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'''ペクチン''' (Pectin) とは、植物の[[細胞壁]]や中葉に含まれる[[多糖|複合多糖類]]で、[[ガラクツロン酸]] (Galacturonic acid)が α-1,4-結合したポリガラクツロン酸が主成分である。ガラクツロン酸のカルボキシル基が[[メチル基|メチル]][[エステル]](methyl ester)(methyl ester) 化されたものをペクチン、メチルエステル化されていないものを'''ペクチン酸''' (Pectic acid) と呼ぶ。天然ではガラクツロン酸の一部にメチル化が見られ、人工的に脱エステル化することによってペクチン酸が得られる。ガラクツロン酸の他にも、いくつかの多様な[[糖]]を含むことが知られる。分子量は50,000~360000 - 360,000で、特に植物の葉、茎、果実に含まれる。[[アンリ・ブラコノー]]によって[[1825年]]に初めて単離された<ref>Braconnot, Henri. Keppler, Frank ''et al.'' Methane emissions from terrestrial plants under aerobic conditions. ''Nature'' '''439''', 187-190</ref>。[[EDTA]]、[[クエン酸]]、[[シュウ酸]]などの[[キレート]]剤と共に加熱することで可溶化され抽出される。
 
[[食品添加物]]として使用される。
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=== ホモガラクツロナン ===
ホモガラクツロナン(Homogalacturonan、HG) (Homogalacturonan, HG) は最も主となる構造。ガラクツロン酸のみの連続したα-1,4-結合。ガラクツロン酸の[[カルボキシル基]]へのメチルエステル化や[[水酸基]]への[[アセチル基|アセチル]]化が存在し構造に変化をもたらしている。エステル化されていないガラクツロン酸のカルボキシル基が[[カルシウム]][[イオン]]と結合してゲル化する。そのためメチルエステル化の頻度が強度を決める要因となる。
 
=== ラムノガラクツロナン‐I ===
ラムノガラクツロナン‐I(Rhamnogalacturonan‐I (Rhamnogalacturonan-I, RG-I)I) ガラクツロン酸と[[ラムノース]]のα-1,4/1,2-結合の繰り返し構造である。ラムノースからは1,4-[[ガラクトース|ガラクタン]]、1,3-[[アラビノース|アラビナン]]の側鎖が分岐している。
 
=== ラムノガラクツロナン‐II ===
ラムノガラクツロナン‐II(Rhamnogalacturonan‐II (Rhamnogalacturonan-II, RG-II)II) 約30の糖からなる複雑な構造である。ガラクツロン酸、ラムノース、の他[[アピオース]]や[[メトキシ基|メトキシ]]化した[[グルクロン酸]]、[[フコース]]などを含む。
 
== 食品添加物としてのペクチン ==
食品工業においては[[増粘安定剤]](増粘多糖類)として使われており、[[サトウダイコン]]、[[ヒマワリ]]、アマダイダイ([[オレンジ]])、[[グレープフルーツ]]、[[ライム]]、[[レモン]]、または[[リンゴ]]などから酸抽出される。ペクチンは酸性の食品にも使用できることから、[[ジャム]]・[[ゼリー]]などの[[ゲル化剤]]やヨーグルト飲料などの乳タンパク安定剤として使用される。カルシウムとのゲル化作用を直接利用する[[フルーチェ]]のような食品もある。また、食品添加物のペクチンは食品用に精製されたものであり、ミカンやオレンジなどペクチンの含む果物を牛乳と直接混ぜ合わせても凝固しない。
 
== 人体への作用 ==
ヒトの消化管内では[[微生物]]が分解するが、ヒトの消化[[酵素]]では分解されないことから[[食物繊維]]として機能し、整腸作用やコレステロール低下作用などを有すると言われている。また抽出する植物の種類によっては[[アレルギー]]緩和作用があるという報告もある。またほか、ワイン酵母などでペクチンを含むものを醗酵させると、メチル・エステルが[[エステラーゼ]]によって加水分解され、人体にとっては有害な[[メチルアルコール]]が生成される。このメチルアルコールは人体にとっては有害である。セシウムを効率的に排出するという、バンダジェフスカヤ([[バンダジェフスキー]]博士夫人)による論文があるが、十分に精査されていない論文のため、否定的な意見もある。
 
ペクチンを食餌ととも同時に摂取すると血糖上昇が抑制され、インスリンの分泌も抑制された<ref>Jenkins, D.J.A., Lees, A.R., Gassull, M.A.,Cochet, B. and Alberti, G.M.M.: Ann. Intern. Med., 80, 20 (1977)</ref><ref>[http://dx.doi.org/10.4327/jsnfs.36.301 グルコマンナン, プルランならびにセルロースの血糖上昇抑制効果の比較]、奥恒行ほか、日本栄養・食糧学会誌Vol. 36 (1983) No. 4</ref>。
 
== 脚注 ==