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[[Image:Connected and disconnected spaces.svg|thumb|200px|平面上の連結集合と非連結集合の例:
上側の ''A'' は連結、下の飛び飛びになっている集合 ''B'' は非連結。]]
[[位相幾何学]]や関連する[[数学]]の分野において、'''連結空間'''(れんけつくうかん、
位相空間 ''X'' の部分集合が'''連結'''であるとは、''X'' の[[相対位相]]によってそれ自身を位相空間と見たときに連結であることをいう。
* 境界を持たない部分集合は空集合と全体集合 ''X'' のほかに無い。▼
連結でない空間の例は、平面から直線を取り除いたものがある。非連結空間(すなわち連結でない空間)の他の例には、平面から[[アニュラス]]を取り除いたものや、2つの交わりを持たない閉[[円板]]の和集合がある。ただし、これら3つの例はいずれも、2次元ユークリッド空間から誘導される相対位相を考えている。
位相空間 ''X'' の部分集合は、[[位相空間|相対位相]]によって連結空間となるとき連結部分集合であるという。必ずしも連結でない位相空間 ''X'' の連結部分集合で包含関係に関して極大なものを、''X'' の'''連結成分'''(れんけつせいぶん、<em lang="en">connected component</em>)と呼ぶ。紛れのおそれの無いときはこれを単に'''成分''' <span lang="en">(component)</span> とも呼ぶ。明らかなことであるが、ある連結成分が ''X'' 全体に一致するとき、''X'' は連結である。▼
==
[[位相空間]] ''X'' が'''非連結'''(ひれんけつ、{{en|disconnected}})あるいは'''不連結'''であるとは、2つの[[素集合|交わりを持たない]][[空集合|空]]でない[[開集合]]の[[和集合]]([[非交和]])でないことをいう。そうでないとき、''X'' は'''連結''' (connected) であるという{{sfn|Bourbaki|2007|loc=TG I.80, {{textsc|D\'{e}finition 1}}}}。位相空間の[[部分集合]]が連結であるとは、相対位相で連結であることをいう。この記事では空集合(位相は一意である)は連結であるが、著者によっては空集合を連結空間から除外することもある{{sfn|斎藤|2009|p=141|loc=定義 6.2.1.1}}。
位相空間 ''X'' に対し、以下の条件は同値である:
#''X'' は連結である。
#''X'' を2つの互いに素な空でない[[閉集合]]の和として書くことはできない。
#''X'' の[[開かつ閉]]な部分集合は ''X'' と空集合のみである。
#''X'' を2つの空でない分離集合(どちらも他方の閉包と交わりを持たない集合)の和として書くことは出来ない。
#''X'' から {0, 1} への任意の連続写像は定値写像である、ただし {0, 1} は離散位相を入れた二点空間。
===連結成分===
▲空でない位相空間
任意の位相空間 ''X'' の連結成分たちは ''X'' を[[集合の分割|分割する]]、すなわち、[[素集合|互いに素]]で、空でなく、合併が全空間となる。同じことだが、''X'' の点が同じ連結成分に属するという関係は、''X'' 上の[[同値関係]]を定めるということもできる。任意の成分はもとの空間の[[閉部分集合]]である。したがって、成分の個数が有限であれば、各成分は開でもある。しかしながら、その個数が無限であれば、成分が開とは限らない。例えば、[[有理数]]全体の集合の連結成分は一点集合であるが、これは開でない。
<math>\Gamma_x</math> を位相空間 ''X'' の点 ''x'' の連結成分とし、<math>\Gamma_x'</math> を ''x'' を含むすべての開かつ閉集合の交わりとする(''x'' の[[局所連結空間|quasi-component]]と呼ばれる)。すると <math>\Gamma_x \subset \Gamma'_x</math> であり、等号は ''X'' がコンパクトハウスドルフあるいは局所連結であれば成り立つ。
===全不連結空間===
位相空間 ''X'' の連結成分がすべて一点からなる集合であるとき、''X'' は'''全不連結'''または'''[[完全不連結]]'''(かんぜんふれんけつ、<em lang="en">totally disconnected</em>)であるという。このような位相空間の例として、[[有理数]]全体の成す集合 '''Q''' に絶対値に関する距離位相を入れたものや、[[p進数|''p''-進数体]]あるいはその上の[[線型代数群]]などを挙げることができる。これに関連して、位相空間 ''X'' に相異なる二点が与えられたとき常に、交わりを持たないようにそれぞれの点の開近傍を選び出して ''X'' を覆うことができるならば、''X'' は'''全分離'''あるいは'''完全分離'''(かんぜんぶんり、<em lang="en">totally separated</em>)的であるという。完全分離空間は完全不連結であるが逆は正しくない。実際、有理数体 '''Q''' の二つのコピーを 0 以外の点で(同じ数は同じ数同士で)貼合わせて得られる集合
:<math>(A \sqcup B)/\sim \quad(A=B=\mathbb{Q})</math>
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一方、実[[数直線]] '''R''' の部分集合では連結であることと弧状連結であることとが同値であり、そのようなものは '''R''' の[[区間 (数学)|区間]]に限られる。''n'' 次元数空間 '''R'''<sup>''n''</sup>, '''C'''<sup>''n''</sup> に対しても、連結な開部分集合が常に弧状連結となることがいえる。あるいは、有限集合に位相を入れて考えるときにも、連結性と弧状連結性は同値になる。
==弧連結==
さらに強く、弧状連結空間がその任意の相異なる二点を結ぶ道 ''f'' として常に'''弧''' <span lang="en">(arc)</span>、つまり単位区間 [0, 1] と像 ''f''([0, 1]) との間の[[同相写像]]を選ぶことができるとき、'''弧連結''' <span lang="en">(arc-connected)</span> であるという。弧状連結なハウスドルフ空間は常に弧連結空間である。弧状連結だが弧連結でない空間の例を、負でない実数全体の成す集合 [0, ∞) に第二の 0 として 0′ を加えることによって作ることができる。具体的に、通常の大小関係に加えて、''a'' が正の数ならば 0' < ''a'' であるとし、0 と 0' は比較不能であるとして[[順序集合|半順序]]を与える。このとき順序位相、つまり開区間 (''a'', ''b'') = {''x'' | ''a'' < ''x'' < ''b''}、半開区間 [0, ''a'') = {''x'' | 0 ≤ ''x'' < ''a''} および [0′, ''a'') = {''x'' | 0′ ≤ ''x'' < ''a''} を開基とする位相を入れて得られる位相空間は、[[分離公理|T<sub>1</sub>]]-空間になるがハウスドルフ空間ではない。そして、0 と 0′ は道で結ぶことができるが弧で結ぶことができないのである。
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* 局所連結空間の開集合は局所連結であり、局所弧状連結空間の開集合もまた局所弧状連結である。
* 多様体は全て局所弧状連結である。
== より強い連結性 ==
位相空間の連結性のより強い形がある。例えば
* 位相空間 ''X'' に2つの交わりを持たない空でない開集合が存在しないとき、''X'' は連結でなければならず、したがって{{仮リンク|超連結空間|en|hyperconnected space}}は連結である。
* [[単連結空間]]は定義により弧状連結であるから、任意の単連結空間は連結でもある。しかしながら、単連結性の定義から「弧状連結性」の仮定を落とすと、連結になるとは限らないことに注意。
*さらに強い連結性の概念に、[[可縮空間]]がある。任意の可縮空間は弧状連結だから連結でもある。
一般に、任意の弧状連結空間は連結であるが、弧状連結でない連結空間が存在することに注意しよう。[[:en:Comb space|deleted comb space]] はそのような例であり、また上に述べた[[位相幾何学者の正弦曲線]]もそうである。
== 関連項目 ==
* [[一様連結空間]]
* {{仮リンク|n連結|label=''n'' 連結|en|n-connected}}
* [[局所連結空間]]
* [[単連結]]
* [[連結グラフ]]
==脚注==
{{reflist}}
==参考文献==
{{参照方法|date=2016年3月}}
{{refbegin}}
*[[クゼ・コスニオフスキ]]著、[[加藤十吉]]訳編 『トポロジー入門』 [[東京大学出版会]]、1983年。
* {{Cite book
| 和書
| last1 = 斎藤
| first1 = 毅
| year = 2009
| title = 集合と位相
| series = 大学数学の入門8
| publisher = 東京大学出版会
| isbn = 978-4-13-062958-4
| ref = harv
}}
*{{cite book|last=Bourbaki|first=N.|authorlink=ブルバキ|title=Éléments de mathématique: Topologie générale, Chapitres 1 à 4|publisher=Springer|year=2007|isbn=978-3-540-33936-6|ref=harv}}
* {{cite book | author= Munkres, James R. | authorlink=James Munkres | title=Topology, Second Edition | publisher=Prentice Hall | year=2000 | isbn=0-13-181629-2}}
*{{MathWorld|urlname=ConnectedSet|title=Connected Set}}
*{{Springer|urlname=Connected_space|author=V. I. Malykhin}}
*{{Cite journal|url=http://www.math.shimane-u.ac.jp/memoir/39/D.Buhagiar.pdf|last1=Muscat|first1=J|last2=Buhagiar|first2=D|title=Connective Spaces|journal=Mem. Fac. Sci. Eng. Shimane Univ., Series B: Math. Sc.|volume=39|year=2006|pages=1–13|ref=harv|postscript=<!--None-->}}.
{{refend}}
{{DEFAULTSORT:れんけつくうかん}}
[[Category:位相的構造]]
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