「双眼鏡」の版間の差分

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[[Fileファイル:Binocular 20101111.jpg|thumb|right|300px|双眼鏡]]
'''双眼鏡'''(そうがんきょう、{{lang-en-short|binoculars}}、{{lang-de-short|Fernglas}})とは、[[望遠鏡]]の一種で、二つの鏡胴 ([[対物レンズ]]と[[接眼レンズ]]を連結して保持し、レンズ以外からの光線の入射を防ぐ筒)を平行にならべ遠方のものを両眼で拡大して見る[[光学]]器械である。古くは[[望遠鏡]]とともに遠眼鏡と呼ばれた。
 
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=== レンズ・プリズムの構成 ===
; {{Anchor|ガリレオ式}}
: 対物レンズに[[レンズ#凸レンズ|凸レンズ]]、接眼レンズに[[レンズ#凹レンズ|凹レンズ]]を使用した双眼鏡で、[[ガリレオ・ガリレイ|ガリレオ]]が発明したとされる望遠鏡の光学系]]を2つ並べたものである。簡単な構成で正立像を得ることができる反面、高倍率のもの製品を作ることができない、視野が狭い、などの欠点もある。[[第一次世界大戦]]では、[[ドイツ軍]]の制式双眼鏡Fernglas08(6倍39mm口径)が代表するように軍用双眼鏡としてもこの形式のものが一般的に使われていたが、今では[[双眼鏡#オペラグラス|オペラグラス]]や[[玩具]]として残っている程度である。
 
; {{Anchor|リレーレンズ式}}
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; {{Anchor|ポロプリズム式}}
{{right|<gallery widths="150px" heights="150px" perrow="2">
Fileファイル:Porro binocular.jpg|ポロプリズム双眼鏡の構造
Fileファイル:Double-porro-prism.png|ポロI型光路図
</gallery>}}
: 対物・対眼レンズとも凸レンズを使用し、複数個の直角[[プリズム]]を利用して正立像を得る。同形のプリズムを2個組み合わせて構成できるポロI型が一般的だが、[[第二次世界大戦]]前後までは大小3個のプリズムで構成されるポロII型の製品も多くみられる。ダハプリズム式より大きく嵩張るが、プリズムの精度の問題を調整でカバーできること、後述する[[位相差]][[表面処理|コート]]や[[誘電体]]コートなどが不要であること、などから同等の光学性能をより廉価で達成できるとされる。また、原理的に[[光軸]]の平行移動を伴うため、大口径の対物レンズを使いやすいというメリットもある。ダハプリズム式にも共通するが、プリズムに使われる硝材の[[屈折率]]の高さが視野の[[ケラレ]]の少なさや視野角の広さに直結する。双眼鏡の仕様にプリズム硝材の種類(BK7やBaK4)が記載されていることがあるのはこのためである。
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; {{Anchor|ダハプリズム式}}({{Anchor|ルーフプリズム式}})
{{right|<gallery widths="150px" heights="150px" perrow="2">
Fileファイル:Carl Zeiss TELITA-I 6x18.JPG|フラットで小型な1920年代のツァイス社製ダハプリズム双眼鏡
Fileファイル:Hensoldt-Prismendoppelfernrohr.jpg|最初期のヘンゾルト社製ダハプリズム双眼鏡の構造
</gallery>}}
: 対物・対眼レンズとも凸レンズを使用し、屋根型のダハ面(ルーフ面)を持つダハプリズム([[:en:Roof prism|en]])を含む光学系で正立像を得る。ダハ面での反射は上下と左右を同時に反転させることができるため、ポロプリズム式よりも正立光学系を小型にすることができる。最近はダハ面に位相差コートを施すことで干渉による解像度低下を抑えている製品が多い。ダハプリズムを双眼鏡の正立光学系に応用するアイデアは19世紀末の双眼鏡黎明期から存在し、ドイツのヘンゾルト社やメーラー社、[[カール・ツァイス]]社などによってさまざまなタイプが考案され双眼鏡の小型軽量化に貢献している。
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== 双眼鏡の性能 ==
[[Fileファイル:Binoculars description plate2.jpg|thumb|right|200px|ポロプリズム式双眼鏡のプリズムカバーに表示されている性能諸元]]
ポロプリズムやダハプリズムが利用されたプリズム双眼鏡の主要性能は、7x50というように表記される倍率と対物レンズ口径、および視野角(視界)で表現される。写真の例の場合、倍率は7倍、対物レンズ口径は50mm、視野角(視界)は1000ヤード先の対象物において横幅372フィートに相当する角度、となる。
また、光路内に空気ガラス界面が多いプリズム双眼鏡では、レンズやプリズム表面の反射防止コーティングの有無が性能に大きく影響する。現在では反射防止コーティングが施されている製品がほとんどであるが、反射防止コーティングが普及しつつあった第二次大戦から戦後まもなくの間は、写真の例のように性能諸元と共にCoated Opticsと記載されることも多かったようである。
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== 使用法 ==
[[Fileファイル:PeopleBirding.JPG|thumb|200px|双眼鏡による野鳥観察]]
=== 眼幅の調整 ===
玩具や防振型、固定架台上の大型双眼鏡を除き、ほとんどの双眼鏡は中心軸(左右の鏡胴の中間にあり、双方を連結しているピン)のところで[[蝶番]]のように全体を折り曲げることで眼幅(左右瞳孔の間隔)に接眼レンズの光軸の間隔を合わせるようになっている。一度正しく調整した後は中心軸の接眼側にある目盛によって眼幅を知り、次回からすぐに合わせることができる。
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== オペラグラス ==
[[Imageファイル:Operaglasses.jpg|thumb|right|[[真珠層]]でコーティングされたオペラグラスと、そのケース]]
観劇用に製品化された双眼鏡のことを、'''オペラグラス'''(英語:opera glasses、ドイツ語:OpernglasまたはTheaterglas)と呼ぶ。