「万有引力定数」の版間の差分

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{{物理定数
|名称= 万有引力定数
|画像= [[File:NewtonsLawOfUniversalGravitation.svg|270px]]</br>[[万有引力]]の法則における万有引力定数 ''G''
|記号= {{mvar|G}}
|値= {{val|6.67408|(31)|e=-11|u=m{{sup|3}} kg{{sup-|1}} s{{sup-|2}}}} <ref name="CODATA"/>
|不確かさ= 4.7{{e-|5}}
|定義= 重力相互作用の大きさを表す定数
}}
'''万有引力定数'''(ばんゆういんりょくていすう)あるいは'''(ニュートンの)重力定数'''(じゅうりょくていすう、{{lang-en-short|(Newtonian) constant of gravitation}})とは、[[重力相互作用]]の大きさを表す[[物理定数]]である。[[アイザック・ニュートン]]の[[万有引力]]の法則において導入された。記号は一般に {{mvar|G}} で表される。
 
ニュートンの万有引力理論において、[[質量]]がそれぞれ {{math|''m''{{sub|1}}}}、{{math|''m''{{sub|2}}}} の[[質量]]を持つ2つの物体が、[[距離]] {{mvar|r}} だけ離れて存在しているとき、これらの間に働く万有引力 {{mvar|F{{sub|g}}}} は
{{Indent|<math>F_g=G \frac{m_1m_2}{r^2}</math>}}
となる。このときの比例係数 {{mvar|G}} が万有引力定数である。[[国際単位系|SI]]に基づいて、質量 {{math|''m''{{sub|1}}}}、{{math|''m''{{sub|2}}}} に[[キログラム]](kg)、長さ {{mvar|r}} に[[メートル]](m)、力 {{mvar|F{{sub|g}}}} に[[ニュートン]](N、これは {{nowrap|1=kg m s{{sup-|2}}}} に等しい)を用いれば、万有引力定数 {{mvar|G}} の単位は {{nowrap|1=m{{sup|3}} kg{{sup-|1}} s{{sup-|2}}}} となる。
 
[[アルベルト・アインシュタイン|アインシュタイン]]の[[一般相対性理論]]においてはニュートンの重力理論に対する修正拡張が為される。一般相対性理論の基礎方程式である[[アインシュタイン方程式]]においても比例係数としてこの重力定数が現れる。
 
== 値 ==
万有引力定数の2014年[[科学技術データ委員会|CODATA]]推奨値は
{{Indent|{{Math|''G'' {{=}} {{Val|6.67408|(31)|e=-11|u=m{{sup|3}} kg{{sup-|1}} s{{sup-|2}}}}}}}}
である<ref name="CODATA">[[#bg|CODATA Value]]</ref>。括弧内の数値は表された最後の桁を単位とした数値の[[不確かさ (測定)#表記|標準不確かさ]]を表す。上記の定数は質量 {{Val|1|u=kg}} の2つの質点が {{Val|1|u=m}} 離れた時の[[引力]]を単位[[ニュートン]](N) (N) で表した値と等しく、非常に小さい値である。たとえばそれぞれの重心が互いに {{Val|1|u=m}} 離れた1トン (={{Val|1000|u=kg}}) の物体が引き合う力は約 {{Val|6.7|u=N|e=-5}} であり、地球上で おおよそ {{Val|6.8|uul=mg}} の質量の物体に働く重力に等しい。
 
また、万有引力定数を[[プランク定数]]と[[真空]]の[[光速]]で換算した量は
{{Indent|{{Math|{{Sfrac|''G''/|''ħc''}} {{=}}{{Val|6.70861|(31)|e=-39|u=({{Frac|GeV/|''c''{{sup|2}}}}){{sup-|2}}}}}}}}
である<ref>[[#bgspu|CODATA Value]]</ref>。
 
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=== その他の値 ===
[[国際測地学協会]]では1999年に万有引力定数の値として {{Math|{{mvar|G}} {{=}} {{val|6.67259|(30)|e=-11|u=m{{sup|3}} s{{sup-|2}} kg{{sup-|1}}}}}} を用いることを定めている<ref>[[#rika|『理科年表2009』]]</ref>。[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]でもこの値を採用している<ref name="NASA">[[#nasa|"Astrodynamic Constants"]]</ref>。
 
2007年には原子干渉計を用いた測定による万有引力定数として、{{Math|{{mvar|G}} {{=}} {{val|6.693|(21)|e=-11|u=m{{sup|3}} s{{sup-|2}} kg{{sup-|1}}}}}} というそれまでの測定結果とは著しく異なった値が[[サイエンス]]に報告された<ref name="Fixler">[[#fixler|Fixler, Foster, McGuirk, and Kasevich]]</ref>。
 
== 天体の質量との積 ==
万有引力定数の測定精度が低いのに対し、{{mvar|G}} に[[太陽質量]] {{math|''M''{{sub|S}}}} を乗じた'''{{仮リンク|日心重力定数|en|Standard gravitational parameter}}'''や、[[地球質量]] {{math|''M''{{sub|E}}}} を乗じた'''地心重力定数'''は精度よく計測されている。 これらの値は各々、
{{Indent|{{Math|''GM''{{Sub|S}} {{=}} {{Val|1.32712442099|(100)|e=20|u=m{{sup|3}} s{{sup-|2}}}}}}}}
}}{{Indent|{{Math|''GM''{{sub|E}} {{=}} {{Val|3.986004418|(8)|e=14|u=m{{sup|3}} s{{sup-|2}}}}}}}}
である<ref name="IAU2009">[[#asa|"Selected Astronomical Constants"]] ただし値は時刻系の違いに依存し、示された値は[[時刻系#惑星運動の計算に用いられる時刻系|太陽系座標時]]('''TCB'''、[[:en:Barycentric Coordinate Time|Barycentric Coordinate Time]])を用いて表されたものである。</ref>。
 
従って、地球質量の精度は万有引力定数の測定精度に依存し、CODATA 2006による地球質量は {{math|''M''{{sub|E}}}} {{=}} {{val|5.9722|(6)|e=24|u=kg}}}} と計算され<ref name="IAU2009" />、国際測地学協会の協定値では {{math|''M''{{sub|E}}}} {{=}} {{val|5.9737|(3)|e=24|u=kg}}}} と計算される。NASAでは {{math|''M''{{sub|E}} {{=}} = {{val|5.9736|e=24|u=kg}}}} としている<ref name="NASA Earth">[[#earth|"Earth Fact Sheet"]]</ref>。
 
== 一般相対性理論とアインシュタインの重力定数 ==
[[アルベルト・アインシュタイン]]の[[一般相対性理論]]においては、[[重力場]]を記述する[[アインシュタイン方程式]]の中に万有引力定数 {{mvar|G}} が現れる。アインシュタイン方程式は
{{Indent|<math>G_{\mu\nu}+\Lambda g_{\mu\nu}=\frac{8\pi G}{c^4}T_{\mu\nu}</math>}}
と表される。左辺の {{mvar|G{{sub|&mu;&nu;}}}} は時空の曲率を表した[[アインシュタインテンソル|アインシュタイン・テンソル]]と呼ばれる[[テンソル]]であり、{{Math|&Lambda;}} は「[[宇宙定数]]」と呼ばれる[[定数]]で、{{Mvar|g{{sub|&mu;&nu;}}}} は時空の[[計量テンソル]]と呼ばれるテンソルである。また、右辺の {{mvar|T{{sub|&mu;&nu;}}}} は物質分布を示す[[エネルギー・運動量テンソル]]である。り、右辺の係数をまとめた {{math|1=''&kappa;'' {{=}} {{Sfrac|8&pi;''G''/|''c''{{sup|4}}}}}} は、[[アインシュタインの定数|アインシュタインの重力定数]]と呼ばれることもある。
 
なお、左辺の {{mvar|G{{sub|&mu;&nu;}}}} は、[[リッチテンソル]] {{Mvar|R{{sub|&mu;&nu;}}}} と[[スカラー曲率]] {{Mvar|R}} 及び時空の[[計量テンソル]] {{Mvar|g{{sub|&mu;&nu;}}}} を用いると {{math|''G{{Sub|&mu;&nu;}}'' {{=}} ''R{{Sub|&mu;&nu;}}'' - {{Sfrac|1|2}}''Rg{{Sub|&mu;&nu;}}''}} とも表わされる。
 
== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
; 出典
{{Reflist}}