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|appearance= 無色の気体<br />高電圧をかけると紫色に発光する
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'''ヘリウム''' ([[ラテン語|新ラテン語]]<ref>http://www.encyclo.co.uk/webster/H/27</ref>: {{lang|la|''helium''}}, {{lang-en-short|helium}} {{IPA-en|ˈhiːliəm|}})は、[[原子番号]] 2、[[原子量]] 4.00260、[[元素記号]] '''He''' の[[元素]]である。
 
無色、無臭、無味、無毒(酸欠を除く)で最も軽い[[希ガス]]元素である。すべての元素の中で最も[[沸点]]が低く、加圧下でしか[[固体]]にならない。ヘリウムは不活性の[[単原子分子|単原子ガス]]として存在する。また、存在量は[[水素]]に次いで宇宙で2番目に多い。ヘリウムは[[地球]]の[[大気]]の 0.0005 % を占め、[[鉱物]]や[[ミネラルウォーター]]の中にも溶け込んでいる。[[天然ガス]]と共に豊富に産出し、[[気球]]や小型[[飛行船]]の[[浮揚用ガス]]として用いられたり、[[液体ヘリウム]]を[[超伝導]]用の低温素材としたり、大深度へ潜る際の呼吸ガスとして用いられている。
名称確定の希ガス元素としては唯一末尾が「-ium」である。(他の希ガス元素は末尾が「-on」)
 
== 特徴 ==
[[標準状態]]において、ヘリウムは[[単原子分子|単原子ガス]]として存在する。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下に置かなければならない。元素の中で[[沸点]]が最も低く、標準圧力下では温度を下げて[[絶対零度]]になっても[[不確定性原理]]のため液体のままであり、固化するにはさらに高い圧力をかける必要がある。[[臨界温度]]は 5.19 [[ケルビン|K]] と非常に低い。固体ヘリウムは[[ヘリウム3]]と[[ヘリウムの同位体|ヘリウム4]]で必要な圧力が異なり、圧力を調節して体積の 30 % をコントロールすることができる。ヘリウムは[[比熱容量]]が非常に高く、密度の高い蒸気となり、部屋の温度が上昇すると素早く膨張する。
 
固体ヘリウムは 1.5 K、2.5- から 3.5 [[メガ|M]][[パスカル|Pa]] という非常に低い温度と高い圧力の下でしか存在できない。だいたいこのくらいの温度以上になると、[[相転移]]を起こしてしまう。これ以下の温度ではそれぞれ立方体型の分子を作っている。
 
ヘリウム-4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、[[量子力学]]の研究([[超流動]]現象)において重要で、物質が[[超伝導]]を帯びるような[[絶対零度]]に近い超低温で発現する。
 
== 用途 ==
以下に挙げるような様々な用途に使用されている<ref>[http://dx.doi.org/10.2116/bunsekikagaku.21.1540 希ガスの取り扱い] 分析化学 Vol.21 (1972) No.11 P1540-1551</ref>。
 
* ヘリウムガス
** ヘリウムは[[水素]]の 92.64 % もの浮揚力があり、燃えないため、水素よりも安全なガスとして[[風船]]等の浮揚用ガスとして利用され、広告用バルーンや天体観測用気球、軍事用偵察気球などに使用されている。また、ヘリウム中では[[音速]]が空気中よりずっと速い(純粋ヘリウム中では約1000m 1000 m/s)ため<ref group="注">共鳴の起こる波長([[喉頭腔]]の大きさに依存)を一定とすると、周波数はその媒質を伝わる波の速さに比例する。[[周波数#定義]]を参照。</ref>、ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出る([[ドナルドダック#ドナルドダック効果|ドナルドダック効果]])。これに着目して、いわゆるパーティグッズとしても利用される。このような市販の「変声」用ガスには、酸欠等になるのを防ぐために酸素が 20 % ほど含まれているが、風船用ガスとの誤用による事故<ref name="nikkansports">[http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cpettp01502050009.html 12歳アイドル、テレ朝収録中に倒れ搬送] [[日刊スポーツ]]芸能ニュース - [[朝日新聞]]デジタル&M 2015年2月5日</ref>や吸い過ぎによって嘔吐や意識を失う事故が度々発生<ref name="nikkansports"/><ref group="注">2015年1月には12歳の児童がテレビ番組の収録中にこのガスを一気に吸引したことによって意識不明の重体に陥り、このようなケースでは日本で初めて「脳空気塞栓症」と診断された事故が起きている。[[テレビ朝日#不祥事・事件・トラブル]]、[[児童労働#児童労働の例]]、[[3B junior]]も参照されたい。</ref>しており、その大半は12歳以下の子供によるものである<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/20150206-OYT1T50115.html ヘリウム事故、注意呼びかけ…12歳以下に集中] [[読売新聞]](YOMIURI ONLINE) 2015年2月6日</ref>。ヘリウムに薬理作用はないが、酸素を混合していないガスの吸引による自殺に使用された例も報告されている<ref>[http://dx.doi.org/10.3408/jafst.18.65 血中ヘリウムの分析] 日本法科学技術学会誌 Vol.18 (2013) No.1 p.65-70</ref>。
 
* 低温工学
** ヘリウムは沸点、融点ともに最も低い元素であり、液体ヘリウムは他の超低温物質よりも低温となり、[[超伝導]]や[[低温学]]など、[[絶対零度]]に近い環境での研究が必要な分野で冷媒として使用されている。また、[[3He-4He希釈冷凍法|ヘリウム3とヘリウム4を使った希釈冷凍法]]がある。
 
* 労働産業
** ヘリウムと[[酸素]]等との[[混合ガス]]は[[テクニカルダイビング]]など、大深度潜水用の呼吸ガスとして用いられる<ref>[https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00374/contents/007.htm 海洋科学技術研修テキスト 飽和潜水 日本財団図書館(電子図書館)]</ref><ref>[http://dx.doi.org/10.5100/jje.29.Supplement_156 リウム混合ガス深々度短時間潜水減圧法の開発と大深度潜函作業減圧法への応用] 人間工学 Vol.29 (1993) No.Supplement P156-157</ref>。ヘリウムは[[窒素]]よりも[[麻酔]]作用が少ないため、[[窒素中毒]]などの中毒症状を起こしにくい。さらにヘリウムは粘度が低いため、高圧下でも呼吸抵抗が小さく、身体からの排泄速度が速い<ref name="ahs1983.3.227">[http://dx.doi.org/10.2114/ahs1983.3.227 高圧ヘリウム・酸素環境に於ける呼吸放熱] The Annals of physiological anthropology Vol.3 (1984) No.3 P227-236</ref>とされている。しかし、特定の条件下では気泡が生じやすく一旦血管内に気泡が生じた場合は消失しにくいとの報告がある<ref>[http://dx.doi.org/10.11227/seikisho1966.32.3_S43 7絶対気圧10分間のヘリウム酸素圧曝露による血管内気泡の出現] 日本生気象学会雑誌 Vol.32 (1995) No.3 PS43</ref>。欠点として熱伝導率が高いため、体温調節が難しくなり[[低体温症]]になる危険がある<ref>[http://dx.doi.org/10.2114/ahs1983.4.147 31barまでの高圧ヘリウム環境における呼吸放熱による深部体温の低下] The Annals of physiological anthropology Vol.4 (1985) No.2 P147-152</ref>こと、また空気と比較してはるかに高価であることがある。ヘリウムと酸素の混合ガスである'''ヘリオックス'''と、ヘリウム、酸素、窒素を混合した'''トライミックス'''がある。
 
* 医療
** また液体に溶けやすく人体に無害と言う特性もあり、血管内で素早く膨らませたり縮めたりすることで心臓の機能を補助する [[IABP]] のバルーンに吹き込む気体として採用されている。
** 液体ヘリウムは [[核磁気共鳴分光法|NMR]] [[核磁気共鳴画像法|MRI]] の測定装置で[[超伝導電磁石]]の冷却に使われている。
 
* その他
** [[能美防災]]の民生用蓄圧式[[消火器]]には、[[窒素]]の代わりに圧力源として使われている。
** [[ガスクロマトグラフィー]]などのキャリヤーガスとしても使用される。
** 液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、[[ケイ素|シリコン]]や[[ゲルマニウム]]結晶の保護材、あるいは[[原子炉]]の[[冷却材]]、[[超音速]][[風洞]]実験での充満ガス、タンデム[[加速器]]の超伝導ブースター<ref>{{PDFlink|[http://www.pasj.jp/web_publish/pasj9/proceedings/PDF/WEPS/WEPS009.pdf Present status of JAEA-Tokai tandem accelerator and booster 原子力機構-東海タンデム加速器の現状] 第9回日本加速器学会年会発表資料}}</ref>などに用いられている。
** ヘリウムの[[同位体]]の一つであるヘリウム3は[[核融合エネルギー|核融合発電]]の燃料としての利用が考えられている。しかし、現在熱核融合炉で想定されている温度の領域では、[[トリチウム]]燃料の場合に比べて核融合反応が起こりにくい上、地球上で天然に採取する事はほとんど不可能である。{{要出典範囲|[[太陽]]から噴出した[[太陽風]]が[[月面]]に堆積した物を採取する、[[木星]]などの[[木星型惑星]]で採取する等の方法が検討されている|date=2015年2月}}。
** ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため(ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で[[非破壊検査]]するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。しかしわずかな隙間にも侵入するため、潜水艦や減圧室などヘリウムの混合ガスを使用する状態において、防水として設計された時計などの隙間にも侵入し、圧力変化によって腕時計のガラスを吹き飛ばしてしまうことがある。このため、一部のダイバーズ・ウォッチにはヘリウム・エスケープ・バルブが付いており、この機構で内部のヘリウムを自動的に外へ逃がすことができる。水素に次いで軽い気体であるため、ポンプなどを使って移動させる時に少ないエネルギーで素早く移動させる事ができる。
 
== 歴史 ==
=== 発見 ===
ヘリウム原子の存在を示す最初の証拠は、[[1868年]][[8月18日]]に[[太陽]]の[[彩層]]部分の光を{{仮リンク|発光分光分析[[:|en:|Emission spectrum|(en)]]}}した際に見つかった、波長587.49ナノメートルの黄色い輝線だった。これを発見したのは、[[インド]]の[[グントゥール]]で[[皆既日食]]を観察していた[[フランス]]人天文学者の[[ピエール・ジャンサン]]だった<ref name="frnch">{{cite journal|title = French astronomers in India during the 17th - 19th centuries |journal = Journal of the British Astronomical Association|volume =101|issue = 2|pages = 95–100|url = http://articles.adsabs.harvard.edu//full/1991JBAA..101...95K/0000100.000.html|author = Kochhar, R. K. |accessdate=2008-07-27|year=1991}}</ref>。彼は当初、この線は[[ナトリウム]]を示すと考えたが、同年[[10月20日]]に[[イギリス]]人天文学者[[ノーマン・ロッキャー]]がやはり太陽光を分析して黄線を観測し、ナトリウムの[[フラウンホーファー線]]記号 D{{<sub|>1}}</sub> D{{<sub|>2}}</sub> に近かったことから、D{{<sub|>3}}</sub> と名づけた<ref name=enc>{{cite book |title= The Encyclopedia of the Chemical Elements |pages =256–268 |author = Clifford A. Hampel |location=New York |isbn = 0442155980 |year = 1968 |publisher =Van Nostrand Reinhold}}</ref>。ロッキャーは、この元素が太陽を構成する地球では知られていない元素だと結論づけ、彼とイギリスの化学者[[エドワード・フランクランド]]は、[[ギリシア語]]で太陽 ({{lang|el|ἥλιος}}) を意味する「[[ヘリウム]]」と名づけた<ref>[http://balloonprofessional.co.uk/decoration_balloons/balloon-helium-gas/ Sir Norman Lockyer - discovery of the element that he named helium]" ''Balloon Professional Magazine'', 07 Aug 2009.</ref><ref>{{cite web| title=Helium|publisher = Oxford English Dictionary| year = 2008| url = http://dictionary.oed.com/cgi/entry/50104457?| accessdate = 2008-07-20}}</ref><ref>{{cite book|author=Thomson, W.|year=1872|publisher=Rep. Brit. Assoc. xcix|title=Frankland and Lockyer find the yellow prominences to give a very decided bright line not far from D, but hitherto not identified with any terrestrial flame. It seems to indicate a new substance, which they propose to call Helium}}</ref>。
 
[[Imageファイル:Helium spectrum.jpg|left|200px|thumb|ヘリウムの[[スペクトル]]]]
[[1882年]]、[[イタリア]]の物理学者{{仮リンク|ルイージ・パルミエーリ[[:|en:|Luigi Palmieri|(en)]]}}は、[[ヴェスヴィオ]]山の[[溶岩]]を分析していた際に、[[スペクトル]] D<sub>3</sub> 線を見つけた。これが[[地球]]上で初めてヘリウムの存在を示唆する証拠となった<ref>{{cite book|title=Recent Advances in Physical and Inorganic Chemistry|author=Stewart, Alfred Walter|page=201|url=http://books.google.com/books?id=pIqhPFfDMXwC&pg=PA201|publisher=BiblioBazaar, LLC|year=2008|isbn=0554805138}}</ref>。
 
[[1895年]][[3月26日]]、[[イギリス]]の[[化学者]][[ウィリアム・ラムゼー]]卿が{{仮リンク|クレーベ石[[:en:cleveite|(en)]]|cleveite}}(10 % 以上の[[希土類元素]]を含む閃ウラン鉱)と[[無機酸]]を反応させる実験を通じてヘリウムの分離に成功し、地球上で初めて生成した。ラムゼーは[[アルゴン]]を探していたが、[[硫酸]]で発生させたガスから窒素や[[酸素]]を取り除いた残りをスペクトル分光して調べたところ、太陽光と同じ D<sub>3</sub> 線を発見した<ref name=enc/><ref>{{cite journal|title = On a Gas Showing the Spectrum of Helium, the Reputed Cause of D3 , One of the Lines in the Coronal Spectrum. Preliminary Note|author = [[William Ramsay|Ramsay, William]]|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 58|pages = 65–67|year = 1895|doi = 10.1098/rspl.1895.0006}}</ref><ref>{{cite journal|title = Helium, a Gaseous Constituent of Certain Minerals. Part I|author = Ramsay, William|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 58|pages = 80–89|year = 1895|doi = 10.1098/rspl.1895.0010}}</ref><ref>{{cite journal|title = Helium, a Gaseous Constituent of Certain Minerals. Part II--|author = Ramsay, William|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 59|pages = 325–330|year = 1895|doi = 10.1098/rspl.1895.0097}}</ref>。そしてこれが、ロッキャーや[[ウィリアム・クルックス]]が名づけた「ヘリウム」であると同定した。実は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の地球科学者{{仮リンク|ウィリアム・フランシス・ヒレブランド[[:|en:|William Francis Hillebrand|(en)]]}}がラムゼーに先立ち[[閃ウラン鉱]]標本の試験を行っている際に変わったスペクトルを見つけていたが、彼はこれを[[窒素]]のスペクトルと思い込んでいた。ヒレブランドはラムゼーに祝辞の手紙を送っている<ref>{{cite book|author=[[Pat Munday|Munday, Pat]]|year=1999|title=Biographical entry for W.F. Hillebrand (1853–1925), geochemist and U.S. Bureau of Standards administrator in [[American National Biography]]|editor=John A. Garraty and Mark C. Carnes|volume=10-11|publisher=Oxford University Press|pages= 808–9; 227–8}}</ref>。
 
原子量を計測できる程度の量は、[[スウェーデン]][[ウプサラ]]市で[[ペール・テオドール・クレーベ]]と{{仮リンク|アブラハム・ラングレ[[:|en:|Abraham Langlet|(en)]]}}が抽出に成功した<ref>{{de icon}} {{cite journal|title = Das Atomgewicht des Heliums|author = Langlet, N. A.|journal = Zeitschrift für anorganische Chemie|volume = 10|issue = 1| pages = 289–292|year = 1895|doi =10.1002/zaac.18950100130|language= German}}</ref><ref>{{cite book| chapter= Bibliography of Helium Literature|author =Weaver, E.R.| title=Industrial & Engineering Chemistry|year=1919}}</ref>。
 
[[1907年]]([[1903年]]?)に[[アーネスト・ラザフォード]]とトーマス・ロイズは、新しく見つかったガスをガラス管に詰めてスペクトルを調べようとした際に、粒子が薄いガラス壁を通り抜けることを見つけ、[[アルファ粒子]]がヘリウムの原子核であることを突き止めた。[[1908年]]には[[オランダ]]の[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]がガスを 1 [[ケルビン|K]] 以下まで冷却し、液化に初めて成功した<ref>{{cite journal |title = Little cup of Helium, big Science |author = van Delft, Dirk |journal = Physics today |url = http://www-lorentz.leidenuniv.nl/history/cold/VanDelftHKO_PT.pdf |format=PDF|pages = 36–42 |year = 2008 |accessdate = 2008-07-20}}</ref>。彼はさらに温度を下げて固体を得ようとしたが、常圧のヘリウムは[[三重点]]を持たないため、これには失敗した。しかし、[[1926年]]に、オネスの教えを受けた[[ウィレム・ヘンドリック・ケーソン]]が1cm 1 cm<sup>3</sup> のヘリウム固体化に初めて成功した<ref>{{cite news|title = Coldest Cold| publisher = Time Inc.| date = 1929-06-10| url = http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,751945,00.html| accessdate = 2008-07-27}}</ref>。
 
[[1938年]]、[[ロシア]]の[[ピョートル・カピッツァ]]は[[絶対零度]]近くまで冷却した[[ヘリウム4]]がほとんど粘性を持っていないことを発見し、これは[[超流動]]と呼ばれた<ref>{{cite journal |title = Viscosity of Liquid Helium below the λ-Point |author = [[Pyotr Leonidovich Kapitsa|Kapitza, P.]] |journal =Nature|volume = 141 |pages = 74 |doi = 10.1038/141074a0 |year = 1938}}</ref>。[[1972年]]には、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ダグラス・D・オシェロフ]]、[[デビッド・リー (物理学者)|デビッド・リー]]、[[ロバート・リチャードソン (物理学者)|ロバート・リチャードソン]]によって、絶対零度に近い温度域で[[ヘリウム3]]でも同じ現象が発見された<ref>{{cite journal |title = Evidence for a New Phase of Solid He<sup>3</sup> |author = Osheroff, D. D.; Richardson, R. C.; Lee, D. M. |journal = Phys. Rev. Lett. |volume = 28 |issue = 14 |pages = 885–888 |doi = 10.1103/PhysRevLett.28.885 |year = 1972}}</ref>。
 
=== 産出と利用 ===
[[1903年]]、アメリカ・[[カンザス州]]{{仮リンク|デクスター[[:|en:|Dexter, Kansas|(en)]]}}で石油掘削の[[ボーリング]]が行われたところ、不燃性のガスが湧き出た。カンザス在住の地質学者{{仮リンク|エラスムス・ハワース[[:|en:|Erasmus Haworth|(en)]]}}がこれを収集し、[[ローレンス市 (カンザス州)|ローレンス市]]の[[カンザス大学]]で[[化学者]]{{仮リンク|ハミルトン・キャディ[[:|en:|Hamilton Cady|(en)]]}}とデイヴィッド・マクファーランドの協力を得て成分解析を行った。その結果、ガスは質量比で窒素 72 %、[[メタン]] 15 %([[酸素]]がなかったため燃焼しなかった)、[[水素]] 1 % と、残り 12 % の成分は解明できなかった<ref>{{cite journal |author = McFarland, D. F. |title = Composition of Gas from a Well at Dexter, Kan |volume = 19|pages = 60–62 |url = http://www.jstor.org/stable/3624173 |year = 1903 |accessdate=2008-07-22 |journal = Transactions of the Kansas Academy of Science |doi = 10.2307/3624173}}</ref>。さらに解析を進めた結果キャディとマクファーランドは、1.84 % はヘリウムであることを突き止めた<ref>{{cite web|publisher=[[American Chemical Society]]|year=2004|url=http://acswebcontent.acs.org/landmarks/landmarks/helium/helium.html|title=The Discovery of Helium in Natural Gas|accessdate=2008-07-20}}</ref><ref>{{cite journal |author = Cady, H.P. |coauthors = McFarland, D. F.|title = Helium in Natural Gas |journal = Science |volume = 24 |issue = 611|pages = 344 |doi = 10.1126/science.24.611.344 |year = 1906 |pmid = 17772798}}</ref>。これによって、地球全体では希少であるヘリウムがアメリカの[[グレートプレーンズ]]地下に大量に存在しており、天然ガスの副産物として入手可能だということが判明した<ref>{{cite journal |author = Cady, H.P.; McFarland, D. F.|title = Helium in Kansas Natural Gas |journal = Transactions of the Kansas Academy of Science |volume = 20 |pages = 80–81 |url = http://mc1litvip.jstor.org/stable/3624645 |year = 1906|accessdate=2008-07-20 |doi = 10.2307/3624645}}</ref>
:ただし化石燃料とは生成の経緯が異なる。長い年月をかけて[[ウラン]]と[[トリウム]]が[[放射性崩壊]]することによりヘリウムができる。</ref>。アメリカの主なヘリウム含有ガス田は、ほとんどがカンザス州、オクラホマ州、テキサス州西部の地域にある<ref name="Russia">{{cite web|url= http://docs.google.com/viewer?a=v&q=cache:CpFQMBLWl9UJ:www.rotobo.or.jp/publication/RTNL/2007No.3.pdf+Hugoton+%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%82%B9&hl=ja&gl=jp&pid=bl&srcid=ADGEESgalyXJR-INgQczVHQFmWTyo43-UghhVynT0BCVCp0jA-Zn0kyBImpL1-CbuEs14xXNUaqm-R5R08cNQcXMs2FuIbJeuBPAif-iGTqfa-CNy_ss_OMaiq1mdQj5ylq4X_8ipKA3&sig=AHIEtbQCWR6gU9LmJNQDRKiU8oJWyLlSAA|language=日本語|title=ロシアのヘリウム生産の現状と展望|publisher=日露技術ニュース|author=小川亮|accessdate=2010-06-05}}</ref>。
 
:ただし化石燃料とは生成の経緯が異なる。り、長い年月をかけて[[ウラン]]と[[トリウム]]が[[放射性崩壊]]することによりヘリウムができる。</ref>。アメリカの主なヘリウム含有ガス田は、ほとんどがカンザス州、オクラホマ州、テキサス州西部の地域にある<ref name="Russia">{{cite web|url= http://docs.google.com/viewer?a=v&q=cache:CpFQMBLWl9UJ:www.rotobo.or.jp/publication/RTNL/2007No.3.pdf+Hugoton+%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%82%B9&hl=ja&gl=jp&pid=bl&srcid=ADGEESgalyXJR-INgQczVHQFmWTyo43-UghhVynT0BCVCp0jA-Zn0kyBImpL1-CbuEs14xXNUaqm-R5R08cNQcXMs2FuIbJeuBPAif-iGTqfa-CNy_ss_OMaiq1mdQj5ylq4X_8ipKA3&sig=AHIEtbQCWR6gU9LmJNQDRKiU8oJWyLlSAA|language=日本語|title=ロシアのヘリウム生産の現状と展望|publisher=日露技術ニュース|author=小川亮|accessdate=2010-06-05}}</ref>。
この発見によって、アメリカ合衆国は一大ヘリウム供給国となった。[[第一次世界大戦]]時、リチャード・スレルホール卿[[:en:Richard Threlfall|(en)]]の助言を受けて、[[アメリカ海軍]]は3基の実験的な小規模ヘリウム製造設備に投資をした。これは、空気よりも軽く不燃性のガスを[[阻塞気球]]に使う目的があった。これ以前、ヘリウムガスは通算で1m<sup>3</sup>も得られていなかったのだが、この計画で生産されたガスは純度92%で5,700m<sup>3</sup>にのぼり<ref name=enc/>、[[1921年]][[12月1日]]に処女航行を行った世界初のヘリウム飛行船C-7(アメリカ海軍)にも使われた<ref>{{cite book |editor=Emme, Eugene M. comp. |title=Aeronautics and Astronautics: An American Chronology of Science and Technology in the Exploration of Space, 1915–1960 |year=1961 |pages=11–19 |chapter=Aeronautics and Astronautics Chronology, 1920–1924 |chapterurl=http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/Timeline/1920-24.html |publisher=[[NASA]] |location=Washington, D.C. |accessdate=2008-07-20}}</ref>。
 
この発見によって、アメリカ合衆国は一大ヘリウム供給国となった。[[第一次世界大戦]]時、{{仮リンク|リチャード・スレルホール卿[[:|en:|Richard Threlfall|(en)]]}}の助言を受けて、[[アメリカ海軍]]は3基の実験的な小規模ヘリウム製造設備に投資をした。これは、空気よりも軽く不燃性のガスを[[阻塞気球]]に使う目的があった。これ以前、ヘリウムガスは通算で1m 1 m<sup>3</sup> も得られていなかったのだが、この計画で生産されたガスは純度 92 % 5,700m700 m<sup>3</sup> にのぼり<ref name=enc/>、[[1921年]][[12月1日]]に処女航行を行った世界初のヘリウム飛行船 C-7(アメリカ海軍)にも使われた<ref>{{cite book |editor=Emme, Eugene M. comp. |title=Aeronautics and Astronautics: An American Chronology of Science and Technology in the Exploration of Space, 1915–1960 |year=1961 |pages=11–19 |chapter=Aeronautics and Astronautics Chronology, 1920–1924 |chapterurl=http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/Timeline/1920-24.html |publisher=[[NASA]] |location=Washington, D.C. |accessdate=2008-07-20}}</ref>。
第一次世界大戦中、抽出方法は低温によるガスの液化法からそれほど改良されなかったが、生産は続けられた。当初は飛行船などの揚力ガス[[:en:lifting gas|(en)]]需要が中心だったが、[[第二次世界大戦]]中にはそれに加え[[アーク溶接]]用の需要が拡大した。ヘリウム質量分析計[[:en:helium mass spectrometer|(en)]]も[[原子爆弾]]を製造する[[マンハッタン計画]]で用いられた<ref>{{cite book|chapter=Leak Detection|author=Hilleret, N.|publisher=[[CERN]]|title=CERN Accelerator School, vacuum technology: proceedings: Scanticon Conference Centre, Snekersten, Denmark, 28 May – 3 June 1999 |editor=S. Turner |location=Geneva, Switzerland|url=http://doc.cern.ch/yellowrep/1999/99-05/p203.pdf |format=PDF| year=1999 |pages=203–212 |quote=At the origin of the helium leak detection method was the Manhattan Project and the unprecedented leak-tightness requirements needed by the uranium enrichment plants. The required sensitivity needed for the leak checking led to the choice of a mass spectrometer designed by Dr. A.O.C. Nier tuned on the helium mass.}}</ref>。
 
第一次世界大戦中、抽出方法は低温によるガスの液化法からそれほど改良されなかったが、生産は続けられた。当初は飛行船などの{{仮リンク|揚力ガス[[:|en:|lifting gas|(en)]]}}需要が中心だったが、[[第二次世界大戦]]中にはそれに加え[[アーク溶接]]用の需要が拡大した。{{仮リンク|ヘリウム質量分析計[[:|en:|helium mass spectrometer|(en)]]}}も[[原子爆弾]]を製造する[[マンハッタン計画]]で用いられた<ref>{{cite book|chapter=Leak Detection|author=Hilleret, N.|publisher=[[CERN]]|title=CERN Accelerator School, vacuum technology: proceedings: Scanticon Conference Centre, Snekersten, Denmark, 28 May – 3 June 1999 |editor=S. Turner |location=Geneva, Switzerland|url=http://doc.cern.ch/yellowrep/1999/99-05/p203.pdf |format=PDF| year=1999 |pages=203–212 |quote=At the origin of the helium leak detection method was the Manhattan Project and the unprecedented leak-tightness requirements needed by the uranium enrichment plants. The required sensitivity needed for the leak checking led to the choice of a mass spectrometer designed by Dr. A.O.C. Nier tuned on the helium mass.}}</ref>。
[[File:Helium monument time capsule in amarillo texas usa.jpg|thumb|200px|[[:en:Don_Harrington_Discovery_Center#Helium Centennial Time Columns Monument|ヘリウムモニュメント]]。1968年、ヘリウム発見100周年を記念してテキサス州アマリロに造られた。]]
[[1925年]]、[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]で[[アメリカ合衆国連邦政府]]は「[[:en:National Helium Reserve|ヘリウム国家備蓄]]」を開始した。これは、民間の商用や戦時の軍用目的の飛行船へ供給体制を備えることを目的とした「連邦によるヘリウムの[[国家戦略]]的[[備蓄]]」である<ref name=enc/>。アメリカ軍は[[ドイツ]]へのヘリウム輸出を制限したが、これが水素を用いざるをえなくなった[[LZ 129 (飛行船)|ヒンデンブルク号]]の[[ヒンデンブルク号爆発事故|爆発事故]]の遠因となった。大戦後にヘリウム需要は縮小したが、[[1950年代]]に入ると、[[宇宙開発競争]]や[[冷戦]]を背景とした[[ロケットエンジンの推進剤]]用などへ酸素や水素の冷却用として、ヘリウムの用途は広がった。[[1965年]]、アメリカのヘリウム消費量は戦時中の最大量の8倍にもなった<ref>{{cite journal| author = Williamson, John G.| title = Energy for Kansas| journal = Transactions of the Kansas Academy of Science| volume = 71| issue = 4| pages = 432–438| publisher = Kansas Academy of Science|year =1968| url = http://www.jstor.org/pss/3627447| accessdate = 2008-07-27}}</ref>。「ヘリウム条例1960修正条項」(Public Law 86–777)発布後、アメリカ合衆国鉱山局([[:en:United States Bureau of Mines|USBM]])は、[[カンザス州]]ブシュトン市[[:en:Bushton, Kansas|(en)]]にある複数の民間所有ガス精製工場から天然ガス中のヘリウム回収を始め、これを延長684kmのパイプラインで[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]近郊のクリフサイドにある国家備蓄基地へ集約した<ref name="Russia" />。これらのヘリウム-窒素混合ガスはクリフサイド周辺のガス田に再注入され、純度向上と貯蔵を両立させた<ref>{{cite journal|journal = Federal Register|date = 2005-10-06|volume = 70|issue = 193|pages = 58464|url = http://edocket.access.gpo.gov/2005/pdf/05-20084.pdf|format=PDF| title = Conservation Helium Sale |accessdate=2008-07-20}}</ref>。
 
[[Fileファイル:Helium monument time capsule in amarillo texas usa.jpg|thumb|200px|[[:en:Don_Harrington_Discovery_Center#Helium Centennial Time Columns Monument|ヘリウムモニュメント]]。1968年、ヘリウム発見100周年を記念してテキサス州アマリロに造られた。]]
[[1995年]]段階で、アメリカのヘリウム備蓄量は10億m<sup>3</sup><ref name="Russia" />(14億ドル相当)に達し、翌年に[[アメリカ合衆国議会|議会]]は貯蔵増の停止と<ref name="stwertka">Stwertka, Albert (1998). ''Guide to the Elements: Revised Edition''. New York; Oxford University Press, p. 24. ISBN 0-19-512708-0</ref>、「ヘリウム民営化条例1996」(Public Law 104–273)を採決して、[[2005年]]までに備蓄ヘリウムをすべて販売することを[[アメリカ合衆国内務省|内務省]]に命じた<ref name="Russia" /><ref>{{cite web| url = http://www.nap.edu/openbook/0309070384/html/index.html|title = Executive Summary |publisher = nap.edu |accessdate=2008-07-20}}</ref>。ただし、備蓄分の売り切りは[[2015年]]と予想される<ref name="Russia" />。
[[1925年]]、[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]で[[アメリカ合衆国連邦政府]]は「[[:en:National Helium Reserve{{仮リンク|ヘリウム国家備蓄]]|en|National Helium Reserve}}」を開始した。これは、民間の商用や戦時の軍用目的の飛行船へ供給体制を備えることを目的とした「連邦によるヘリウムの[[国家戦略]]的[[備蓄]]」である<ref name=enc/>。アメリカ軍は[[ドイツ]]へのヘリウム輸出を制限したが、これが水素を用いざるをえなくなった[[LZ 129 (飛行船)|ヒンデンブルク号]]の[[ヒンデンブルク号爆発事故|爆発事故]]の遠因となった。大戦後にヘリウム需要は縮小したが、[[1950年代]]に入ると、[[宇宙開発競争]]や[[冷戦]]を背景とした[[ロケットエンジンの推進剤]]用などへ酸素や水素の冷却用として、ヘリウムの用途は広がった。[[1965年]]、アメリカのヘリウム消費量は戦時中の最大量の8倍にもなった<ref>{{cite journal| author = Williamson, John G.| title = Energy for Kansas| journal = Transactions of the Kansas Academy of Science| volume = 71| issue = 4| pages = 432–438| publisher = Kansas Academy of Science|year =1968| url = http://www.jstor.org/pss/3627447| accessdate = 2008-07-27}}</ref>。「ヘリウム条例1960修正条項」(Public (Public Law 86–777)86–777) 発布後、{{仮リンク|アメリカ合衆国鉱山局([[:|en:|United States Bureau of Mines|}} (USBM]])) は、[[カンザス州]]{{仮リンク|ブシュトン市[[:|en:|Bushton, Kansas|(en)]]}}にある複数の民間所有ガス精製工場から天然ガス中のヘリウム回収を始め、これを延長684km 684 km のパイプラインで[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]近郊のクリフサイドにある国家備蓄基地へ集約した<ref name="Russia" />。これらのヘリウム-窒素混合ガスはクリフサイド周辺のガス田に再注入され、純度向上と貯蔵を両立させた<ref>{{cite journal|journal = Federal Register|date = 2005-10-06|volume = 70|issue = 193|pages = 58464|url = http://edocket.access.gpo.gov/2005/pdf/05-20084.pdf|format=PDF| title = Conservation Helium Sale |accessdate=2008-07-20}}</ref>。
 
[[1995年]]段階で、アメリカのヘリウム備蓄量は 10億 m<sup>3</sup><ref name="Russia" />(14億ドル相当)に達し、翌年に[[アメリカ合衆国議会|議会]]は貯蔵増の停止と<ref name="stwertka">Stwertka, Albert (1998). ''Guide to the Elements: Revised Edition''. New York; Oxford University Press, p. 24. ISBN 0-19-512708-0</ref>、「ヘリウム民営化条例1996」(Public Law 104–273) を採決して、[[2005年]]までに備蓄ヘリウムをすべて販売することを[[アメリカ合衆国内務省|内務省]]に命じた<ref name="Russia" /><ref>{{cite web| url = http://www.nap.edu/openbook/0309070384/html/index.html|title = Executive Summary |publisher = nap.edu |accessdate=2008-07-20}}</ref>。ただし、備蓄分の売り切りは[[2015年]]と予想される<ref name="Russia" />。
[[1930年]]から[[1945年]]にかけて生産され、飛行船に使われたヘリウムの純度は98.3%であった。1945年には純度99.9%ヘリウムが溶接用に少々製造された。[[1949年]]までにヘリウムはグレードA(99.95%)まで商用生産が実現した<ref>{{cite book|publisher=Bureau of Mines / Minerals yearbook 1949|year=1951|author=Mullins, P.V.; Goodling, R. M.| title = Helium|pages = 599–602 |url = http://digicoll.library.wisc.edu/cgi-bin/EcoNatRes/EcoNatRes-idx?type=div&did=ECONATRES.MINYB1949.PVMULLINS&isize=text|accessdate=2008-07-20}}</ref>。
 
[[1930年]]から[[1945年]]にかけて生産され、飛行船に使われたヘリウムの純度は 98.3 % であった。1945年には純度 99.9 % ヘリウムが溶接用に少々製造された。[[1949年]]までにヘリウムはグレードA(99A (99.95 %) まで商用生産が実現した<ref>{{cite book|publisher=Bureau of Mines / Minerals yearbook 1949|year=1951|author=Mullins, P.V.; Goodling, R. M.| title = Helium|pages = 599–602 |url = http://digicoll.library.wisc.edu/cgi-bin/EcoNatRes/EcoNatRes-idx?type=div&did=ECONATRES.MINYB1949.PVMULLINS&isize=text|accessdate=2008-07-20}}</ref>。
[[File:Schachtzeichen Flaschenreihe01.jpg|thumb|工業用ヘリウムの需要は急増している。]]
 
長い間、アメリカは全世界の商用ヘリウム生産量90%以上を担って来た。その他には[[カナダ]]、[[ポーランド]]、[[ロシア]]等でも生産された。[[1990年代]]中頃、[[アルジェリア]]のアルゼウ[[:en:Arzew|(en)]]にて、全ヨーロッパの需要量を賄う1,700万m<sup>3</sup>の新工場が稼動を開始した。[[2000年]]までにアメリカのヘリウム総需要は年間1500万kgまで増加したが<ref>{{cite web|url=http://minerals.usgs.gov/ds/2005/140/helium-use.pdf|format=PDF| title= Helium End User Statistic|publisher = U.S. Geological Survey|accessdate=2008-07-20}}</ref>、[[2004年]]から[[2006年]]にかけて[[カタール]]のラス・ラファンとアルジェリアのスキクダ[[:en:Skikda|(en)]]でそれぞれ新工場の建設が行われた。[[2007年]]段階で、ラス・ラファンは稼動率50%、スキクダは未稼働の状態にある。しかし、アルジェリアはスキクダでの生産が始まれば、世界2位の供給国となる<ref name="wwsupply">{{cite journal
[[Fileファイル:Schachtzeichen Flaschenreihe01.jpg|thumb|工業用ヘリウムの需要は急増している。]]
長い間、アメリカは全世界の商用ヘリウム生産量 90 % 以上を担ってた。その他には[[カナダ]]、[[ポーランド]]、[[ロシア]]等でも生産された。[[1990年代]]中頃、[[アルジェリア]]の{{仮リンク|アルゼウ[[:en:Arzew|(en)]]|Arzew}}にて、全ヨーロッパの需要量を賄う 1,700万 m<sup>3</sup> の新工場が稼動を開始した。[[2000年]]までにアメリカのヘリウム総需要は年間 1500万 kg まで増加したが<ref>{{cite web|url=http://minerals.usgs.gov/ds/2005/140/helium-use.pdf|format=PDF| title= Helium End User Statistic|publisher = U.S. Geological Survey|accessdate=2008-07-20}}</ref>、[[2004年]]から[[2006年]]にかけて[[カタール]]のラス・ラファンとアルジェリアの{{仮リンク|スキクダ[[:en:Skikda|(en)]]|Skikda}}でそれぞれ新工場の建設が行われた。[[2007年]]段階で、ラス・ラファンは稼動率 50 %、スキクダは未稼働の状態にある。しかし、アルジェリアはスキクダでの生産が始まれば、世界2位の供給国となる<ref name="wwsupply">{{cite journal
|title=Challenges to the Worldwide Supply of Helium in the Next Decade |author=Smith, E.M.; Goodwin, T.W.; Schillinger, J. |journal=Advances in Cryogenic Engineering |volume=49 A |issue=710 |pages=119–138
|year=2003 |doi=10.1063/1.1774674 |format=PDF |accessdate=2008-07-20 |url=https://www.airproducts.com/NR/rdonlyres/E44F8293-1CEE-4D80-86EA-F9815927BE7E/0/ChallengestoHeliumSupply111003.pdf
[[2013年]]12月、[[カタール]]のRasGasが世界最大級の年産3,680万立方メートルの生産設備を稼動させた<ref>{{Cite web|date=2013-12-11 |url=http://www.rasgas.com/media/press_he2inauguration.html|title=Qatar’s Helium 2 Plant Officially Inaugurated|publisher=RasGas|accessdate=2014-11-12}}</ref>。
 
日本は全量を輸入に頼っているが、[[財務省]]の貿易統計では近年の日本の輸入量は年間2,000トン前後。2012年、2013年にはアメリカの生産減で品不足となったが、これを補うために[[カタール]]ほかからの輸入が増えている。2013年は全輸入量1,902トン中、米国からが1,747トン (シェア 91.8 %)、カタールからが121トン(6 (6.4 %)、その他からが34トン(2 (2.8 %) であったが、2014年に入りカタールのシェアが急増している<ref>化学工業日報社、「ヘリウム輸入米国品のシェア低下」『化学工業日報』2014年11月12日p1、東京、化学工業日報社。</ref>。
 
== 同位体 ==
{{mainMain|ヘリウムの同位体}}
天然に存在するヘリウムの[[同位体]]には、[[陽子]]2つと[[中性子]]1つからなる[[ヘリウム3]]と、陽子2つと中性子2つからなる[[ヘリウム4]]の2種類がある。ヘリウム3は、地球の大気中においてはヘリウム4に対して100万分の1の量しか存在しないため<ref>Emsley, John. ''Nature's Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements''. Oxford: Oxford University Press, 2001. Page 178. ISBN 0-19-850340-7</ref>、原子炉で生成されたものが利用される。原子炉内で[[リチウム6]]に中性子を照射すると[[三重水素]]とヘリウム4ができ、この三重水素が[[ベータ崩壊]](半減期12.5年)してヘリウム3となる。そのほか、人工的に作られた同位体としては、ヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などがある。
ほとんどのヘリウム原子の[[原子核]]は 2つの[[陽子]]と2つの[[中性子]]からなり、周りを2つの[[電子]]が回って構成される(ヘリウム4)。[[同位体]]にヘリウム3(陽子 2、[[中性子]] 1、電子 2)がある。
 
ヘリウムの同位体を用いた地球化学的な応用は大きく分けて2つある。まず、ヘリウム3を[[トレーサー]]として用い、地球物質の循環を探ることる。もうひとつは岩石中に天然に存在する放射性同位体である[[ウラン]]や[[トリウム]]の放射壊変([[アルファ崩壊]]に伴って放出されるヘリウム4の蓄積量から、その岩石の生成年代を求めることができる(U, Th/He [[放射年代測定]])である
ヘリウム3は、天然には非常に僅かしか存在しないので、原子炉で生成したものが利用される。原子炉内で、[[リチウム]]6に中性子を当てると、[[三重水素]]とヘリウム4ができ、この三重水素が[[ベータ崩壊]]して(半減期12.5年)、ヘリウム3となる。
 
そのほか、人工的に作られた同位体としては、ヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などがある。
 
ヘリウムの同位体を用いた地球化学的な応用は大きく分けて2つある。まず、ヘリウム3を[[トレーサー]]とした地球物質の循環を探ることができる。もうひとつは岩石中に天然に存在する放射性同位体であるウランや[[トリウム]]の放射壊変([[アルファ崩壊]])に伴って放出されるヘリウム4の蓄積量から、その岩石の生成年代を求めることができる(U, Th/He [[放射年代測定]])。
 
== 脚注 ==
== 外部リンク ==
* [http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0603c.html 国際化学物質安全性カード ヘリウム] - [[国立医薬品食品衛生研究所]]
 
 
{{元素周期表}}
 
{{DEFAULTSORT:へりうむ}}
 
[[Category:ヘリウム|*]]
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