「飛天御剣流」の版間の差分

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'''飛天御剣流'''(ひてんみつるぎりゅう)は、[[和月伸宏]]の漫画『[[るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-]]』およびそれを原作とする派生作品に登場する、架空の[[剣術]]の流派。
 
== 概要 ==
主人公・[[緋村剣心]](緋村抜刀斎)とその師である十三代・比古清十郎が操る、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]に端を発する古流剣術。作中に登場する使い手はこの二人のみだが、テレビアニメでは十二代・比古清十郎の弟子であった仁志田兵衛(十三代・比古の兄弟子)と、兵衛の甥で兵衛から飛天御剣流を習得した天草翔伍が使い手として登場する。
 
飛天御剣流は「'''剣の速さ'''」「'''身のこなしの速さ'''」「'''相手の動きの先を読む速さ'''」という三つの速さを最大限に生かし、最小の動きで複数の相手を一瞬で仕留めることを極意とする、一対多数の戦いを得意とする実戦本位の'''殺人剣'''である。「飛天」の名が示すとおり、その使い手は天空を飛翔するかのごとき跳躍力を持ち、相手のはるか上空から斬撃を放つこともしばしばあり、体さばきや斬撃の速さは「神速」とされる。その剣技は主に[[龍]]の動きを模しており、技名も「〇龍閃」「龍〇閃」といったものが多い。
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飛天御剣流伝承者は代々、開祖「比古清十郎」の名を襲名し、それと共に伝承者の力を平時抑えるため、重さ十貫の肩当と筋肉を逆さに反るバネが仕込まれた白外套が受け継がれてきた。また、代々の飛天御剣流継承の際には、その最終奥義を弟子に会得させるために自らの命を犠牲にするという習わしが存在する。奥義を会得した弟子は「比古清十郎」の名を襲名し、同じく次なる弟子にその技と理を継承させていく。例外として、十三代・比古は奥義伝承の際、剣心の剣が逆刃刀であったことと、柄の目釘が抜けかかったために威力が弱まるという偶然的な要素で生存する(前述の兵衛も翔伍に奥義の伝授を行っているが、なぜ生存できたかは不明)。
 
剣心が十四代・比古清十郎を襲名することを辞退し、やがて飛天御剣流を使用できないほど体に損傷を蓄積していくが、作者が[[アフターストーリー]]として構想していた中では剣心の息子である剣路は話に聞いただけで飛天御剣流の技を体得している。OVA『星霜編』で剣路は比古の元に押しかけるが、比古は「元より誰にも継がせる気はない。御剣流は俺で終わりだ」と飛天御剣流を継がせる気はなかった。
 
超人技の数々を放つ飛天御剣流は体への負担が大きく、十三代・比古のような恵まれた体躯を持つ者以外が使用し続けると、徐々に肉体に損傷が蓄積されやがて剣を振るうことができなくなっていく。特に奥義「天翔龍閃」の負担は大きく、死線をさまようほどの幾多の死闘において使い続けたことで剣心の肉体の損傷は加速度的に速まり、30代前半の若さでほとんどの飛天御剣流の技を使うことが不可能となる(剣を振るうこと自体はできる)。しかし、負担とは裏腹に剣心や十三代・比古は三十路を越えても若々しい容姿を保っており、作中でも「飛天御剣流には[[不老]]の秘術があるのでは?」と突っ込まれている。
 
なお、和月の本作以前の読み切り作品『るろうに -明治剣客浪漫譚-』や『戦国の三日月』にも「飛天三剣流」の名称で登場している。この名称は「一振りで三人を倒す」ことに由来している。
 
== 技 ==
和月のセルフリメイク作品『るろうに剣心 -キネマ版-』においては、技名の漢字表記や読みが異なる。これは特に意味がある変更ではなく「完全なお遊び」ということで、読者の混乱を招いたことを謝罪している。
 
; 龍槌閃(りゅうついせん)
: 空高く飛び上がり、落下重力を利用した威力の高い斬撃で一気に斬り裂く。剣心の[[十八番]]。第一幕から使用しているが、名前が判明するのは[[相楽左之助|喧嘩屋斬左]]戦から
: 実写映画版では技名は出ないが、この技で四乃森刃衛戦や蒼紫闘不能に追い込んだなど、たびたび使われた。剣心との修行中、比古清十郎も使用。
: 第一幕から使用しているが、名前が判明するのは[[相楽左之助|喧嘩屋斬左]]戦から。
: 『キネマ版』では「'''龍墜閃'''(読み方は同じ)」に名称が変更されている。実写映画版では刃衛戦や蒼紫戦など、たびたび使われた。剣心との修行中、比古清十郎も使用
;; 龍槌閃・惨(りゅうついせん・ざん)
:: 龍槌閃の派生技。上空から刀の切っ先を相手に突き刺す、作中で使用したのは一度だけ。[[逆刃刀]]でも殺人技となるため、「不殺」を誓って以降の剣心は使用していない。
; 龍翔閃(りゅうしょうせん)
: 峰を右手で支え、下から飛び上がりつつ、刀の腹で斬り上げる。「不殺」を誓って以降の剣心は、斬り上げる代わりに、相手の顎を打ち上げる、鞘の先端で鳩尾を突き上げるなどの使い方をしている。また逆刃刀のため、峰に手を支えられないことから、刀の側面部分を使用する。
: 『キネマ版』では「'''龍昇閃'''(読み方は同じ)」に名称が変更されている。実写映画版では、アクション監督曰く、龍翔閃をイメージした動きを組み込んでいるとのこと。
: 『キネマ版』では「'''龍昇閃'''(読み方は同じ)」に名称が変更されている。
; 龍槌翔閃(りゅうついしょうせん)
: 龍槌閃で上段を攻撃した後、龍翔閃で下段を攻撃する連続技。逆に龍翔閃から龍槌閃を繰り出す連続技もある。
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; 双龍閃(そうりゅうせん)
: 二段抜刀術。抜刀がかわされた場合に無防備になるため、斬撃の勢いを利用した鞘での次撃に繋ぐ二段技。
: 『キネマ版』では「'''相龍閃'''」に名称が変更されている。実写映画版で技名が言及される数少ない技の一つで、剣心との修行中、比古清十郎も使用。
: 『キネマ版』では「'''相龍閃'''(読み方は同じ)」に名称が変更されている。
;; 双龍閃・雷(そうりゅうせん・いかづち)
:: 双龍閃の派生技。一撃目に鞘で相手を浮かし、二撃目に刀で斬りつける。
:: 先述の双龍閃であると読まれやすい弱点を補強・逆手に取るかのような技でもあり、双龍閃だと思い込んで反応すると鞘攻撃によって刀は弾かれ、無防備になった所に斬撃を受ける。
:: 原作では比古清十郎が使用し、剣心は使用していないが、PS用ゲーム『十勇士陰謀編』で剣心も使用した。
; 龍巻閃(りゅうかんせん)
: 回転による遠心力を利用した技。相手の攻撃を真半身でかわし、そのまま回転しながら相手の背後に回り込み後頭部や背中に打ち込む。先手をとって使うことも可能だが、斎藤曰く、返し技として使って最も威力を発揮する技(実際縁に対して先手をとって使った際、逆に返されている)。
: 『キネマ版』では「'''龍環閃'''」に名称が変更されている。実写映画版でもたびたび使われている。剣心との修行中、比古清十郎も使用。名称が出たのは張との戦いだが、それ以前の斎藤との戦いでも同じ技を使っている(PS2用ゲーム『炎上!京都輪廻』では、剣心VS斎藤で戦闘中に牙突を龍巻閃で返すことが、イベント発生条件となっている)
: 『キネマ版』では「'''龍環閃'''(読み方は同じ)」に名称が変更されている。
: 名称が出たのは張との戦いだが、それ以前の斎藤との戦いでも同じ技を使っている(PS2用ゲーム『炎上!京都輪廻』では、剣心VS斎藤で戦闘中に牙突を龍巻閃で返すことが、イベント発生条件となっている)。
;; 龍巻閃・旋(りゅうかんせん・つむじ)
:: 龍巻閃の派生技。錐揉み状に飛んで相手に突進し斬りつける。初使用時は抜刀術として使用されたが、志々雄との戦闘では後述の「凩」の直後に抜刀した状態で使用している。
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: なお、以上三種類の龍巻閃を連撃として使用することも出来る。
; 土龍閃(どりゅうせん)
: 刀で地面に衝撃を与え土石を相手にぶつけるタイプと、刀で地面をえぐる様に衝撃を与え土砂とその衝撃波を相手にぶつけたり浮かせたりするタイプがある。斬撃を直接相手に当てる技ではないので、逆刃刀と関係無く殺傷力は低い
: 原作では前者を1度だけ使用したが、アニメ版では後者のタイプを多用した。
: 斬撃を直接相手に当てる技ではないので、逆刃刀と関係無く殺傷力は低い。
; 飛龍閃(ひりゅうせん)
: 飛天御剣流「飛刀術」(初使用時、剣心は抜刀術と語っている)。大きく身体をひねりながら、鞘に納めた刀の鍔を親指で弾いて刀を相手に飛ばす(ゆえに相手に当たるのは柄尻の部分)。
: 原作では雷十太を倒した技だが、アニメ版ではカードダスで登場したのみで、本編では飛龍閃を使用せずに土龍閃と龍槌閃で制している。また、唯一飛龍閃を使用したと言える張戦でも技名は言っておらず、総集編などでも技の紹介がされないという不憫な扱いを受けているかった
: 大きく身体をひねりながら、鞘に納めた刀の鍔を親指で弾いて刀を相手に飛ばす(ゆえに相手に当たるのは柄尻の部分)。
: 原作では雷十太を倒した技だが、アニメ版ではカードダスで登場したのみで、本編では飛龍閃を使用せずに土龍閃と龍槌閃で制している。また、唯一飛龍閃を使用したと言える張戦でも技名は言っておらず、総集編などでも技の紹介がされないという不憫な扱いを受けている。
; 龍鳴閃(りゅうめいせん)
: [[雪代縁]]との最終決戦で使用した飛天御剣流の神速による「納刀術」。
: 逆手に構えた刀を神速の速さで納刀し、その際に鍔と鞘のぶつかり合いで発生する[[高周波]]の音撃を、相手の耳元でその鼓膜に叩き込み、相手の聴覚を一時的に破壊する(聴覚を鍛えている者なら、数メートル離れていても耳に異常を感じる程の音撃)。この時の縁は狂経脈で聴覚も異常発達していたため、従来以上の威力を発揮し三半規管の機能を異常に陥らせた。
: ちなみに、『週刊少年ジャンプ』掲載時は「鳴龍閃」となっており、次週の掲載で「龍鳴閃」と訂正された。
; 九頭龍閃(くずりゅうせん)
: 奥義・天翔龍閃の伝授の試験のために開発された技。比古清十郎が最も得意とする技。
: 神速を最大に発動させ、剣術の全9方向の斬撃「壱(いち):唐竹(からたけ)、もしくは切落(きりおろし)」「弐(に):袈裟斬り(けさぎり)」「参(さん):右薙(みぎなぎ)、もしくは胴(どう)」「肆(し):右斬上(みぎきりあげ)」「伍(ご):逆風(さかかぜ)」「陸(ろく):左斬上(ひだりきりあげ)」「漆(しち):左薙(ひだりなぎ)、もしくは逆胴(ぎゃくどう)」「捌(はち):逆袈裟(さかげさ)」「玖(く):刺突(つき)」を同時に繰り出す乱撃術にして突進術の技。奥義・天翔龍閃を伝授される域の神速の斬撃を放てるだけの実力を持つ者だけが会得でき、常人には不可能といえる9方向同時攻撃を神速にて実現させた技。「不殺」を誓う剣心は、剣の柄で刺突を行っている。
: 同じ乱撃術でも、龍巣閃と違って9つの斬撃それぞれが一撃必殺の威力を持っており、神速による全9方向の同時突進攻撃という性質上、使用者の筋力と同等か上回る者が同じく神速による9方向同時攻撃を放ち相殺するか、これを上回る「超神速」の域の攻撃(後述の奥義)で先に攻撃するしかなく、防御・回避ともに不可能とされている。
: そのため、腕力と体格で比古に劣る剣心が比古が放つ九頭龍閃を攻略するには九頭龍閃の発動速度を超える「超神速」の抜刀術「天翔龍閃」を身に着ける必要がある。故に奥義伝授のための試練となる技であるとされている。
: 乱撃術と突進術の特性を併せ持つため、突進術の要たる重量、乱撃術の要たる腕力が重要になる。飛天御剣流伝承者に代々引き継がれてきた「白外套」には、重さ十貫の肩当と筋肉を逆さに反るバネが仕込まれており、それを常時身に着けることで強靭な肉体を誇る比古が最も得意とする技でもある。小柄な剣心は、技術的には九頭龍閃を発動することはできたが、腕力、体格それらすべて上回る比古清十郎の九頭龍閃の前には完全に押し負けてしまった。
: 飛天御剣流の正統伝承者として「白外套」を装着して体を鍛え抜く修行を行っていない剣心は、技術的には九頭龍閃を発動できるものの、比古清十郎の九頭龍閃ほど完全な技ではなく、神速と言われる剣心の動きすら移動速度で優る瀬田宗次郎には回避され、雪代縁には一度目は通じたものの二度目は9方向同時攻撃をすべて相殺され、三度目には発動前に掌底で潰され完全に破られているなど、「超神速」の抜刀術「天翔龍閃」や、同等以上の威力の9方向同時攻撃以外にもこの技を破られている。
: 作者の予定では当初はこの技が「奥義」であったが、後に「天翔龍閃」に差し替えられた。
: 実写映画版では技名は出ないが、この技で四乃森蒼紫を戦闘不能に追い込んだ。剣心との修行中、比古清十郎も使用。
: PSP用ソフト『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 再閃』では剣心は奥義として使っているが、比古は通常の必殺技として使用し、比古の奥義は「'''九頭龍閃極'''(くずりゅうせんごく)」となっている。
: 『キネマ版』では、初期設定どおりこの技が奥義ということになり、技の読みも「'''ここのつがしらのりゅうのひらめき'''」に改められている。さらに原作と異なり、剣心が抜刀斎となる前にすでに会得している。
: 実写版では技名は出ないが、この技で四乃森蒼紫を戦闘不能に追い込んだ。剣心との修行中、比古清十郎も使用。
; 天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)
: '''飛天御剣流奥義'''。通常右利きの場合、右足を前にして抜刀するという抜刀術の常識(通常、抜刀術は刀は左から抜刀するため、左足を前にすると抜刀時に斬ってしまう危険性があるため)を覆し、抜刀する瞬間にその手の振りや腰の捻りの勢いを一切殺すことなく絶妙のタイミングで、鞘側の足、つまりは左足を踏み出し抜刀術を放つ。その更なる一歩の踏み込みによって生まれる加速と加重が斬撃をさらに加速させ、神速の抜刀術を「超神速」の域の一撃に昇華する技。
: '''飛天御剣流奥義'''。
: 通常右利きの場合、右足を前にして抜刀するという抜刀術の常識(通常、抜刀術は刀は左から抜刀するため、左足を前にすると抜刀時に斬ってしまう危険性があるため)を覆し、抜刀する瞬間にその手の振りや腰の捻りの勢いを一切殺すことなく絶妙のタイミングで、鞘側の足、つまりは左足を踏み出し抜刀術を放つ。その更なる一歩の踏み込みによって生まれる加速と加重が斬撃を更に加速させ、神速の抜刀術を「超神速」の域の一撃に昇華する技。
: 初撃が当たらなかった場合、斬撃が空を切ることで発生する突風が敵の行動を阻害し、その初撃で斬撃が通過した部分の空気が弾かれたことで真空の空間が生まれ、その空間の空気が元に戻ろうとする作用で相手を巻き込むように引き寄せる。その自由を奪われた相手を、二回転目の遠心力と更なる一歩の踏み込みを加え、より威力を増した二撃目で追撃する。
: 技の理屈こそ簡単ではあるが、生死をわける極限状態で抜刀する瞬間に、その勢いを一切殺すことなく左足の踏み込むには、迷いなく踏み込める確固たる信念が必要不可欠であり、「捨て身」「死中に活を見出す」などの後ろ向きな気持ちを一片でも含んでいては、左足に引っかかるか、それを恐れて意識しすぎると、勢いを殺して単に左足を前に出しただけの超神速には程遠い抜刀術となってしまうため、確固たる信念がなければ絶対に成功しない技だと瀬田宗次郎は評している。
: 天翔龍閃に限らず、飛天御剣流の抜刀術は全て「隙の生じぬ二段構え」(双龍閃で言えば鞘での攻撃)になっていると比古清十郎は語る。
: 『キネマ版』では、上述どおり九頭龍閃が奥義となったため「最速抜刀術」という位置づけとなり、技の読みも「'''てんしょうりゅうせん'''」に改められた。九頭龍閃と同じく、剣心が抜刀斎となる前にすでに会得している。
: 実写映画版では数少ない技名が言及される技である。漫画原作やアニメ版と異なり、宗次郎や蒼紫にはこの技を使わずに勝利し、ラストバトルにおける最終局面の決め手として使用した。また、剣心は奥義伝授を再会してすぐ比古に嘆願するが、原作、アニメではすぐに断られ、弥彦らによる説得と流浪人としての活躍の報を聞き受けてようやく修業の許可を貰うが、実写版ではアッサリと了承され、その後に命を懸けた地獄の特訓が開始される。二撃目が存在しない代わりに原作よりも威力が高く、文字通りの一撃必殺技として志々雄との最後の戦いで唯一彼に対して決定的なダメージを与えた(参考までに、この映画の志々雄は剣客同士の4対1でも極めて有利に戦うほどの強敵として描かれている)ほか、彼の愛刀無限刃をへし折っている。
: PSゲーム『十勇士陰謀編』ではRPGという都合上、一撃目しか登場しないが、PS2ゲーム『炎上!京都輪廻』では原作通り一撃目が当たらなかった場合、二撃目に移行する。PSPゲーム『再閃』では一撃目のみ。PSP『完醒』では一撃目の後に、真空空間のエフェクトと共に二発目を放つ。
 
=== 原作本編に登場しない技 ===