「麦角菌」の版間の差分

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[[Image:Ergot sur blé.jpg|thumb|200px|麦角菌の感染により黒く変色した種子。]]
 
麦角は[[エルゴリン]]骨格を有する麦角アルカロイドを含み、これらは[[循環器系]]や[[神経系]]に対して様々な毒性を示す。神経系に対しては、手足が燃えるような感覚を与える。循環器系に対しては、[[血管]]収縮を引き起こし、手足の[[壊死]]に至ることもある。脳の血流が不足して精神異常、けいれん、意識不明、さらに死に至ることもある。さらに[[子宮]]収縮による[[流産]]なども起こる。
 
また、微量の麦角は古くから[[堕胎]]や出産後の止血にも用いられたが、現在は麦角そのものは用いられず、麦角成分の[[エルゴタミン]]が[[偏頭痛]]の治療に用いられる。
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中世ヨーロッパでは麦角菌汚染された[[ライムギ|ライ麦]]パンによる麦角中毒による騒ぎがしばしば起きている。[[聖アントニウス|聖アントニウス会]]の修道士が麦角中毒の治療術に優れるとされたことから、ヨーロッパでは麦角中毒は「[[聖アントニウス]]の火」 ([[:en:St. Anthony's fire|St. Anthony's fire]]) とも呼ばれてきた。これは聖アントニウスに祈ると治癒できると信じられてきたからである。
 
古くは治療法として転地療養や旅が良いとされたのは、別の土地へ行くことで麦角菌に汚染された食物を口にせずに済むようになるからとされている。
現在でもライ麦が麦角菌に汚染される死亡事故は発生している。
 
また、ヨーロッパ・[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の歴史上の事件・出来事の中にも、後年の調査や推測の中で、原因や要因として麦角中毒との関係が唱えられているものがある。
 
* 中世に流行した「[[死の舞踏]]」。ただし、通常は同じく中世ヨーロッパで大流行して多数の死者を出した[[ペスト]]がモチーフとされる。
* [[セイラム魔女裁判]]:若い女性が麦角菌汚染されたライ麦を食べたことから始まったのではないかともいう。つまり、麦角菌の産生物によって若い女性が幻覚に陥ったことがきっかけとの説である。
* [[古代ギリシャ]]で[[エレウシス]]の秘儀に用いられたキュケオン (Kykeon) という飲料:麦角成分が含まれていたのではないかと考える人もいる。
 
また、現在でもライ麦が麦角菌に汚染される死亡事故は発生している。
 
[[イネ|稲]]に寄生する麦角菌は知られておらず、日本では家畜を除き麦角中毒の記録はほとんどない。ただし[[1943年]](昭和18年)の食糧難時に[[岩手県]]で[[ササ|笹]]の実を食べた[[妊婦]]が数多く[[流産]]するという事件があり、これは麦角中毒が原因であろうと考えられている。
 
== 出典 ==