[2014年]][[8月29日]])
|動機 = [[競輪]]に費消して発生した[[借金]]の返済
|対処 = [[2003年]][[2月12日]]死刑判決<br />[[2007年]][[4月12日]]判決確定<br />[[2014年]][[8月29日]]死刑執行([[宮城刑務所]])
}}
'''武富士弘前支店強盗殺人・放火事件'''(たけふじひろさきしてん ごうとうさつじん・ほうかじけん)は、[[2001年]][[5月8日]]に[[青森県]][[弘前市]][[田町 (弘前市)|田町]]で起きた[[強盗致死傷罪|強盗殺人]]・[[現住建造物等放火罪|放火]][[事件]]である。
 
== 概要 ==
2001年5月8日午前10時49分頃、男(以下「犯人」)が[[武富士]]弘前支店に強盗目的で押し入った。[[犯人]]はカウンター越しに混合油をまき「[[現金|金]]を出さなければ火をつける」と脅迫したものの支店長に拒否され[[110番]]通報されたため激怒し放火、逃走した。火災は店内に一気に広がり、店延べ約96平方メートルをほぼ全焼<ref>一審判決では「''鉄骨造陸屋根3階建て建物3階の同支店店舗(総床面積96.3平方メートル)をほぼ全焼させて焼損する(焼損面積約85.16平方メートル)''」と事実認定されている。</ref> した。支店は3階にあり、小さな窓しかないという建物の構造も災いし、同支店の社員5人(当時20〜4620~46歳)が炎に囲まれて脱出不能となりそのまま死亡。辛うじて脱出出来た4人も重軽傷を負う惨事となった。
 
弘前支店が通報した際、[[住所]]を言い間違えたためそちらに出動した後に現場に[[日本の警察|警察]]が到着したり、招集日であったため[[緊急配備]]までに時間を要したことなどから初動が遅れ、犯人の逃走を許した。早い段階で[[重要参考人]]として[[タクシー]]運転手の男(以下「K」)が浮上していたものの、Kが逃走中に[[アリバイ]]の偽装などを行っていたため[[捜査]]は難航した。その後作成されたKの[[モンタージュ]]の[[似顔絵]]や放火に用いた[[新聞紙]]などが決め手となり、[[2002年]][[3月4日]]に[[逮捕]]となった。
 
=== 動機 ===
Kは仲人の女性から頼まれて消費者金融から借金をし援助をしたがそれが借金地獄への転落の一因であった。女性一家が2000年4月28日に[[岩手県]][[宮古市]]の港で自殺したことを新聞報道<ref>女性は家族ぐるみで詐欺をしており、後に[[青森警察|青森署]から[[詐欺罪|詐欺]]容疑で[[指名手配]]されていた。</ref><ref>『毎日新聞』2000年(平成12年)4月29日(土曜日)朝刊29面。</ref>で知り、精神的にますます追い詰められ、事件に至っている。直接の動機は[[ギャンブル]]による[[借金]]苦であった。
 
== 犯人逮捕の決め手 ==
警察は犯人が逃走する際に引火した新聞紙の燃え残りを徹底的に分析、[[印刷]]する際、四隅に入る「トンボ」のわずかな見当ズレや版の消耗から発生する印刷擦れ、「第○○版」という紙面上部に入る印刷完了時を示す符号等から[[工場]]に複数台あるオフ輪印刷機の特定並びに配達地域を割り出した。その地区の住人で逃走車両と同型の車を持っていた者はKだけであったため、警察は重要参考人としてKを[[事情聴取]][[捜索|家宅捜索]]の結果、テレビ局に送りつけられた犯行声明文の筆圧が残った便箋と犯行時に着ていた作業着を発見。Kは犯行を自供した。
 
== 裁判 ==
2002年にKは[[強盗致死傷罪|強盗殺人]][[未遂]]、[[現住建造物等放火罪|現住建造物等放火]]の罪により[[起訴]]された。1審より被告側は「ガソリンは脅すために持って行ったもので火をつけるつもりはなく、殺意はなかった」として最高裁まで争った。しかしまいたガソリンにKが実際に火をつけ[[被害者]]を死に至らしめていることなどから、「強盗が失敗して自暴自棄になり、支店内の社員らが死ぬかも知れないことを認識しながら、それでも構わないと考えてガソリンに火を放ち、被害者を殺害した」とし「未必の殺意」を認定。1審・2審ともに[[日本における死刑|死刑]][[判決 (日本法)|判決]]が言い渡され、[[2007年]][[3月27日]]に[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]はKの[[上告]]を[[棄却]]した。[[被告人|被告]][[弁護人]]は同年[[4月2日]]判決の訂正申し立てを行ったが最高裁は同月12日付けで申し立てを却下。死刑が確定した。
 
死刑確定後Kは主に殺意の有無をめぐり3度にわたり[[再審]]請求を行ったが、すべて棄却されている。[[2014年]][[8月6日]]に3度目の再審請求の棄却が言い渡された。同年[[8月29日]]、[[宮城刑務所]]<ref>拘置自体は[[仙台拘置支所]]で行われるが、刑場は併設の宮城刑務所にあるため。</ref>にてKの死刑が執行された<ref>{{Cite news | url = http://www.47news.jp/CN/201408/CN2014082901001268.html | title = 2人の死刑執行 武富士放火殺人、群馬射殺 | agency = [[共同通信社]] | publisher = [[47NEWS]] | date = 2014-08-29 | accessdate = 2014-08-29 }}</ref>。4度目の再審請求の準備に入るところであったという。
 
== 武富士の対応 ==