「質問主意書」の版間の差分

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'''質問主意書'''(しつもんしゅいしょ)とは、[[国会法]]第74条の規定に基づき、[[国会議員]]が[[内閣 (日本)|内閣]]に対し[[質問]]する際の文書である。
 
== 質問と質疑の違い ==
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== 制度の実態 ==
=== 制度に関する議論 ===
この制度は、通常の国会質疑の場でなくとも[[日本国政府|政府]]の見解を質したり情報提供を求めたりすることができ、議席の少ない[[野党]]や[[無所属]]議員にとって有用な[[政治]]活動の手段であると評価されることが多く、実際にこの制度を積極的に利用する野党が増えている。質問時間が不足しがちな少数政党や無所属の議員は、質問主意書をもって国会審議を補っているという側面もある。また、質問主意書によって政府見解が明確になったり、政府の問題が明らかとなったりするメリットもあるとされる。<ref>[http://www.iwais.com/qt.html 岩井茂樹公式サイト]岩井茂樹公式サイト。</ref>また長妻昭は自身の公式サイトに、質問主意書が「野党議員にとっては、巨大な行政機構をチェック・是正出来る武器(国会法74条、75条)」で、「本質問主意書がきっかけで是正された事項も数多い」と記している<ref>[http://naga.tv/kokkai/shitsumon/indexquestion.html 質問主意書] 長妻昭公式サイト</ref>。2005年度は[[新党大地]]の[[鈴木宗男]]衆議院議員がこの制度を利用し[[外務省]]内のセクハラ事件などの情報を引き出した。
 
[[細田博之]][[内閣官房長官]](当時)は2004年8月5日の[[記者会見]]で、[[民主党 (日本 1998-)|民主党]]の[[長妻昭]]代議士の質問主意書を手に取り、「『自分は質問主意書日本一だ』と自慢して、[[選挙公報]]に出している人までいる。非常に行政上の阻害要因になっている」と発言し、質問主意書制度の運用の見直しに着手することを表明した。これに対し野党は「[[国政調査権]]の制限である」と強く反発し、民主党の[[川端達夫]]国会対策委員長(当時)は「国民の付託を受けてわれわれが要求することに、([[官僚]]が)徹夜してでもしっかりと対応するのは当然だ」と発言し、与野党の議論が紛糾した。その後の与野党の協議の結果、[[衆議院]]の[[議院運営委員会]]で、「事前に主意書の内容を各党の議院運営委員会の理事がチェックする」ことで合意した。
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2010年12月、与党民主党は質問主意書について「公文書として残す意義がある例外的な場合に限る」として制限する方針を決めた<ref>
{{Cite news
|url = http://www.asahi.com/politicsspecial/update/1222minshu/TKY201012220406.html
|title = 野党時代の武器、でも今は… 民主、質問主意書を制限へ
|publisher = 朝日新聞
|date = 2010-12-22
|accessdate = 2010-12-23
}}</ref>。今後の提出には[[政策部会|党政策調査会]]の了承が必要となる。
 
[[東京大学]]先端科学技術研究センター [[菅原琢]]特任准教授は、質問主意書の増大が政府の効率性に少なからぬ影響を与えているのは間違いないとする一方で、質問主意書は政府の非効率を正す場合もあるため、一様に非難するのもおかしな話であると指摘。また長妻が質問主意書制度を積極的に利用し、それまでの政治家の型にはまらない活動を展開し実績を挙げている一方で、抽象的で網羅的な長妻の質問主意書の要求が役所の業務に大きな負担となっているという理由から官僚に忌み嫌われているとしている。その上で「質問主意書制度は質問と答弁が一体となって国民の側に利益とコストをもたらすものである。したがって、質問と答弁をセットで観察していきたいところである」と述べている<ref>[http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0812/0812280345/1.php 質問主意書制度のコスト―答弁書受領まで時間がかかった質問主意書ランキング]</ref>
 
=== 提出数 ===
長妻の他に提出の多い例として、「質問主意書のキング」とも呼ばれ<ref>[http://www.j-cast.com/tv/2010/03/03061389.html?p=all j-cast] 2010年3月3日</ref>野党時代に1900の質問主意書を提出した[[新党大地]]の[[鈴木宗男]]が挙げられる。鈴木は2009年に与党となった民主党と統一会派を組んでからも外務省への追及を緩めず、今後も提出を続けると語った<ref>[http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_383.html THE JOURNAL]2009年10月4日</ref>。宗男は2010年(平成22年)に失職となり国会を去ったが、その後は同じ新党大地で後継者となった[[浅野貴博]]に質問主意書の提出を継続させた。さらに[[2013年]](平成25年)6月に宗男の長女の[[鈴木貴子 (政治家)|鈴木貴子]]が繰り上げ当選すると、以降は貴子を通じて質問主意書による攻勢をかけている。
 
=== 諸外国との比較 ===
件数を単純比較した場合、日本の質問主意書の件数が諸外国の質問件数より多くないとの指摘がある<ref name = "ooishi2001">[[大石眞]]2001『議会法』有斐閣アルマ</ref>。日本の衆参両議院での合計件数は千件以下であるが、[[イギリスの議会|イギリス議会]]で1年間に5万件以上、[[国民議会 (フランス)|フランス議会]]でも計1万5000件以上の、文書による質問が行われている<ref name = "ooishi2001"/>。しかしながら、これについては制度の違いが大きく、例としてイギリスにおいては新たな作業や調査に一定以上のコストがかかる質問については、政府側は[[回答]]を拒否することもできる<ref name = "kihara2002">木原誠二2002『英国大蔵省から見た日本』文藝春秋</ref>。また回答期日を指定しない質問が大多数で、指定するものであっても回答期日が7日以内という急なものではない(例えば国会審議での口頭の質問でさえ、実質的には10営業日以前に通告することが求められる)。さらに閣議決定のような大規模な手続きも必要なく、政府に過剰な負担がかからないような制度設計をしたうえで、大量の質問を受け付け処理している。
 
== 脚注 ==