「硬骨魚類」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
単系統による分類を基本にした説明に変更
25行目:
 
* '''A''' : 古典的には、階層分類における"[[魚類]]"の分類群([[タクソン]])。
* '''B''' : Aに含まれる生物を全て含む単系統群([[クレード]])。"[[魚類]]"に加え、"[[魚類]]"の一種から進化した四肢動である[[両生類]]、[[爬虫類]]、[[哺乳類]]、[[鳥類|鳥]]などを含む。
 
'''B'''は分岐分類学的な立場に基づく分類である。
 
しかし一方また伝統的な'''A'''の分類の方が直感的で理解しやす(「サメ・エイ・ヤツメウナギなどを除いた"魚"らしい"魚"」と考えればいい)
また、実用的には"[[魚類]]"と陸上生四肢動物を同一グループとして扱う必要場面ではことから'''A'''の意味で使うことも多い。
 
{{Main|生物の分類}}
41行目:
従来の[[定説]]では、初期の[[魚類]]は[[軟骨魚綱|軟骨]]であり、それが硬骨に進化していったとされ、軟骨魚に分類される[[サメ]]や[[エイ]]などは古代の姿を今に残す[[生きている化石|生きた化石]]とされる。しかし、[[顎口上綱|顎を持つ生き物]]全ての祖先に当たる生き物は、硬骨に近い骨を持っており、サメやエイは[[深海]]での捕食に特化するために、定説とは逆に硬骨から軟骨に進化したとする学説もある。その説を補強する化石なども発見されている<ref>{{cite news |title=サメは「生きた化石」ではなかった? 定説覆す化石発見|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-4-21 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3012896|accessdate=2014-9-5 }}</ref>。
 
== A, 伝統的類に基づく硬骨魚類 ==
軟骨魚類・硬骨魚類は、古くは魚綱の下位の軟骨魚亜綱・硬骨魚亜綱としたが、今では魚類を魚上綱として、軟骨魚綱と硬骨魚綱の2綱に分けることが多い。また、魚類に[[無顎類]]([[ヤツメウナギ]]や[[ヌタウナギ]]等)を含めることもある。
 
硬骨魚類は、大きく[[条鰭綱]]は[[肉鰭綱]]に二分される。
生物の進化上は、硬骨魚類は軟骨魚類から、軟骨魚類は無顎類から分岐した。また、両生綱、爬虫綱、鳥綱、哺乳綱は、硬骨魚類から分岐した。下図参照。
 
[[条鰭綱]]はさらに[[軟質亜綱]]と[[新鰭亜綱]]の2亜綱に分けられる。
<pre>
[[新鰭亜綱]]はさらに[[全骨類]]と[[真骨類]]とに分かれる。
    ┏ 無顎類 (A)
[[新鰭亜綱]][[真骨類]]は、現在最も繁栄している。日常的に私達が触れる"魚"はほぼ[[新鰭亜綱]][[真骨類]]である。一方、現生する全骨類は[[ガー目]](レピソステウス目)と[[アミア目]]のみである。
脊椎動物┫    ┏ 軟骨魚類 (B)
また、[[軟質亜綱]]は[[チョウザメ目]]のみが現生である。
    ┗ 顎口類┫     ┏ 条鰭魚類 (C)
         ┗ 硬骨魚類┫     ┏ 肺魚類 (D)
               ┗ 肉鰭魚類┫
                     ┗ 四肢動物━ (両生類,爬虫類,鳥類,哺乳類)
</pre>
すなわち硬骨魚類は(C)+(D)のグループであり側系統群(単系統群から一部の群を除いたグループ)である。そのため、[[分岐学|分岐分類学]]の立場では([[無脊椎動物]]や[[爬虫類]]などと同様)生物分類の単位とはしない'''(後述)'''。ただし実用性の観点から、硬骨魚類の分類名は現在も広く使用されている。しかし分岐分類においても"硬骨魚類(Osteichthyes)"の名称は定義を変えて使用されており、伝統的な分類体系と混同され混乱を招くことも多い。
 
[[肉鰭綱]]は[[肺魚亜綱]]、[[シーラカンス亜綱]]、[[四肢動物]]に分けられる。[[四肢動物]]は[[両生類]]、[[爬虫類]]、[[鳥類]]、[[哺乳類]]などを含むグループで、[[ヒト]]も四肢動物に含まれ、主に陸上で繁栄している。一方、[[肺魚亜綱]]はケラトドゥス目とレピドシレン目、[[シーラカンス亜綱]]はシーラカンス目のみが現生種である。[[肺魚亜綱]]と[[シーラカンス亜綱]]のどちらが[[四肢動物]]に近縁なのかは諸説ある。
=== 分類概略 ===
硬骨魚類は、[[肺魚亜綱]]、総鰭亜綱、腕鰭亜綱、[[条鰭亜綱]]の4亜綱に分類される。このうち、肺魚亜綱にはケラトドゥス目とレピドシレン目、総鰭亜綱にはシーラカンス目、腕鰭亜綱にはポリプテルス目だけしか現生目がない。
 
現生種として[[ポリプテルス目]]のみを含む[[腕鰭亜綱]]は、[[条鰭綱]]と古い時代に分岐したグループであるとも、[[肉鰭綱]]と近縁であるとも言われている。
条鰭亜綱は、軟質下綱と新鰭下綱の2下綱に分けられるが、軟質下綱は軟骨上綱チョウザメ目のみが現生である。現在最も繁栄している魚類のグループは、条鰭亜綱の新鰭下綱であり、通常私たちの目にふれる“魚”は、ほとんどがこのグループであると言ってよい。
 
なお、前述のように、実用上は[[四肢動物]]を硬骨魚類に含めないことがある。
新鰭下綱は、さらに全骨類と[[真骨類]]とに分かれるが、現生する全骨類の魚類はガー目([[ガー目|レピソステウス目]])とアミア目のみであり、それ以外のすべての新鰭下綱の魚類は、真骨類に属する。
 
=== 分類樹 ===
* '''[[条鰭亜綱]] [[w:Actinopterygii|Actinopterygii]]'''
** [[軟質亜綱|軟質下綱]] [[w:Chondrostei|Chondrostei]]
** [[新鰭亜綱|新鰭下綱]] [[w:Neopterygii|Neopterygii]]
* '''[[肺魚亜綱]] [[w:Dipnoi|Dipnoi]]'''
** [[セラトダス目]] Ceratodontiformes
** [[レピドシレン目]] Lepidosirenina
* '''[[肉鰭綱|総鰭亜綱]] Crosspterygii'''
** [[シーラカンス目]] Coelacanthiformes
* '''[[腕鰭亜綱]] Brachiopterygii'''
** [[ポリプテルス目]] Polypteriformes
 
== B, 分岐分類に基づく硬骨魚類 ==
[[分岐学]]は、全ての形質を極力同様に重みづけした上で分岐図を作成し、その各分岐点を分類群として定義する手法である。このため、硬骨魚類の系統が分岐して以降、その子孫は全て硬骨魚類であって、例えば哺乳類が恣意的に硬骨魚から外されることはない。
 
=== 系統樹 ===
[[脊動物]]の系統の概略を以下に示す。太字部は全て硬骨魚類ということになる
 
{{clade| style=font-size:95%;line-height:95%
|label1=[[脊索動物]]&nbsp;
|1={{clade
|label1=&nbsp;[[頭索動物]]
|1={{clade
|1=&nbsp;[[ナメクジウオ]]
}}
 
|label2=&nbsp;
|2={{clade
|label1=[[尾索動物]]&nbsp;
|1={{clade
|1=&nbsp;[[オタマボヤ類]]&nbsp;
|2=&nbsp;[[タリア綱|タリア類]]&nbsp;
|3=&nbsp;[[ホヤ類]]&nbsp;
}}
 
|label2=&nbsp;[[脊椎動物]]&nbsp;
|2={{clade
|label1=&nbsp;[[円口類]]&nbsp;
|1={{clade
|1=&nbsp;[[ヌタウナギ|ヌタウナギ類]]&nbsp;
|2=&nbsp;[[ヤツメウナギ|ヤツメウナギ類]]&nbsp;
}}
 
|label2=&nbsp;
|2={{clade
|1=&nbsp;[[コノドント]]†  
|2=&nbsp;[[翼甲類]]†
|3=&nbsp;[[甲皮類]]†
|label5=&nbsp;[[顎口類]]&nbsp;
|5={{clade
|1=&nbsp;[[板皮類]]†
|2=&nbsp;[[軟骨魚類]]
|label3=&nbsp;[[真口類]]&nbsp;
|3={{clade
|1=&nbsp;[[棘魚類]]†
 
|label2=&nbsp;'''硬骨魚類'''&nbsp;
|2={{clade
 
|label1=&nbsp;'''[[条鰭類]]'''&nbsp;
|1={{clade
|1=&nbsp;'''[[ポリプテルス|分岐鰭類]]'''&nbsp;
|label2=&nbsp;
|2={{clade
|1=&nbsp;'''[[軟質類]]'''&nbsp;
|2=&nbsp;'''[[新鰭亜綱|新鰭類]]'''&nbsp;
        }}
}}
 
{{clade|label2label1=&nbsp;'''[[肉鰭類脊椎動物]]'''&nbsp;
|1={{clade|
|1={{clade
|label1=&nbsp;[[円口類]]&nbsp;
|2={{clade
|1=&nbsp;[[コノドント]]†  
|2=&nbsp;[[翼甲類]]†
|3=&nbsp;[[甲皮類]]†
|label5=&nbsp;[[顎口類]]&nbsp;
|5={{clade
|1=&nbsp;[[板皮類]]†
|2=&nbsp;[[軟骨魚類]]
|label3=&nbsp;[[真口類]]&nbsp;
|3={{clade
|1=&nbsp;[[棘魚類]]†
|label2=&nbsp;'''硬骨魚類'''&nbsp;
|2={{clade
|label1=&nbsp;'''[[条鰭綱]]'''&nbsp;
|1={{clade
|1=&nbsp;'''[[ポリプテルス]]'''?&nbsp;
|label2=&nbsp;
|2={{clade
|1=&nbsp;'''[[全鰭亜綱]]'''&nbsp;
|2=&nbsp;'''[[新鰭亜綱]]'''&nbsp;
        }}
}}
|label2=&nbsp;'''[[肉鰭綱]]'''&nbsp;
|2={{clade
|label1=<font color="white">void</font>
|1={{clade&nbsp;'''[[四肢動物]]'''&nbsp;
|label1=&nbsp;'''[[四肢動物]]'''&nbsp;}}
}}
|1={{clade }}
|1=&nbsp;'''[[両生類]]'''
|label2=&nbsp;'''[[羊膜類]]'''&nbsp;
|2={{clade
|label1=&nbsp;'''[[単弓類]]'''&nbsp;
|1={{clade
|label1=<font color="white">void</font>
|1={{clade
|1=&nbsp;'''[[哺乳類]]'''
}}
}}
|label2=&nbsp;'''[[竜弓類]]'''&nbsp;
|2={{clade
|label1=&nbsp;'''[[双弓類]]'''&nbsp;
|1={{clade
|1=&nbsp;'''[[鱗竜類]]'''
|2=&nbsp;'''[[主竜形類]]'''
}}
}}
}}
}}
}}
}}
}}
}}
}}
}}
}}
}} }}
}}
}}
{{clear}}