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|独自研究 = 2015年6月
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[[イギリスの競馬|イギリス競馬]]の[[クラシック (競馬)|クラシック競争]]に由来する概念で、一定の格式がある3つの競争を三冠(三冠競争、三冠レース)という。また、三冠レースの全てを優勝した馬を三冠馬という。イギリスのクラシック競走を模倣したレースが世界中にあるため、日本を含む各国に三冠が存在する。日本では特に[[皐月賞]]、[[東京優駿|東京優駿(日本ダービー)]]、[[菊花賞]]のクラシック3競争を三冠と言う<ref>[http://www.jra.go.jp/keiba/thisweek/2015/0419_1/playback.html 第75回皐月賞(プレイバック)] - [[日本中央競馬会]],2015. </ref>。また、これらに派生して、クラシック競争に限らなくても、特定の3競争を三冠と呼ぶことがある。
[[競馬]]における'''三冠'''(さんかん、'''Triple Crown''')とは[[競馬の競走]]のうち特定の3競走を指す。
 
==クラシック競走と三冠==
一般に1シーズンの間、この3競走すべてに優勝した馬を'''三冠馬'''と呼ぶ。
18世紀後半から19世紀初頭にイギリスで、後にクラシック競争と呼ばれる3歳馬限定の5つの競争が誕生した。このうち牡馬が出走できる3つ全てのレース([[2000ギニー]]・[[ダービーステークス]]・[[セントレジャーステークス]])を、1853年に[[ウェストオーストラリアン (競走馬)|ウェストオーストラリアン]]が制覇し、1865年に[[グラディアトゥール]]がこれに続くと、一流の3歳馬はこれらのレースを目指すのが慣例になり<ref name="CP_11-13">『CLASSIC PEDIGREES 1776-2005』p11 - 13</ref>、3競争全てを制覇することは最高の栄誉となった。
 
初めて三冠(Triple(Triple Crown)crown)という語が用いられた言葉登場これよりも遅く、1930年にアメリカで[[ギャラントフォックス]]がアメリカのクラシック3競争([[ケンタッキーダービー]]、[[プリークネスステークス]]、[[ベルモントステークス]]勝っ全て制し時でときに記者のチャールズ・ハットン(Charles Hatton)がアメリカの[[競馬新聞]]「[[デイリーレーシングフォーム]]」のコラムニスト、チャールズ・ハットン(Charles Hatton)が記事中に用いたのが、はっきりと判っている最初の例とされている。このとき、ハットンは19世紀のイギリスのウェストオーストラリアンを引き合いに出した<ref>一方、アメリカの新聞「[[ニューヨーク・タイムズ]]」はこれより早く、少なくとも1923年から「三冠(Triple Crown)」という語を使用していたと主張している。<br>[http://therail.blogs.nytimes.com/2008/04/24/origins-of-triple-crown/?_r=0 Origins of Triple Crown] [[ニューヨーク・タイムズ]]紙公式ブログ 2008年4月24日付。2013年11月28日閲覧。</ref><ref name="DRF_20120605">[http://www.drf.com/news/triple-crown-familiar-term-around-world デイリーレーシングフォームHP 2012年6月5日付]「Triple Crown familiar term around the world」</ref>。この記事でハットンは前述のウェストオーストラリアンを引き合いに出したことから、三冠という言葉は本家イギリスのクラシック競走や、それを模した各国の競争に対しても一般的に使われるようになっていった。日本の三冠もこれが元になっている
==概要==
{{要出典範囲|「'''Triple Crown'''」という表現はもともとアメリカで[[ケンタッキーダービー]]、[[プリークネスステークス]]、[[ベルモントステークス]]の3競走を制覇したものを表現するために生まれたものとされているが、この表現はイギリスにも伝わって、[[2000ギニー]]、[[ダービーステークス]]、[[セントレジャーステークス]]の3競走を「Triple Crown」と言うようになった。|date=2015年6月}}
 
また、イギリスクラシック競争の残りの2レース([[1000ギニー]]、[[オークス]])は牝馬限定で、これらとセントレジャーを合わせたものを牝馬三冠と呼ぶようになり、これに類似するものも世界中に広まっている。
イギリスのクラシック競走体系を導入した日本では、「'''三冠'''」という表現は「クラシック競走」である3競走([[皐月賞]]、[[日本ダービー]]、[[菊花賞]])の総称として使われてきた。日本では狭義の「三冠」として、この3競走、もしくはこの3競走に相当する3つの競走を特別に「三冠」と表現する<ref>[http://www.jra.go.jp/keiba/thisweek/2015/0419_1/playback.html 第75回皐月賞(プレイバック)] - [[日本中央競馬会]],2015. </ref>。
 
このように当初はクラシック競争に限定した言葉であったが、次第に用法が拡大していき、現在ではクラシック競走に限らなくても特定の3つのレースが◯◯三冠と呼ばれることがある。(イギリスの「長距離三冠」、日本の「秋古馬三冠」等)
{{要出典範囲|一方、より広義には、「特定の(重要な)3競走」を「三冠(Triple Crown、triple crown)」と表現することもある。本項では、こうした用法も含めて「三冠(Triple Crown)」と表現される競走を扱う。|date=2015年6月}}
===イギリスの「三大競走」と「クラシック」===
19世紀のイギリスでは、18世紀に創設された[[ダービーステークス]]、[[オークス]]、[[セントレジャーステークス]]を「三大競走('''Three Great Races''')」と呼ぶようになった<ref name="CP_11-13">『CLASSIC PEDIGREES 1776-2005』p11 - 13</ref>。
 
19世紀の半ばには、[[ウェストオーストラリアン (競走馬)|ウェストオーストラリアン]]や[[グラディアトゥール]]が、[[2000ギニー]](1809年創設)と、ダービー、セントレジャーの3競走を制すると、3歳の一流馬はこの3競走を目標にするのが慣例となっていった<ref name="CP_11-13"/>。
 
これに牝馬の[[1000ギニー]]、オークスを加えた5競走が、「イギリスクラシック(“'''British Classics'''”)」と呼ばれるようになった<ref name="CP_11-13"/>。
 
===「三冠」という表現の起源===
初めて三冠(Triple Crown)という語が用いられたのは、1930年にアメリカで[[ギャラントフォックス]]が[[ケンタッキーダービー]]、[[プリークネスステークス]]、[[ベルモントステークス]]を勝った時で、アメリカの[[競馬新聞]]「[[デイリーレーシングフォーム]]」のコラムニスト、チャールズ・ハットン(Charles Hatton)が記事中に用いたのが、はっきりと判っている最初の例とされている。このとき、ハットンは19世紀のイギリスのウェストオーストラリアンを引き合いに出した<ref>一方、アメリカの新聞「[[ニューヨーク・タイムズ]]」はこれより早く、少なくとも1923年から「三冠(Triple Crown)」という語を使用していたと主張している。<br>[http://therail.blogs.nytimes.com/2008/04/24/origins-of-triple-crown/?_r=0 Origins of Triple Crown] [[ニューヨーク・タイムズ]]紙公式ブログ 2008年4月24日付。2013年11月28日閲覧。</ref><ref name="DRF_20120605">[http://www.drf.com/news/triple-crown-familiar-term-around-world デイリーレーシングフォームHP 2012年6月5日付]「Triple Crown familiar term around the world」</ref>。
 
1935年に、アメリカでは[[オマハ (競走馬)|オマハ]]がケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスを勝ち、イギリスでは[[バーラム]]が2000ギニー、ダービー、セントレジャーを勝った。「デイリーレーシングフォーム」によれば、この頃からアメリカやイギリスで「三冠(Triple Crown)」という表現が普及した<ref name="DRF_20120605"/>。
 
===派生した用法===
{{要出典範囲|これとは別に、特定の範囲で重要な2戦をまとめて「二大(the Double)」などと称する習慣があった。たとえば1839年に創設された[[:en:Cambridgeshire Handicap|ケンブリッジシャーハンデキャップ]]と[[ロシア皇太子ハンデキャップ]]の2競走は、「秋の二大競走(the Autumn Double)」と称されていた。|date=2015年6月}}
 
さらに、イギリスの代表的な[[馬齢|古馬]]戦の[[ゴールドカップ]]、[[グッドウッドカップ]]、[[ドンカスターカップ]]の3つのカップ戦を「長距離三冠(Stayers' Triple Crown)」と呼ぶようになった<ref name="Ascot">[http://www.horse-racing.co.uk/races/ascot-gold-cup.php アスコットゴールドカップの歴史] 2013年11月28日閲覧。</ref>。
 
{{要出典範囲|こうした用法はさまざまに拡大し、「特定の3つの代表的な競走を1シーズンで制する」ものにも「三冠(Triple Crown)」の呼称が使われるようになった。今では、いわゆる「クラシック三冠」以外にも、特定の地区の大レースを制したもの、特定の条件の3競走を制したものなどにも「三冠」という語が使われることがある(広義の「三冠」)。|date=2015年6月}}
 
{{要出典範囲|なお、上記の「長距離三冠」は古馬の競走であるため、複数のシーズンにわたって何度も出走することが可能である。一般的には、異なる年にそれぞれの競走に勝って3競走を制しても「三冠」と称されることはない。ただし、中には特定の年齢の時しか出走できないような競走を3つ制することで成立するような「三冠」もある。|date=2015年6月}}
 
たとえば旧ソ連では、2歳馬の最大の競走「МИカリーニン記念」、3歳馬の最大の競走「ソビエト・ダービー(ボリショイ・フシエソユツニー賞)」、古馬の最大の競走「ソビエト社会主義共和国賞」を全て勝つと「三冠」と言われる<ref>『サラブレッド血統事典』山野浩一・著、二見書房・刊、1991年(第6版)p86 - 95</ref>。
 
{{要出典範囲|「三冠」と言われるものには、この語の起源である2000ギニー、ダービー、セントレジャーのように、自然発生的にうまれた概念が定着したもの、最初から「三冠」戦となるように意図して用意されたもの、主催者が興行的な目的で「三冠」を称するもの、実際に「三冠」を達成することで何らかの特別な賞金等が得られるもの、単にいくつかの主要レースをひとまとめにしたものなど、様々なものがある。|date=2015年6月}}
 
===「三冠」を表す語===
{{要出典範囲|crownという名詞は可算名詞であるが、一般に、「三冠」を表す英語は「(the)Triple Crown」であり、「three crowns」ではない。
 
牝馬限定の競走には、総称として「トリプルティアラ(Triple Tiara)」と表現するものもある。|date=2015年6月}}
 
===「冠」の数え方===
{{要出典範囲|上述のように、一般的には、特定の3競走を制したものを特別に「三冠」と呼ぶ。三冠のうち2つを制したものを「二冠」と呼ぶ場合もある。たとえば「イギリスクラシック三冠」の二冠と、「イギリス長距離三冠」の一冠を制したことで、あわせて「三冠」とは呼ばない。
 
一方、用例としては、不特定の複数の大レースを勝ったことを「冠」を[[助数詞]]のように用いて表現することもある。|date=2015年6月}}
====日本の「五冠」「七冠」====
{{要出典範囲|日本では、[[シンザン]]が1964年に史上2頭目の日本三冠馬となった。シンザンはその後、[[有馬記念]]と[[天皇賞]]を制したことから「五冠馬」と呼ばれるようになった。
これに倣い、1984年に三冠を達成し、その後に有馬記念(2回)、天皇賞、[[ジャパンカップ]]を勝った[[シンボリルドルフ]]は「七冠馬」と呼ばれるようになった。|date=2015年6月}}
 
{{独自研究範囲|しかし、たとえば三冠戦のうち二冠(皐月賞と菊花賞)を制し、さらに有馬記念を勝ったとしても、普通はこれを「三冠」とは表現しない。
 
ただし、[[クリフジ]]のように、牡馬と牝馬のクラシック競走5戦のうち3つを制したもの、4つを制したものを「変則三冠・変則四冠」と呼ぶ例はある。近年は、クラシック競走ではない[[NHKマイルカップ]]を含めて「変則二冠」と称する場合もある。|date=2015年6月}}
 
==日本の「三冠」==
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*'''牝馬クラシック三冠''' - [[1000ギニー]]、[[オークス]]、セントレジャーステークス
:{{Main|イギリスクラシック三冠}}
*'''長距離三冠'''<ref name="Ascot">[http://www.horse-racing.co.uk/races/ascot-gold-cup.php アスコットゴールドカップの歴史] 2013年11月28日閲覧。</ref> - [[ゴールドカップ|アスコットゴールドカップ]]、[[グッドウッドカップ]]、[[ドンカスターカップ]]
:達成馬は[[アイソノミー|Isonomy]](1879年)、[[アリシドン|Alycidon]](1949年)、Souepi(1953年)、Le Moss(1979年・1980年)、Longboat(1986年)、Double Trigger(1995年)。
:[[馬齢|古馬]]による三冠競走である。この3競走はどれも200年近い歴史を持ち、古くは非常に重要で価値の高い競走だった。