「遅延記憶装置」の版間の差分

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変わったエピソードとしては、[[モーリス・ウィルクス]]によれば、水銀より安い媒体を1947年に検討していた際、[[アラン・チューリング]]が[[ジン (蒸留酒)|ジン]]を提案した、というものがある。アルコールと水が、室温において温度係数がゼロになる割合で含まれているから、だという<ref>『ACMチューリング賞講演集』 p. 235 。なお、『ウィルクス自伝』p. 169 によれば、精製された水銀ではなく商業用品質のものを使用したところ、タンク毎に音速が違うという問題が出た、とあり、媒体はそうなんでも良いというわけではない。同書 p. 176 にはおそらくこのチューリングの提案を指して「彼の能力の範囲外」という言葉があるので、独創的というよりは奇案に属するようである。</ref>。遅延記憶装置において、温度変化により動作速度がズレることは問題であり、恒温槽を必要とした、といった話があるが、[[FUJIC]]では逆転の発想で、水銀遅延線を動作させるクロックの速度を温度に合わて調節する(計算機本体との同期は、記憶装置側をマスタークロックとする)ことにより解決している<ref>『日本のコンピュータの歴史』(1985) p. 69</ref>。
 
波の伝搬といったような物理現象を利用しているわけではないが、使い方としては[[シフトレジスタ]]も少し似ている。また近年の研究としては、NHK放送技術研究所による「微小磁区記録デバイス」<ref>https://www.nhk.or.jp/strl/vision/r6/r6-2-1.htm</ref>は、磁性細線中を移動する磁区を利用するもので、遅延記憶装置に似ている。
 
== 注 ==