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→‎機体解説: TIE/LnファイターとTIEインターセプターが混用されていた事例を追加しました。
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== 概要 ==
一般的にTIEファイターと言った場合、通常は標準型の前線用タイプであるTIE/Lnファイター(LnはLineの略、前線の意)の事を指す。TIEシリーズ共通の球形[[コクピット]]と、それを挟む2枚の六角形の大型ソーラーパネルが特徴である<ref>勘違いされやすい点だが、特徴的な2枚の大型パネルはイオンエンジンにエネルギーを供給する「ソーラーパネル」であり、TIEの名称の由来となった2基のイオンエンジンは球形のコクピット後部に2基装備搭載されている。</ref>。
 
その後のTIEシリーズの原型ともなった本機の特徴は、徹底的な機動性の追求である。常軌を逸した軽量化優先の設計がなされており、偏向[[シールド (サイエンス・フィクション)|シールド]]はおろか、[[装甲|装甲板]]、[[射出座席|脱出装置]]、[[降陸用の脚装置]]、はてはパイロットの[[生命維持装置]]すら持たない。そのため為、真空の宇宙空間を飛行する場合、パイロットは生命維持用に宇宙服ある兼ねた専用のフライトスーツを着込む用する必要があるなど、航空機・宇宙船と言うよりも”武装付き飛行フレーム”といった性格の機体である。その上視界が極めて劣悪という欠陥(後述)もあり、パイロットにはかなりの精神的負荷を強いるが、彼らはTIEファイター・パイロットを養為の教育課程にいて「自らの犠牲は銀河帝国の支配力に繋がる」という理念を叩きまれており、自らの死に対する恐怖を殆ど感じなくなるまで程迄に訓練されているため<ref>ゲーム『''{{Interlang|en|Star Wars: TIE Fighter}}'' 』内の設定では、帝国の医療技術はきわめて大変優れており、撃墜された瀕死のパイロットすらも治療して蘇生す回復させるほどである。ただしあくまでこのゲームのみでの設定であり、公式の世界設定においてそこまでの技術があるのか(そしてパイロット一人一人をそこまで大切にするのか)は不明である。</ref><ref>しかし、『[[スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望|エピソード4/新たなる希望]]』劇中のラストシーンにおいて、後方からファルコン号の奇襲攻撃を受け、パニックに陥ったベイダーの護衛機が操縦を誤り、護衛対象のベイダー機に接触して弾き飛ばしてしまい、自らは[[デス・スター]]の外壁に墜落するというシーンがある。</ref>、通常の任務中において心理的な問題は発生しない。反乱同盟軍はこのような理念を持つ帝国軍パイロットを、その[[ストーム・トルーパー]]と同形のマスクになぞらえて「バケツ頭」と呼んでいる。<ref>ゲーム『スターウォーズ レベルアサルトII』<small>[[:en:Star Wars: Rebel Assault II: The Hidden Empire|(英語版)]]</small>より。</ref><ref>ちなみに反乱同盟軍のパイロットにも帝国アカデミー出身の者が多かったため、彼らも「元・バケツ頭」であった。</ref>
 
== 機体解説 ==
基本モジュールとなる1人乗りの球体コクピットに、名前の由来となっている2のイオン・エンジンおよ、固定武装としてレーザー・キャノン2門装備している。また左右に突き出たブームの先巨大な2枚のソーラー・パネルを持ち、ここでしたエネルギーをエンジンに送る事により出力を更に高めている<ref>イオン・エンジンは燃料としてプラズマ性のガスを用いる、スター・ウォーズ世界では一般的な内燃機関であるため、ソーラー翼とはいえ光のところで飛べなくなるわけではない。</ref>。エンジン出力はとりたてて高くはないが、機体の圧倒的な軽さによって驚異的な加速・旋回性能を誇る。
 
各部品に突出した性能の物は無く、徹底した軽量化と生産性を最優先にした設計がなされており、帝国の大量生産による量産効果により、機体コストは設計当初よりもさらに低くなっている。加えて機体構成する部品そのものが少なく、整備性にも非常に優れている。2門のレーザー・キャノンも航空機用機銃兵器として一般的な性能のものだが、シールドを装備した戦闘機を十分に破壊でき出来る威力は備えており、敵戦闘機の撃墜も数多く記録している。ただし、[[ミレニアム・ファルコン]]のような重武装の中型クラス相手となるとやや威力不足なのは否めず、劇中でも致命傷を与えることはでき出来ない<ref>TIEが搭載しているレーザー・キャノンは、本来ならYT-1300クラスの中型艇を撃破する威力は十分にあるのだが、ファルコン号はハン・ソロによって軍用規格の強力な(そして違法な)装甲とシールドで武装していたため為に有効打を与えることはでき出来かった。</ref>。
 
オプションでミサイル発射管ランチャーを増設することも可能ではあったが、その重量で機体の運動性能を著しく低下させるため、滅多に装備されることはない。機体数をなかなか確保でき出来ない反乱軍が[[Xウイング|Xウィング]]に代表される「万能機」になっていったのに対し、機体数で圧倒的優位に立つ帝国軍では、ミサイルやプロトン魚雷による雷爆撃をTIEボマーのような専用機に任せる「分業制」がとられた。<ref>敵の濃密な防御砲火を受ける(つまり、多少の被弾を受ける)ことが前提となる対地・対艦攻撃においては、TIEファイターのようにシールドや装甲を持たない軽戦闘機では明らかに不適であるためで、TIEファイターは軽量高機動の本質を殺すことなく制空権の確保にのみ集中し、雷爆撃では強力なシールドを備えたTIEボマーが威力を発揮する。</ref>
 
防御に関しては、一切の装備を持たない。軽量化からくる旋回性能によって、敵に後ろを取らせない=撃たれない、ことを主眼に置いて設計されている。これによって得た優れた機動性と、よく訓練された帝国軍パイロットの技量、そして常に数の優位に立つことにより、ベテラン揃いの反乱軍パイロットにすら容易には後ろを取らせず、反乱軍に苦戦を強いる。ただし、機体とパイロットを保護するものが何もないため、被弾することは即刻撃墜を意味した。左右のソーラー・パネルはコクピットに対する一種の緩衝材となってはいるが装甲として足るものではなく、Xウィングの強力なレーザー・キャノンが命中すれば一瞬で木っ端微塵となる。<ref>前述したとおり、TIEファイターにはシールドが搭載されていないが、ゲーム『[[スター・ウォーズ 出撃! ローグ中隊]]』では非常に弱い、エネルギーの再充填ができないシールドがある、という設定になっている。</ref>
 
脱出装置の類も装備一切搭載されていない。ただし元より生命維持装置がく、コクピット内が与圧すらされていない機体であるため搭乗員パイロットは常に宇宙服でもあるフルフェイスのフラロットスーツを着用しており、脱出を要するはそのまま搭乗ハッチからるだけである。このシステム上パイロットは残燃料とは別に通常の宇宙船より遥かに少ないスーツの残酸素量を考慮する必要があるが、もとより長距離進攻を想定しない、迎撃専用の局地戦闘機的な性格の強い機体であり、基本的には基地および味方艦の周で戦闘を行っていたためる為、この点はあまり問題にならない<ref>帝国軍の侵攻プラン軍事作戦は基本的に隊([[スター・デストロイヤー]])による「殴り込み」であり、敵機が迎撃に出てきたとき時にのみ、味方艦の護衛のために戦闘機を発進させるものである。</ref>。機体が破壊されたとしても、元より宇宙空間にるのと同じ状態で乗り込んでいるので、フライトスーツさえ無事であれば生命維持は続行され可能である。実際、戦闘中に機外に放り出されたものの、味方に回収救助されて生還したパイロットはかなり非常に多い。
 
陸・着艦用の装置も一切装備搭載されていない。TIEファイターを運用搭載する帝国軍の艦船には、機体の着艦および格納用のラックが備えられており、帰投した機体は直接ラックに引っ掛け吊り下げられて着艦し、そのまま格納状態となった。着陸脚は無いが、2枚のソーラー・パネルの下部を脚の代わりに接地させて離着陸することが可能で、陸上での運用もされている。
 
このように徹底的に無駄を省いた、究極ともいえる合理的な設計の機体であったが、コクピットからの視界が極端に悪いという、明らかな欠点が存在する。TIEシリーズの共通コクピットは前方に大きな円形の風防を備え、前方に限れば上下左右の視界は広いが、その他の開口部は上部のスリットと後部の小さな窓しかなく、左右方向に関してはそもそも窓が無いため、巨大なソーラー・パネルの存在もあり全く視界が無い。本機の後継となるTIEインターセプターでは、大きく前方に伸びたパネルが視界を妨げぬようにパネル前中央部に切り欠きが入れられたが、やはり横には窓がなく、真横は視界ゼロのままだった。巨大なソーラー・パネルは敵から見たときに良い的になるほどに被弾面積も大きく、横方向から撃墜されやすいという欠点にもつながっている。
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後の反乱軍戦闘機の高性能化により、TIE/Lnファイターは必ずしも優位ではなくなってきたため、より高性能なTIEインターセプターに置き換えられることになっていたが、帝国政府内の管轄間の縄張り意識によりなかなかはかどらず、本機は長らく一線に留まる<ref>ダース・ベイダー率いる機動艦隊の『死の小艦隊』でさえ、[[エンドアの戦い]]時点においてもTIE/LnファイターとTIEインターセプターを混用していた。</ref>。
 
本機のバリエーションとして、[[ヤヴィンの戦い]]で[[ダース・ベイダー]]が搭乗したTIEアドバンストx1がある。ソーラーパネルの上下が内側に折れ曲がっており、よりコンパクトに見えるが、標準タイプには搭載されていないシールドとハイパードライブエンジンが装備されているため、基本モジュールは同一ながら機体自体はかなり大型化している。設計には優れたパイロットにしてメカニックマンでもあったヴェイダー自身も携わっている。なお、この機体は次期主力機であるTIEインターセプターの原型となる予定であったが、コストの関係からシールドとハイパードライブの搭載は見送られ、折り曲げられた高効率ソーラーパネルのコンセプトのみが引き承されている。また、同じく折れ曲がったソーラーパネルと円筒形の双胴ボディを持つ[[爆撃機]]「TIEボマー(双胴のうち1つがコクピット、もう1つが爆弾を入れるスペース)」も存在し、[[スター・ウォーズ惑星一覧|ホス]]から逃れて[[アステロイド]]に隠れたファルコン号を燻り出す[[絨毯爆撃]]に使用される。
 
撮影に使用されたプロップにはコクピットのスクリーンが張られていない。まさに「シールドなしの剥き出し」だった<ref>ただしこの「窓ガラスなし」は『スター・ウォーズ』旧3部作のほぼ全てのプロップに共通する仕様である。ブルーバック撮影において、窓の部分を反射させずにきちんと「抜く」ために窓ガラスにあたる部品を全て抜いていた。</ref>。