「リュート」の版間の差分

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リュートのような弦楽器では弦の太さや張力を変えることでさまざまなピッチに対応できるが、実際は楽器固有のピッチが存在している。同時代の書物に、リュートの1コースは「弦が切れない限りにおいて可能な限り強く」弦を張るように指示があるからである。弦が破断するか否かは、断面積あたりにかかる張力の限界値で物理的に決定され、これは弦の材質固有の値である一方、弦長が一定であれば断面積あたりの張力で音の高さも決定される。従って、当時弦楽器の弦として用いられていたガット弦の破断張力、比重などの物性を考慮に入れれば、楽器の弦長によってその楽器の1コースのピッチがおおむね決定できる。このようにして調べると、「楽器のピッチ」は実にさまざまであったということがわかる。なお、同様の論法はチェンバロなどの楽器にも適用できる。
 
現代の演奏では、[[A440|a=440Hz]]の他に、バロック音楽では歴史考証上、または合奏のための実利的な事情などを考慮してa=415Hz、a=466Hz、a=392Hzなどが用いられる。これらはa=440Hzから[[平均律]]の[[半音]]刻みでずらしたピッチである。
 
リュートには[[ギア]]など[[調律|チューニング]]のための特別の仕組みはなく、[[調弦]]自体は特に難しくはないが、弦の数が多いのでとても面倒な作業になる。「私たちは楽器に向かう時間のうち半分をチューニングに使い、残りの時間で演奏する」という冗談が残されている。「リュート奏者は人生の三分の一を調弦に費やす」というものもある。チェンバロ奏者に関しても同様の[[調律]]に関する冗談がある。