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『'''信者たち'''』とは、[[クルアーン]]における第23番目の章([[スーラ (クルアーン)|スーラ]])。118の節(アーヤ)から成る<ref>[http://www.krn.org/ja/23.aspx 日本ムスリム情報事務所 聖クルアーン日本語訳]</ref>。
== 内容 ==
1.真の信者は、確かな勝者。
2.確かな礼拝。
3.真摯な行動。
4.確かな施し。
5.自分の陰部を守る。
6.ただし、配偶と右手に所有する者は別。その咎はない。
7.法を越えて求めるならば、それは、掟に背くもの。
8.人の信頼に応え、確かな約束。
9.礼拝の勤めを守る。
10.彼らこそ真の相続者。
11.フィルダウス(天国)を継ぐ。ここが彼らの永遠の住まい。
12.人は泥の精髄から創られた。
13.泥の精髄は、一精滴となり堅固な住まいに収められた。
14.そこで、血のかたまりとなり、肉塊となり、やがて骨が出来、その骨を肉で覆い、そこから出でて、生命体となる。これを行われるのはアッラー。もっとも優れた創造主。
15.あなた方は必ず死ぬ。
16.しかし、復活の日にあなたは甦る。
17.あなた方の上には七つの天。これは決して無意味ではない。
18.天から適量の雨を降らせ、それを地中に留め置く。しかし、これは永遠ではない。
19.あなた方のためにナツメヤシ(クルアーン)とブドウ (聖書)の園。また、他の多くの果実。これがあなた方の食べ物(悟り)。
20.シナイ山には一本の木(黙示録)、これは油(聖)となり、また、食べ物(悟り)の味わいとなる。
21.家畜もあなた方への教訓のため。その腹に中には飲み物(あなた自身が受けるべき悟り)がある。また種々の用途。人はその用途を知らないゆえ、間違えてこれを食べる(悟りとする。)
22.あなた方はそれらに乗り、また船(人の思考の上にあるもの)によって運ばれる。
23.ヌーフの物語を例に語ろう。ヌーフは言った。「人々よ、アッラーに仕えなさい。アッラーこそ唯一の神であられる。アッラーを畏れなさい。」
24.信仰のない長老たちはこのように答えた。「何だ、これは。あなた方と同じただの人間ではないか。彼はあなた方に上に高く留まりたいのでしょう。もし、アッラーがお望みならば、アッラーは天使を遣わすべきです。わたしたちは、昔の祖先からも昔からある聖典の中にも、こんな事は聞いた事はない。
25.この男は、ただの憑かれた人間に過ぎません。だから暫く待って様子を見ましょう。」
26.ヌーフは祈った。「主よ、彼らはわたしを嘘つきとします。わたしはどのようにすれば良いのでしょうか。」
27.アッラーはヌーフに啓示された。「この啓示に従ってわたしの目の前で船を作りなさい(人の考えの及ばないあかしを作りなさい)。わたしの命令が下って釜があふれ出したならば、彼らの中で既に宣言が下された者を除き、あなたは全ての生き物(人々)の一番(神聖)と、あなたの一家を乗り込ませなさい。悪を行った者のために、嘆願してはならない。彼らは必ず溺れる。
28.そして、一緒の者たちと、船の中に落ち着いたならば、このように語りなさい。『悪を行う人々から、わたしたちを御救いくださったアッラーに讃えあれ。』と。
29.また、語りなさい。『祝福された地に、わたしたちを御導きください。』と。」
30.人々よ。これを過去の話として聞いてはいけない。これはあなたにアッラーの印を教えるものだからである。アッラーはこのように、あなた方を試し、鍛えられる。
31.アッラーはヌーフの後、他の世代を作られた。
32.そこでもアッラーは使徒を彼らに遣わされた。使徒はこのように言った。「アッラーに仕えなさい。アッラーの外に神はない。アッラーを畏れなさい。」と。
33.来世を信じない現世の羽振りの良い長老たちは、このように語った。「これはあなた方と同じ一人の人間に過ぎません。証拠に、あなた方と同じものを食べ、あなた方と同じものを飲んでいるではありませんか。
34.あなた方があなた方と同じ人間に従うならば、必ず失敗者となるでしょう。
35.あなた方が死んで骨になってから甦らせると彼は約束したのですか。
36.そんな約束は誰も出来ません。
37.わたしたちには現世の生活しかないのです。わたしたちは死んでまた生き返るでしょうか。いや、わたしたちは甦る事など有り得ません。
38.結局、彼はアッラーについて、虚言を捏造したただの人間に過ぎません。彼を信じるべきではない。」
39.使徒は主に祈った。「主よ、彼らはわたしを嘘つきであると言います。どうかお助け下さい。」
40.主は仰せられた。「しばらくしたら、彼らは必ず悔いる事となる。」
41.アッラーの一声は確実に彼らを襲い、彼らは泡屑の如きものとなった。人よ、あなたにはどちらが善でどちらが悪かは、簡単には判断がつかないであろう。あなたが悪を行う者であったならば、自分が正しいと思う方から遠ざかるがよい。
42.それから彼らの後に、アッラーは他の諸世代を創られた。
43.一つひとつの世代には期限が定められている。誰もこれを早くする事も遅くする事も出来ない。
44.アッラーはその一つ一つの世代に次々と使徒を遣わされた。だが使徒が一つの民に現れるたびに、彼らは彼を嘘つき呼ばわりした。これゆえ、アッラーは次々と彼らを滅ぼされ、彼らを昔の訓戒とされたのだ。だから、あなたは口先だけの信仰から離れ、真にイブラーヒームの如き純粋な信仰を持つべきなのだ。
45.アッラーは、ムーサーとその兄弟のハールーンに種々の印と明瞭な権威を授けられ、
46.横柄で思い上がったフィルアウンと彼の長老たちの許に遣わされた。
47.彼らは言った。「わたしたち同様、唯の人間に過ぎない二人をどうして信じられようか。しかも彼らの民は、わたしたちの奴隷ではないか。」
48.しかし、彼らは両人を嘘つきであるとしたために、結局、滅ぼされた。
49.アッラーはあなた方が正しく導かれるようにと、ムーサーに啓典を授けられた。
50.また、マルヤムの子とその母は、彼らの存在自体を印としてアッラーが、あなた方に授けられたものである。だからあなた方は、両人を泉の湧き出る安静な丘の上に定めなさい。
51.あなた方使徒たちよ、善い清いものを食べ(悟りとし)、善い行いをしなさい。アッラーはあなた方が何を行うのか熟知していらっしゃる。
52.イブラーヒームの如き純粋な信仰、このひとつがすべての教えを越えた唯一の共同体を形作る。そして、それらすべての教えが唯一絶対とするものこそ、呼び名は違えども、皆、アッラーを示すものである。結局、すべての教えは《わたしはあなた方の主である。わたしを畏れよ。》と語っているのだ。
53.同じ一つのものであるにもかかわらず、宗教の差があり、また、一つの宗教の中でも宗派の差がある。そして、それぞれに属する者たちは、皆、自分たちの宗派は素晴らしいと語っている。
54.彼らは、皆、迷っているのだ。アッラーは彼らを迷いのまま当分の間放置される。
55.彼らは何を争うのか。財宝や子女・・・すなわち現世利益である。
56.アッラーは彼らのために、良い事を急いで下されると思うか。いや、彼らは現世利益で試みられているだけであるのに、それに気づかない。
57.本当に主に畏れ戦く者、
58.主の印を信じる者、
59.また主に並べて他の何ものをも配さない者、
60.また、主の御許に帰る事を心に畏れ、与えるべきものを与える者、
61.善事とはこのような行為を指し、これを決して曲げない者こそ、その先頭に立つ者である。
62.アッラーは、誰にもその能力以上の重荷を負わされない。あなたが思い考えた事は、すべて記録されている。これが真実を示す書物であり、この書物により判
断される。だから、アッラーがあなたを不当に扱われる事はない。
63.自ら信者と自負する者たちがいる。しかし、彼らはこれを全く理解できていない。そればかりではない。彼らの行為は、それよりも更にひどいのだ。
64.やがて、アッラーは、彼らの中の贅沢な者を懲罰のために捕えられる。見るがいい。彼らは泣き叫ぶ。
65.その時、アッラーはこう仰せられる。「今さら哀願してわめいても遅い。あなた方にはわたしからの救助はないのだ。
66.わたしの印は、あなた方に読誦されていたのに、あなた方は踵を返して逃げ、
67.高慢であった。これについて悪口を言い、夜話に耽っていた。」
68.人々よ、この言葉を熟考しなさい。どうして昔、起こらなかった事が自分たちに起こると考えるのか。昔、起こった事が自分たちに起こらないとどうして言えるのか。
69.それとも、あなた方への使徒と認めず、彼を拒否するのか。
70.あなた方は、彼を《憑かれた者》と言うのか。そうではない。彼は真理をもたらしたが、あなた方がそれを嫌ったのだ。
71.欲張る者たちよ。もし、真理があなた方が求めるようなものであったならば、天も地も、その間にあるすべてのものも、皆、退廃してしまうだろう。アッラーはあなた方に訓戒を授けられたのに、あなた方はそれを自分に向けた訓戒とは聞かずに、背き去ったのだ。
72.それとも、あなたは彼らから報酬を得るから、彼らを正しいと語るのか。もっとも優れた報酬は、あなたの主が下されるものである。
73.アッラーは正しい道に人々を招かれる。
74.しかし、来世を信じない者たちは、その道から必ず逸れる。
75.たとえ、アッラーが大慈悲を起こされて、彼らを悩ます災厄を除かれても、迷路に執着し途方もなくさまようだけである。
76.また、アッラーが彼らに懲罰を下されても、彼らはへりくだる事もなければ、率直に懇願する事すらない。
77.彼らは刑罰の門を目の前に開かれて、はじめて、自分自身の誤りに気付く。しかし、その時は絶望と共に。
78.アッラーこそは、あなた方に聴覚と視覚と心を授けられた方であられる。だが、それに感謝する者はいない。
79.アッラーこそは、あなた方を地上で栄えさせられた方であられる。すべての人は、皆、彼の御許に集められる。
80.アッラーこそは、あなた方を生かされる方であり、また、死を賜る方である。昼と夜の運行もアッラーが規制される。あなた方にはこれがわからないのか。
81.来世を信じない者たちは、昔の人が言ったのと、同じような事を言う。
82.「わたしたちが死んで土と骨になった時、本当に甦るのだろうか。
83.わたしたちもわたしたちの祖先も、この事を約束されていたのに、実際に甦ったと言う話は聞かない。結局、これは昔の物語に過ぎない。」
84.彼らに問え、「大地とそこにあるすべては、いったい誰のものであるのか。」
85.彼らは必ず、「アッラーの有である。」と答えるであろう。言ってやるがいい。「あなた方はまだ気づかないのか。」
86.彼らに問え、「七つの天の主、栄光に満ちた至高の玉座の主は、誰であるのか。」
87.彼らは必ず、「アッラー。」と答えるであろう。言ってやるがいい。「あなた方はなお畏れないのか。」
88.彼らに問え、「すべての物事の統御権は誰の手にあるのか。すべてを守護し、誰からも守護されない方は誰か。」
89.彼らは必ず、「アッラー。」と答えるであろう。言ってやるがいい。「それならば、なぜあなた方は惑わされているのか。
90.アッラーとあなた方自身、どちらに真理があると言うのか。あなた方はアッラーを信じると語りながら、その実、真理ではない自分の思いを信じているではないか。あなた方を嘘つきと呼ばず、誰を嘘つきと呼ぶべきなのか。」
91.アッラーは御自身と等しい御子をもうけられる事もなければ、彼と並ぶ他の神もない。もし、そのようなものがあったならば、それぞれの神が自分の創ったも
ので分裂し、お互いに抜き出ようと争う事となるからである。子があり、また、他の神々がいくら数多くあったとしても、アッラーはそれらに上に高く君臨される方であられる。
92.彼らがアッラーの名に配しているのは、実は、子や他の神々と並ぶものであり、アッラー御自身は彼らの語るアッラーの更に上に高くおわします。
93.人よ、聞きなさい。アッラーを信仰するからと言って、その信仰故にあなたが正しい者とされると言う保証は何一つない。あなたを見定める権限を持つ方はアッラーのみであられる。だから、あなたに出来る事はこのように祈る事だけである。「主よ、あなたが彼らに約束された懲罰を、もしわたしに示されるのならば、
94.主よ、わたしを悪を行う民の中に、入れないでください。」
95.あなた自身が警告を受ける者となるか、それとも、懲罰を逃れる者となるのか、これはアッラー御自身が定められる事である。
96.だから、善行によって、自身の悪を撃退しなさい。アッラーは悪を行う者が何を語るのかも熟知されている。
97.あなた方は、このように語る。「主よ、悪魔たちのささやきに対し、あなたの加護を願います。
98.主よ、彼らがわたしに近づかないように、あなたの加護を願います。」
99.しかし、あなた方に清算の時、すなわち、死が近づくと、「主よ、わたしを送り帰してください。
100.そうして頂ければ、わたしは必ず善事を行います。」あなた方はこの約束を守らない。いや、守れないであろう。なぜならば、あなた方の後ろには戻れない障壁があるからである。
101.ラッパが吹かれる時、その日、すべての諸々の関係は無用となる。縁も絆も無用である。至福も火獄も無用となる。誰もこれらについて問う者はいない。
102.秤が重い者たちは、至上の幸福を得る。
103.秤が軽い者たちは、魂を失い、地獄に永遠に住む。
104.火は彼らの顔を焦がし、彼らの歯をむき出す。
105.彼らはこのように言われよう。「あなた方はわたしの印を読誦していたではないのか。それなのに、なぜわたしの印を嘘であるとしたのか。」
106.彼らはこのように答えるであろう。「わたしは不運に負け、迷ってしまったのです。
107.主よ、どうかわたしをここから出してください。もし、わたしが再び悪に帰るのならば、確かにわたしは不義の徒です。」
108.アッラーはこのように仰せになる。「あなたは不義の徒である。もはや、わたしに語るな。
109.わたしのしもべの中には、あなたに対し、このように語った一団がいたであろう。『わたしたちに御赦しを。わたしたちに慈悲を。わたしは貴方が慈悲深い方であられる事を知っています。』
110.だが、あなたは彼らを笑いものとした。あなたは彼らを笑う事により、わたしを念じる事を忘れる者となった。
111.彼らは、耐え忍んだ。彼らには耐え忍んだ事の報いをわたしは与えた。これゆえ、彼らは成功する者となったのだ。
112.アッラーはあなたに問われよう。「あなたは何年地上に滞在していたのか。」
113.あなたはこのようにお答えする。「わたしたちが滞在していたのは、一日、いや、一日の一部分に過ぎません。それは、勘定役にお尋ねください。」人よ、あなた方は生まれ、歳をとりやがて死ぬ。あなた方はこれを長い時と感じるかも知れない。しかし、あなた方が地上にあるのはアッラーにとっては、これほど短い時でしかないのだ。
114.アッラーは仰せになられる。「そうである。あなた方が地上にあったのは束の間に過ぎない。あなた方がこの事を知っていたのならば、
115.どうして、わたしがあなた方を創ったのかと考えなかったのか。わたしは戯れにあなた方に人としての生を与えたとでも考えたのか。また、あなた方はわたしの許に帰る事はないとでも考えたのか。」
116.アッラーは尊く、気高い、真実の王者であられる。高潔な玉座の主を差し置いて他に神はいない。
117.アッラーと、何の証拠もない他の何ものかを並べ立て、それを神とするならば、それを計られるのはアッラーであられる。彼らは不信心者である。彼らは決して勝ち抜く事は出来ないであろう。
118.あなたはこう祈れ。「主よ、御赦しと慈悲をお与えください。あなたはもっとも優れた慈悲を与えられる方であられます。」
== 脚注・出典 ==
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