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書物出典「新 馬の医学書」(2012年)を追加して、出典の明示と本文の修正を実施。
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|英名 = Horse
}}
'''ウマ'''('''馬''' )は、[[ウマ目]](奇蹄目:Perissodactyla)の'''[[ウマ科]]'''(Equidae)に属する[[動物]]の総称である<ref name = "新p.12" />。現生は、いずれもウマに属するウマ、[[シマウマ]]、[[ロバ]]の仲間、5亜属9種のみである。狭義の「ウマ」は、このうち特に[[種 (分類学)|種]]としてのウマ (学名:''Equus caballus''<ref name = "新p.12" />) のみを指す。
 
[[社会性]]の強い動物で、[[野生]]のものも[[家畜]]も[[群れ]]をなす傾向がある。[[北アメリカ大陸]]原産とされるが、[[北米]]の野生種は、数千年前に[[絶滅]]している。[[欧州]]南東部にいた[[ターパン]]が家畜化したという説もある。
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=== 進化 ===
{{Main|ウマの進化}}
ウマ類は化石資料が豊富であり、進化の過程を鮮明に残している。その理由として環境の順応能力が高かったことや、草原で群体を成していたことが挙げられている<ref name = "新p.13-14" />。
ウマ科は主要な系統の化石証拠が豊富であり、そこからその進化史が跡付けられている。最古の化石は、北米で5,000万年前([[始新世]])の地層から発見された[[ヒラコテリウム]] ''Hyracotherium'' sp.である。ヒラコテリウムは、一般には[[エオヒップス]] ''Eohippus'' という別名で知られる。ヒラコテリウムは[[キツネ]]ほどの大きさで、前肢は第1指がなく、後肢は第1と第5指が退化している。森林に生息し、葉食性(ブラウザ)であったと考えられている。
 
ウマ科は主要な系統化石証拠が豊富であり、そこからその進化史が跡付けら最古とさてい。最古の化石は、北米で56,000500万年前([[始新世]])の地層から発見された[[ヒラコテリウム]] ''Hyracotherium'' sp.(エオヒプス:和名あけぼのうま)である<ref name = "新p.14" />。ヒラコテリウムは北アメリカ大陸やヨーロッパの森林へ生息し一般には[[エオヒップス]] ''Eohippus'' 若芽や草の実など柔らかい植物を摂取していたいう別名で知られる<ref name = "新p.14" />。ヒラコテリウムは[[キツネ]]ほどの大きさで、前肢は第1指がなく、後肢は第1と第5指が退化している。森林に生息し、葉食性(ブラウザ)であったと考えられている。
その後、始新世の[[オロヒップス]]、[[エピヒップス]]、漸新世の[[メソヒップス]]、[[ミオヒップス]]、中新世の[[パラヒップス]]、[[メリキップス]]という系統進化が明らかになっている。約1,000万年前([[中新世]]前-中期)のメリキップスは、真の草食性を示す高冠歯を獲得したことと、より高速での走行を可能にした下肢骨(尺骨と橈骨、脛骨と腓骨)の癒合の2点で画期的であった。当時は乾燥気候が広がるとともに大草原が拡大しつつあり、メリキップスの出現は、草原への進出の結果だった。
 
その後、始新世の[[オロヒップス]]、[[エピヒップス]]、漸新世の[[メソヒップス]]、[[ミオヒップス]]、中新世の[[パラヒップス]]、[[メリキップス]]という系統進化が明らかになっている<ref name = "新p.13-14" />。約1,000万年前([[中新世]]前-中期)のメリキップスは、真の草食性を示す高冠歯を獲得したことと、より高速での走行を可能にした下肢骨(尺骨と橈骨、脛骨と腓骨)の癒合の2点で画期的であった。当時は乾燥気候が広がるとともに大草原が拡大しつつあり、メリキップスの出現は、草原への進出の結果だった。
 
約400万年前(中新世中-後期)の[[プリオヒップス]]は、第2・第4指を完全に消失させることで指が1本になり、現在のウマに近い形態をしていた。ウマの仲間は、[[更新世]]の[[氷河期]]に[[ベーリング海]]を渡り、[[ユーラシア大陸]]やアフリカ大陸に到達し、現在のウマであるエクウス(ウマ属)に分化する。
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** 短頭種と長頭種
* 用途による分類法
** 乗用馬(riding horse)・輓用馬(draft horse)・駄馬(park horse)<ref name = "新p.19" /> - ウマの使用目的に沿った分類法<ref name = "新p.19" />。
** 乗用種・挽用種・貨用種
* 外観や能力による分類法 - いずれも個々のウマの外観的特徴に基づく分類ではなく、登録されている品種単位での分類である。
** 常歩馬(walking horse,walker)・速歩馬(trotter)歩馬(galloper,runner)<ref name = "新p.19" /> - もっぱら走るスピード馬の歩法に着目した分類法<ref name = "新p.19" />。ドイツのミツテンドルフが考案したものでかつては普及していた。
** 温血種・冷血種<ref name = "新p.19" /> - ウマの運動性能に基づく分類法であり、大まかな分類として温血種(hot-blood horse)は軽種、冷血種(cold-blood horse)は重種が該当される<ref name = "新p.19" />。なおイギリスでは温血種をサラブレットとアラブに限定している<ref name = "新p.19" />。
** 温血馬・冷血馬 - 実際にウマの体温や血液の成分によるのではなく、ウマの運動性からの連想による分類法。一般に小型で敏捷であれば温血種、大型であれば冷血種に分類される。
** 軽種・中間種・重種<ref name = "新p.19" /> - 日本で最も一般的に用いられる分類法で<ref name = "新p.19" />、軽種はlight horseの訳語でありサラブレットやアラブもしくはアングロアラブに限定して適用される<ref name = "新p.19" />。対して重種はheavy horseの訳語でありペルシュロンやブルトンといった大型の種に適用される。なお中間種は軽種と重種の交雑された種に適用される<ref name = "新p.19" />。この分類法は1937年に馬政局が発令した「馬の種類呼称」という規則が発端となっている<ref name = "新p.19" />。
** 軽種馬・中間馬・重種馬 - 体の大きさによる分類法。日本やイギリスで普及している。
** 正方形馬・長方形馬・高方形馬 - 体高と体長の比率による分類法。ドイツでつくられた考え方。
** 純血馬・半血馬 - 純血といっても遺伝的・生物学的な根拠に基づくものではなく、公式な血統管理団体による登録による分類法である。
** 正常馬・ポニー - 1899年にイギリスの王立農業協会考案提唱された分類法で、体高が148センチ以下のものを機械的にポニーと称した<ref name = "新p.19" />。なお現代においては目安としての信頼性しか持ち得ない<ref name = "新p.19" />
* 日本での分類法
** 和種・洋種・雑種
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== 脚注 ==
== 出典 ==
{{Reflist}}
|refs=
 
<ref name = "新p.12">[[#新 馬の医学書|新 馬の医学書]]p.12</ref>
<ref name = "新p.13-14">[[#新 馬の医学書|新 馬の医学書]]pp.13-14</ref>
<ref name = "新p.14">[[#新 馬の医学書|新 馬の医学書]]p.14</ref>
<ref name = "新p.19">[[#新 馬の医学書|新 馬の医学書]]p.19</ref>
}}
 
== 参考文献 ==
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|language = 日本語
|accessdate = 2009年5月22日
}}
* {{Cite book|和書
|editor = 日本中央競馬会[[競走馬総合研究所]]
|year = 2012
|title = 新 馬の医学書 Equine Veterinary Medicine
|publisher = 緑書房
|isbn = 978-4-89531-033-8
|ref = 新 馬の医学書
}}