「レッサーパンダ」の版間の差分

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|画像=[[ファイル:Stavenn Ailurus fulgens 00.jpg|250px|レッサーパンダ]]
|画像キャプション = '''レッサーパンダ''' ''Ailurus fulgens''
|status = VUEN
|status_ref = <ref name="cites">[https://cites.org/eng/app/appendices.php Appendices I, II and III]<https://cites.org/eng>(accessed OctMarch 68, 2015)2016)
</ref><ref name="iucn">Wang, X., ChoudhuryGlatston, A., YonzonWei, PF., Wozencraft,Than C.Zaw & ThanSherpa, ZawA. 20082015. ''Ailurus fulgens''. The IUCN Red List of Threatened Species 20082015: e.T714A13069919T714A45195924. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.20082015-4.RLTS.T714A13069919T714A45195924.en . Downloaded on 0608 OctoberMarch 20152016.
</ref>
|status_text = [[絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約|ワシントン条約]]附属書I
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|小目 = <!-- [[イタチ様小目]] 同上 --> [[w:Mustelida|Mustelida]]
|上科 = [[イタチ上科]] [[w:Musteroidea|Musteroidea]]
|科 = [[レッサーパンダ科]]<br />[[w:Ailuridae|Ailuridae]] [[ジョン・エドワード・グレイ|Gray]], [[1843年|1843]]<ref name="wozencraft">W. Christopher Wozencraft, "[http://www.departments.bucknell.edu/biology/resources/msw3/browse.asp?id=14000872 Ailuridae]". ''Mammal Species of the World'', (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, p. 628.</ref>
|属 = '''レッサーパンダ属'''<br />''Ailurus'' [[フレデリック・キュヴィエ|F. Cuvier]], [[1825年|1825]]<ref name="wozencraft"/>
|種 = '''レッサーパンダ''' ''A. fulgens''
|学名 = ''Ailurus fulgens'' F. Cuvier, 1825<ref name="wozencraft"/><ref name="nakazato">中里竜二 「パンダ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、[[1991年]]、67-68頁。</ref>
|和名 = レッサーパンダ<ref name="fn1">[[今泉吉典]]監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、[[平凡社]]、[[1986年]]、120-121頁。</ref><ref name="obara">[[小原秀雄]] 「レッサーパンダ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、[[講談社]]、[[2000年]]、24-25
、145頁。</ref><ref name="russel">James K. Russel 「その他のアライグマ科」渡辺弘之訳『動物大百科 1 食肉類』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、[[平凡社]]、[[1986年]]、120-121頁。</ref><ref name="sato_wolsan">佐藤淳、Wolsan Mieczyslaw 「[http://doi.org/10.11238/mammalianscience.52.23 レッサーパンダ(''Ailurus fulgens'')の進化的由来]」『哺乳類科学』第52巻 1号、日本哺乳類学会、2012年、23-40頁</ref>
|英名 = [[w:Red_panda|Lesser panda<br />Red panda]]<ref name="iucn"/><ref name="nakazato"/><ref name="obara"/><ref name="sato_wolsan"/>
|生息図=[[ファイル:Leefgebied kleine panda.JPG|250px|分布域]]
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== 分布 ==
[[インド]]北東部、[[中華人民共和国]]([[四川省]]西部)、[[ネパール]]、[[ブータン]]、[[ミャンマー]]北部<ref name="iucn"/>。ラオスでの報告例はあるが、確実性に乏しいとされる<ref name="iucn"/>。[[甘粛省]]、[[貴州省]]、[[青海省]]、[[陝西省]]では絶滅したと考えられている<ref name="iucn"/>。
 
== 形態 ==
[[体長]]50 - 63.5センチメートル<ref name="obara"/>。尾長28 - 48.5センチメートル<ref name="obara"/>。[[体重]]3 - 6キログラム<ref name="obara"/>。全身は長く柔らかい体毛で被われ、足裏も体毛で被われる<ref name="nakazato"/><ref name="obara"/>。背面は赤褐色で、腹面や四肢・耳介外側は黒い<ref name="nakazato"/><ref name="fn1obara"/><ref name="obararussel"/>。鼻面や唇、頬、耳介の外縁は白い<ref name="nakazato"/><ref name="obara"/>。尾には淡褐色の帯模様が入る<ref name="nakazato"/>。
 
耳介はやや大型で三角形<ref name="nakazato"/><ref name="obara"/>。指趾の数は5本<ref name="nakazato"/>。爪はやや引っ込めることができる<ref name="nakazato"/><ref name="obara"/>。前肢の[[種子骨]]が指状の突起に変化し、指と向かい合っているため物をつかむことができる<ref name="nakazato"/>。肛門の周辺に臭腺(肛門腺)がある<ref name="nakazato"/><ref name="obara"/>。
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== 生態 ==
標高1,500 - 4,800メートルにある温帯・亜熱帯の[[森林]]や竹林に生息する<ref name="iucn"/>。インドのMeghalaya高原では標高700 - 1,400メートル(200メートルでの報告例もあり)の亜熱帯・熱帯の森林にも生息する<ref name="iucn"/>。樹上棲と考えられている<ref name="obara"/>。[[夜行性]]もしくは[[薄明薄暮性]]で昼間は休むが<ref name="nakazato"/>、夏季には昼間も活動する<ref name="obara"/>。縄張りを形成して生活すると考えられ、オスは臭腺による臭い付けや一定の場所に排便することで縄張りを主張する<ref name="fn1russel"/>。
 
食性は[[雑食]]で、タケやタケノコを食べるが小型哺乳類、[[鳥類]]の卵、[[昆虫]]、動物の死骸、[[果実]]、[[地衣類]]なども食べる<ref name="iucn"/><ref name="fn1obara"/><ref name="obararussel"/>。
 
繁殖形態は胎生。妊娠期間は90 - 150日だが、受精卵の着床が遅滞する期間が含まれる<ref name="nakazato"/><ref name="obara"/>。樹洞や岩の隙間などで1回に1 - 4頭(主に2頭)の幼獣を産む<ref name="fn1nakazato"/><ref name="nakazatoobara"/><ref name="obararussel"/>。授乳期間は5か月<ref name="fn1obara"/><ref name="obararussel"/>。18 - 20か月で性成熟する<ref name="fn1obara"/><ref name="obararussel"/>。寿命は8 - 10年<ref name="nakazato"/>。飼育下の寿命は17年6か月の例がある<ref name="obara"/>。
 
== 人間との関係 ==
宅地開発や農地開発・薪採集のため森林伐採・単一種の植林・焼畑・放牧などによる生息地の破壊、毛皮・ペット目的の密猟や狩猟による混獲などにより生息数は減少している<ref name="iucn"/>。生息地に侵入した犬からの犬ジステンパーへの感染死も懸念されている<ref name="iucn"/>。中華人民共和国での[[1994年]]における生息数は2,500頭、ネパールでの1994年における生息数は300頭、ミャンマーでは1994年には確認されていない、[[シッキム州]]での[[1999年]]における生息数は2,500頭以上と推定されている<ref name="obara"/>。
 
日本では[[1976年]]に[[釧路市動物園]]で飼育下繁殖例がある<ref>板山聖子・志村良治 「レッサーパンダ科の誕生」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、182-185頁。</ref>。1999年の時点で全世界の動物園で約800頭が飼育され、日本ではそのうち約200頭が動物園など約50園で飼育されている<ref>[http://www.city.sabae.fukui.jp/users/zoo/animals/lesser/history.html 鯖江市西山動物園ホームページ/レッサーパンダの歴史]</ref>。日本の[[動物園]]で飼育されているほとんどはシセンレッサーパンダである<ref>{{cite web |url=http://jdb.jaza.jp/Animal/zukan_bunrui.php?dbcode=10033200 |title=動物園と水族館電子図鑑 |accessdate=2013-8-20}}</ref>。
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{{出典の明記|section=1|date=2012年3月}}
[[ファイル:小熊猫圖.png|サムネイル|1915年が初版の字書『中華大字典』には「熊猫」の語が収録]]
初めはレッサーパンダは単に「[[パンダ]]」と呼ばれていたが、後に[[ジャイアントパンダ]]が発見されて有名になると、単に「パンダ」といった場合はジャイアントパンダの方を指すようになってしまった。このため、従来のパンダの方には「小さい方の」という意味の英語「レッサー」([[wikt:en:lesser|lesser]])を付けて、レッサーパンダと呼ぶようになった<ref>{{cite web|url=http://www.yomiuri.co.jp/otona/study/animal/110622.htm|title=「ボクが元祖!!」レッサーパンダ : 動物たちのヒミツ箱 : 初めてのこだわり : 新おとな総研|publisher=YOMIURI ONLINE(読売新聞)|date=2011-6-22|accessdate=2013-8-11}}{{リンク切れ|date=2016年3月}}</ref>。いわゆる[[レトロニム]]の例である。
現在は、レッサーは蔑称の意味があるので、英語ではなるべくレッドパンダを使うようにする動きがある。
 
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もともと各地の動物園で人気者になりつつあったレッサーパンダだが、[[2005年]]5月、[[千葉市動物公園]]で飼育されているオスの「風太」(ふうた、報道などでは君付けされ風太くんと称される)が、30秒程度の間、後ろ足二本で直立する、と内外のマスコミで取り上げられ、話題となった。レッサーパンダは元来、周囲の様子をうかがうときに直立することがある。このニュースが話題になると、風太の祖父や母までも直立することがわかった。また、[[よこはま動物園ズーラシア]]の「デール」や[[佐世保市亜熱帯動植物園]]の「海」のように、二足で数歩歩く個体もいる。
 
これを機に、各地の動物園で、後ろ足で立つレッサーパンダが取り上げられ、「風太」が[[日本たばこ産業|JT]]の[[コマーシャルメッセージ|CM]]に起用されるなど、あまりにも話題が過熱してしまったため、[[旭川市旭山動物園|旭山動物園]]([[北海道]][[旭川市]])や[[世界自然保護基金]]などから、商用目的でレッサーパンダへ過剰な負担をかけることへの疑問や懸念が表明されている<ref>{{cite web|url=http://www.47news.jp/CN/200506/CN2005060801002796.html|title=過剰な負担かけないで レッサーパンダでWWF|piblisher=[[47NEWS]]|date=2005-6-8|accessdate=2013-11-21}}{{リンク切れ|date=2016年3月}}</ref>。また、ブームの発端となった千葉市動物公園では、ラジオ番組の電話インタビューにおいて、「当初地方紙のみの記事であったはずが、いきなり全国的に取り上げられたため、その過熱ぶりに困惑気味であった」と語っている。二足で歩くズーラシアのデールについてもバッシングがあったが、その内容は「無理やり芸を仕込んでいる」という誤解に基づくものであった。
 
基本的に、二本足で直立という状態は、レッサーパンダにとっては頻繁に行う形態ではないにもかかわらず、ブーム下においては、直立したレッサーパンダの縫いぐるみなどのグッズが多数商品化され、[[ハピネット]]の『動物大百科』のソフビ人形は直立形態を前提に造形され、[[エポック社]]からは『レッサーパンダが立ちました』という名のフィギュア([[カプセルトイ]])が商品化された。