「P-1 (哨戒機)」の版間の差分
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[[File:JMSDF P-1(5506) Body rear in Iwakuni Air Base 20140914.JPG|thumb|250px|胴体左後方]]
[[File:JMSDF P-1(5506) APU Exhaust in Iwakuni Air Base 20140914.JPG|thumb|250px|APU排気口]]
機体は川崎重工業、エンジンは[[IHI]]が製造する'''F7'''(試験機は XF7-10)による国産であり、機体の開発・製造では、三菱が中胴と後胴、富士重工が主翼と垂直尾翼を担当し、日本飛行機も分担生産に参加している。システム面では、搭載レーダーは[[東芝]]、音響処理装置は[[日本電気]]、管制装置は[[シンフォニア テクノロジー]]、自己防御装置は[[三菱電機]]、空調装置は[[島津製作所]]、脚組み立ては[[住友精密工業]]など
航空機としての基本的な要素は国内企業による開発であるため、ライセンス生産だったP-3Cに対し国産機と呼ばれるが<ref name=kobe>[http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201506/0008153872.shtml 神戸新聞NEXT|全国海外|社会|P1哨戒機内を報道陣に初公開]</ref>、[[旅客機の構造|航法灯]]や[[ワイパー]]など一部は輸入品であるため純国産機ではない<ref>[http://www.j-aero.co.jp/divisions/aerospace.html 宇宙航空機器本部|部署紹介|日本エアロスペース] - [[伊藤忠商事|日本エアロスペース]]が取り扱ったP-1の輸入部品</ref>。
機体だけでなく、機上整備システムとその地上解析装置も川崎重工業によって同時に開発されている。
主翼はP-3Cと同じく低翼配置の[[翼平面形|テーパー翼]]であるが、翼端はカットされず直線的な先細翼である。尾部形状はやや前方に配置された垂直尾翼と[[磁気探知機]](MAD)を収納したテイルブームを備えるなどP-3Cと同型であるが、水平尾翼はXC-2と基本設計が共通化したこともありやや大型化している。着陸装置の車輪は胴体と主翼の付け根に設置されており、機体サイズに似合わない4発機であることを除けば、外観は一般的な中型[[ジェット旅客機]]と同等である。なお、これらの形状は[[1960年代]]末のPX-L検討で川崎が提案した『4発ジェット機』の特徴を引き継いでいる。エンジンが4発では2発より燃費、整備性では不利になるが、島嶼哨戒地域への到達時間短縮、低高度飛行での騒音軽減、任務時の生存性では有利となる。▼
P-3Cと同程度の大きさと生存性に加え、巡航速度と航続距離を向上しつつ騒音低減を実現させているが、これらは主な顧客である海上自衛隊の要求に合わせた設計である。なお競合機のP-8も、エンジンを2発とし[[磁気探知機]](MAD)は装備せず(搭載は可能)、[[無人航空機]]との連携を前提とするなど、主な顧客(アメリカ海軍)の要求を考慮した設計としている。
=== 機体 ===
サイズはP-3Cに比べ全長全幅全高ともに5m程度の増加に押さえられており、近年では珍しい[[ターボファンエンジン]]4発機であることを除けば、外観は90席クラスの中型[[リージョナルジェット]]と同等である。
▲主翼はP-3Cと同じく低翼配置の[[翼平面形|テーパー翼]]であるが、翼端は大きくカットされず直線的な先細翼である。近年の中・大型機に多い[[ウイングレット]]やP-8のような[[ウイングレット|レイクド・ウイングチップ]](傾斜翼端)は採用されてない。尾部形状はやや前方に配置された垂直尾翼と
操縦系統はセンサー類や精密電子機器との干渉を避ける為に、[[光ファイバー]]を使用した[[フライ・バイ・ワイヤー#発展|フライ・バイ・ライト]] (FBL) 方式で、海自において装備評価試験機UP-3Cで実験を繰り返したものである。FBLの採用は実用機としては世界初の試みであり、配線の軽量化、消費電力の低減もはかられる<ref name="photosankei2013-3-26">{{cite news |title=海上自衛隊の次期哨戒機P1、日本の海守る純国産ジェット|newspaper=[[産経新聞]] |date=2013-3-26 |url=http://web.archive.org/web/20130515131933/http://photo.sankei.jp.msn.com/essay/data/2013/03/26P1/ |accessdate=2014-5-17 }}</ref>。
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機体の配色は、P-3Cが明灰色単色の低視認性塗装だったのに対し、試作2号機および量産機では航空自衛隊が[[C-130 (航空機)|C-130H]]の海外展開機に施す塗装に類似した全面青灰色迷彩となっている。なお試作1号機(5501)のみ技本試作機の標準色(白地に赤のストライプと胴体下面が灰色)である。
▲機体の開発・製造では、三菱が中胴と後胴、富士重工が主翼と垂直尾翼を担当し、日本飛行機も分担生産に参加している。システム面では、搭載レーダーは[[東芝]]、音響処理装置は[[日本電気]]、管制装置は[[シンフォニア テクノロジー]]、自己防御装置は[[三菱電機]]、空調装置は[[島津製作所]]、脚組み立ては[[住友精密工業]]など、さまざまな分野から国内大手企業が参加している。
=== アビオニクス ===
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=== コックピット ===
アナログ計器が多かったP-3Cから一新され、XC-2と共通
=== エンジン ===
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P-1に搭載される[[ジェットエンジン]]は'''[[F7 (エンジン)|F7]]'''[[ターボファンエンジン]]である。これは技本が石川島播磨重工業(現[[IHI]])を主契約企業として[[2000年]](平成12年)度からXF7-10として開発を開始したもので、開発総額は200億円以上。[[2004年]](平成16年)10月に防衛庁の装備審査会議を経て[[10月28日]]に正式に採用を決定した。
F7は、離陸時[[推力]]が1基あたり約60k[[ニュートン|N]](約6.1[[トン]])と、一般的な50-100席クラス旅客機用エンジンと同水準で、バイパス比は8.2:1。省燃費・低騒音を特徴とする。推力では[[航空自衛隊]]の[[C-1 (輸送機)|C-1輸送機]]に搭載する[[プラット・アンド・ホイットニー JT8D|JT8D-9]]と同等であるが、同クラスの現用エンジンは[[ジェネラル・エレクトリック|GE]]の[[ゼネラル・エレクトリック TF34/CF34|CF34-8E]]([[エンブラエル 170|エンブラエル170]]が搭載)程度しか存在しない。選択肢が少なかったため、日本国内の独自開発に至った。先行して開発された[[XF5 (エンジン)|XF5-1]]の技術が移転されており、また日米英独で国際共同開発した
P-1ではこのF7が主翼下パイロンに4基が搭載される。そのうち機体側の2発のナセルに[[逆推力装置|スラスト・リバーサ]]が装備されている。エンジンが増えることで燃費、整備性では不利になるが、島嶼哨戒地域への到達時間短縮、低高度飛行での騒音軽減、任務時の生存性では有利となる。特に海上自衛隊では[[不審船事件]]においてP-3Cに向け[[RPG-7]]が発射された事例を受けて[[冗長化|冗長性]]を持たせるため、P-3Cと同じ4発機が要望されていた。また低空で長時間飛行することを前提にしているため厳重な[[バードストライク]]対策も施されている。
エンジンの騒音は、プロペラ機であるP-3Cに比べて、巡航出力で10[[デシベル]]程度、離陸出力で5デシベル程度低減しているとされ
=== 兵装 ===
[[File:JMSDF P-1(5506) Pylon in Iwakuni Air Base 20140914.JPG|thumb|250px|ハードポイントに設置された[[パイロン]]]]
武装は、P-3C同様に機首の下部に格納庫('''[[爆弾槽|爆弾倉]]''')を持ち、[[爆雷|対潜爆弾]]・[[魚雷]]を格納できる。主翼の下の[[ハードポイント]]には[[パイロン]]を介しP-3Cの倍となる最大8発の[[対艦誘導弾]]([[91式空対艦誘導弾]]や[[ハープーン (ミサイル)|AGM-84 ハープーン]])や空対地ミサイル([[AGM-65 マーベリック]]<ref>[http://www.mod.go.jp/trdi/news/1206.html 次期固定哨戒機(XP-1)性能評価を実施中]</ref>)を装備できる。
[[ソノブイ]]発射口はP-3Cと同じく主脚の後部であるが数は10減の38個である。P-3Cでは半分が外部からのみ装填できる箇所で、内部からも全てラックから発射口まで手作業で運び装填していたが、P-1では全てが内部から装填可能で、一部はロータリー式のランチャーにより自動装填が可能となった<ref>[http://mainichi.jp/graph/2015/06/26/20150626k0000m040031000c/014.html 海上自衛隊:国産哨戒機「P1」を公開…厚木基地 - 毎日新聞] - 機内のロータリー式ランチャー</ref>。また将来登場が見込まれる新型ソノブイへの対応する拡張性も持つ。
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== 能力向上 ==
量産機配備間もないP-1であるが、2020年代以降の潜水艦の静粛化、高性能化及び行動海域の拡大に対して哨戒機の対潜能力の優位性を確保するため能力向上のための研究が行われている。
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