「アリル化合物」の版間の差分

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[[Image:Allyl.png|thumb|right|アリル基の構造]]
'''アリル化合物'''(-かごうぶつ、allyl compound)とは、2-プロペニル (2-propenyl) 構造 {{Chem|-CH<sub>|2</sub>|3=CH=CH<sub>|4=2</sub>}} を持つ化合物の総称である。2-プロペニル基は'''アリル基''' (allyl group) とも呼ばれ、[[IUPAC命名法]]では[[慣用名]]とされる。
 
命名法では、2-プロペニル骨格を持つ置換基にアリル基という呼称は使用できるが、{{疑問点範囲|さらに置換法命名で誘導した置換基名としては使用できない。すなわち、2-メチルアリル- というような命名法は禁則である(2-メチル-2-プロペニル- とすべきである)|date=2015年5月30日 (土) 04:23 (UTC)|talksection=命名法に関する記述について}}。
 
なお、日本語表記においては ''r'' と ''l'' を区別できないことから、芳香族基を示す aryl group は本記事のアリル基と区別するため「アリール基」と字訳することになっているので、注意が必要である。
 
「アリル」の語源は[[ユリ科]][[ネギ属]]の属名 ''{{Snamei|Allium''}} に由来する。[[ネギ]]、[[タマネギ]]、[[ラッキョウ]]、[[ニンニク]]など、ネギ属の[[植物]]には[[硫化アリル]]をはじめとする、アリル基を有する[[有機硫黄]][[化合物]]が多く含まれている。
 
アリル化合物、特に1位に電子求引性や電子供与性の原子あるいは基を持つアリル化合物は反応性に富み、種々の反応や重合反応に利用される。
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=== 反応 ===
[[ファイル:Allylic_resonance.png|230px|thumb|上からアリルカチオン、アリルアニオン、アリルラジカル]]
アリル基が遊離した[[カルボカチオン]]、[[カルボアニオン]]、[[ラジカル (化学)|ラジカル]]は、いずれも共鳴により安定化される。そのため、アリル位に脱離基を持つ化合物は S<sub>N</sub>1' 反応([[求核置換反応#アリル転位|アリル転位]]のひとつ)など、アリル基の中で二重結合の位置がシフトする転位反応を起こす。[[ファイル:Allylic SN1 rearrangement.svg|444px|SN1'反応]]
[[ファイル:Allylic SN1 rearrangement.svg|444px|SN1'反応]]
 
[[ウォール・チーグラー反応]]において臭素が選択的にアリル位に導入されるのは、中間体のアリルラジカルが安定なためである。[[ファイル:NBS Allylic Bromination Scheme.png|408px|ウォール・チーグラー反応]]
[[ファイル:NBS Allylic Bromination Scheme.png|408px|ウォール・チーグラー反応]]
 
アリル基はアルコールやアミンの保護基として用いられる。パラジウム触媒などで脱保護される。