「忘れられる権利」の版間の差分

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2011年11月、[[フランス]]の女性が[[Google]]に対し「[[過去]]の[[ヌード写真]]の[[消去]]」を請求して勝訴するという判決が出された。この判決は、世界で初めて「忘れられる権利」を認めたものとして画期的なものであった<ref>{{Cite web |date=2012-06-26 |url=http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3219_all.html |title=“忘れられる権利”はネット社会を変えるか? |publisher=NHK |accessdate=2015-12-18}}</ref>。
 
この判決が契機となり、EU[[欧州連合]]では「忘れられる権利」を立法として承認する動きが生まれる。2012年1月、[[欧州委員会]]は、EUデータ保護指令に代わる立法として、「EUデータ保護規則案」を提案し、この規則案の第17条で「忘れられる権利」を明文化した。同条では、個人が管理者に対して自らに関する個人データを削除させる権利、当該データのさらなる拡散を停止させる権利、及び、第三者に対して、当該データのあらゆるリンク、コピーまたは複製を削除させる権利が規定されている<ref name="icr">{{Cite web |date=2014-06-03 | url=http://www.icr.co.jp/newsletter/law/2014/law201402.html |title=グーグルの検索サービスと忘れられる権利~最新のEU司法裁判所判決(スペインの事例)を題材に~ |publisher=InfoCom |accessdate=2015-12-18}}</ref>。
 
この規則案は2014年3月に、[[欧州議会]]の第一読会で修正された<ref>現在は、欧州議会と欧州理事会が、規則案の共同採択に向けて議案を修正中である。</ref>。この修正により「忘れられる権利」という文言は条文から削られ、代わりに「'''消去権'''(right({{en|right to erase)erase}})」という文言が用いられようになった<ref>消去権の内容として、①管理者に個人データを消去させる権利、②管理者に個人データの頒布を停止させる権利に加え、③第三者に個人データのリンク、コピー又は複製を消去させる権利が規定された。そして、EU 域内の裁判所又は規制機関が、消去されるべきであると判断した個人データについても、消去権の対象となった。
: [[国立国会図書館]] [http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9055526_po_0854.pdf?contentNo=1 「忘れられる権利」をめぐる動向] 2015. 3.10.</ref>。
 
2014年5月13日、EU司法裁判所は、検索主体(data({{en|data subject)subject}})は、一定の場合に、検索事業者に対して、検索リストから自己に関する過去の情報の削除を求めることができるとして、「忘れられる権利」を認める先行判決を下した<ref>{{Cite news |author= |date=2014-05-14 |url=http://www.cnn.co.jp/tech/35047873.html |title=「忘れられる権利」認める、グーグルにリンク削除命令 EU司法裁 |publisher=CNN |accessdate=2015-12-21}}</ref><ref>{{Cite web |author=今岡 直子 |date=2014-06-19 |url=http://current.ndl.go.jp/e1572 |title=E1572 - 「忘れられる権利」と消去権をめぐるEU司法裁判所の裁定 |publisher=国立国会図書館 |accessdate=2015-12-21}}</ref><ref name="icr"></ref>。
グーグルGoogle側は「検索エンジンはインターネットで閲覧可能な情報へのリンクを提供しているだけで、情報の削除権限は当該情報を公開する人にのみあり検索結果の修正は検閲に当たる」と主張したが、[[欧州裁判所]]この主張を認めなかった<ref>{{Cite web |date=2014-05-14 | url=http://gigazine.net/news/20140514-right-to-be-forgotten/ |title=Googleに検索結果の削除要請する際の根拠となる「忘れられる権利」とは何か? |publisher=Gigazine |accessdate=2015-12-18}}</ref>。グーグル

Googleは、この判決を受けて、諮問委員会を設置し、自社の見解について報告書を発表した<ref>国立国会図書館 [http://current.ndl.go.jp/e1655 「忘れられる権利」の適用範囲-EUとGoogleの見解] </ref>。報告書では、上記判決の適用範囲が欧州に限定されるということが述べられている。また、削除要請があった際の判断基準について、(1)
# データ主体の公的役割,(2)
# 情報の性質(個人のプライバシーへの強い影響,公衆の利益),(3)
# 情報の出処(source),(4)({{en|source}})
# 時の経過
の4点を考慮すべきことも述べられている。
 
== 日本における権利の位置づけ ==