「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」の版間の差分

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'''宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟'''(うちゅうせんかんヤマトにいいちきゅうきゅう ほしめぐるはこぶね)は、[[2014年]][[12月6日]]より公開された『[[宇宙戦艦ヤマトシリーズ]]』の[[アニメ映画]]。
 
キャッチコピーは「これを観ないと、2199は完結しない」<ref>[http://yamato2199.net/about/story_a.html ストーリー|宇宙戦艦ヤマト2199]、2014年12月23日閲覧</ref>。
 
== 概要 ==
テレビシリーズ『[[宇宙戦艦ヤマト2199]]』の総集編『[[宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海]]』と並び、『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』40周年記念作品の1つ<ref name="40周年">[http://www.lisani.jp/news/id83427 『宇宙戦艦ヤマト』40周年プロジェクト発進!新作劇場映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』と特別総集編との、2作連続公開が決定!]、リスアニ!WEB、2014年4月23日</ref>。
 
第1作『[[宇宙戦艦ヤマト]]』のリメイクであるテレビシリーズとは異なり、旧ヤマトシリーズ作品をベースとしない完全新作映画である。内容は『宇宙戦艦ヤマト2199』のサイドストーリーであり、時間軸的にはイスカンダルからの帰路における大マゼラン外縁部到達時の話(第24話と第25話の間の話)となっており<ref name="出渕コメント">[http://yamatocrew.jp/crew/info/150508 宇宙戦艦ヤマト2199 出渕裕総監督より新着コメントが到着!!]、YAMATO CREW、2015年5月8日</ref>、新たなる敵[[白色彗星帝国#宇宙戦艦ヤマト2199|帝星ガトランティス]]との戦いや、謎の惑星における異星人との相互理解を描いている
 
プロローグは時系列上におけるテレビシリーズの第3話冒頭から始まり、ヤマトの旅立ちを地球側視点で描いている。その後、OPで第3話から第24話までのダイジェストが流され、本編に入る。OPのダイジェストはテレビシリーズの大筋を機軸に、本作の要素に関係する事物を重点的に取り上げている。なお、本作はテレビシリーズのサイドストーリーだが、OP映像には『追憶の航海』の追加カットも含まれている。
 
新たなる敵として[[白色彗星帝国]]のリメイクとなる'''帝星ガトランティス'''が登場するが、本作で相対するのはその中の一軍隊であり、ガトランティス本国自体は未登場となっている。舞台も様相こそ移り変わるもののほぼ1つの惑星を中心にしており、長大な旅模様を描いてきたこれまでの作品とは一線を画している。これは、1本の映画という尺に収めるという制約上、テレビシリーズと同じような全体にわたった戦略的なストーリーでは個々のエピソードが些末になってしまいやすいことから、逆にその個々のエピソードに焦点を置き、スケールを小さく抑えた戦術的なストーリーにすることにより深く掘り下げていく手法をとったためである<ref name="マイナビ20141207(2)">[http://news.mynavi.jp/articles/2014/12/07/yamato2199/001.html 出渕裕総監督が語る"波動砲封印"とSFドラマの主眼「相互理解を描きたかった」-『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 (2) SF的な種明かしもありつつ、主題は"相互理解"をきちんと描くこと]、マイナビニュース、2014年12月7日</ref>。そのため、本作はあくまでも「航海の中で起こった1つの物語」という枠からはみ出さないものとなっている。
 
本作では「世代継承」や「異民族との共闘・相互理解」がテーマとして盛り込まれている<ref name="ニュースラウンジ2015410">[http://newslounge.net/archives/167037 出渕裕総監督ヤマト2199「星巡る方舟」Blu-ray&DVDは「気がつかないところまでこだわっていくのが我々の仕事」]、News Lounge(ニュースラウンジ)、2015年4月10日</ref><ref>[http://animeanime.jp/article/2015/04/11/22814.html 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」Blu-ray版上映会 出渕裕総監督、中村繪里子らが想いを語る]、アニメ!アニメ!、2015年4月11日</ref><ref name="出渕コメント"/>。また、本作は総集編を除けばヤマトシリーズで初めて[[波動砲]]を使用しない作品でもある<ref>総集編を含めると、『[[宇宙戦艦ヤマトIII#総集編|宇宙戦艦ヤマトIII 太陽系の破滅]]』が存在する。</ref>。このことについて総監督の出渕は、枷がないと波動砲がただの便利アイテムに成り下がってしまうためとしている<ref name="マイナビ20141207(2)"/>。
 
== ストーリー ==
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:; [[戦闘空母#ニルバレス|ニルバレス]]
:: 緑色塗装の艦。第8警務艦隊所属艦。火焔直撃砲で消滅する。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; [[宇宙戦艦ヤマトシリーズの航空機・宇宙艇#空間重爆撃機DBG88 ガルント|空間重爆撃機DBG88 ガルント]]
: 七色星団海戦に投入された大型機。被弾して雲海に墜落したところをランベアに救出されていたが、登場からまもなく宇宙に放り出され喪失する。
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:; グリアデ
:: ヤマトを追って突出したため、火焔直撃砲により焼失する。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; [[駆逐艦 (宇宙戦艦ヤマト)#宇宙戦艦ヤマト2199|ククルカン級襲撃型駆逐艦]]
: テレビシリーズでのククルカン級宇宙駆逐艦。全長190m。
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:; [[空間騎兵隊#宇宙戦艦ヤマト2199|空間騎兵第7連隊]]
:: プロローグに登場。[[地球防衛軍 (宇宙戦艦ヤマト)#『宇宙戦艦ヤマト2199』における防衛軍|国連宇宙軍]]・宇宙海兵隊の下部組織「空間騎兵隊」の中の一連隊。月面に駐屯していたが、ガミラス機動部隊(テレビシリーズ第1話・第2話でヤマトを襲撃してきた部隊<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3』P260。</ref>)の攻撃により壊滅し、隊員は斉藤以下5名のみ生還した。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; [[ガミラス帝国#宇宙戦艦ヤマト2199|大ガミラス帝星]]
: テレビシリーズでの主敵だった国家。[[デスラー#宇宙戦艦ヤマト2199|デスラー]]政権崩壊後、[[イスカンダル (宇宙戦艦ヤマト)#『宇宙戦艦ヤマト2199』での設定|イスカンダル]]の仲介により暫定的ながらもヤマトと和平を結んでおり、全軍へヤマトへの攻撃禁止命令を出している。しかし、政権崩壊の混乱から徹底はされていない。
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:: 本作にメインで登場するガミラスの一勢力。指揮官はネレディア・リッケ大佐。ゲルバデス級2隻をはじめとする計12隻の小規模艦隊。
:: ヤマトへの攻撃禁止命令を伝えるため、単独航行を続けるランベアを停船させるが、その後ランベアもろとも静謐の星へと迷い込む。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; [[白色彗星帝国#宇宙戦艦ヤマト2199|帝星ガトランティス]]
: 本作での主敵。ガミラスと敵対関係にある国家。大帝を頂点とした戦闘民族国家であり、異文明の技術を吸収しながら国力を増大させている。テレビシリーズでは第11話や第21話などにゲスト出演していた
:; グタバ遠征軍
:: 本作にメインで登場するガトランティスの一勢力。指揮官はゴラン・ダガーム。なお、「グタバ」はガトランティス語で「小マゼラン」を表す言葉であり、グタバ遠征軍はテレビシリーズで[[ドメル#宇宙戦艦ヤマト2199|ドメル]]と交戦した部隊である。
:: 大帝から静謐の星にあると伝えられる遮蔽技術の奪取の任を受け、大マゼラン銀河までやってくる。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; ジレル
: 精神感応能力を持つ者が多く存在する種族。その力を恐れた他種族に滅ぼされたが、偶然巡礼に出ていたために難を逃れた人々がいたことが本作で明かされた。
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:; メデューラ
:: カッパドギアに生息する宇宙生物。イカかクラゲのような外見の生物で、接触した艦船などからエネルギーを吸収する特性を持つ。カッパドギアで戦闘中のヤマトとガトランティス艦に取り付いてエネルギーを吸収し始め、ヤマトがワープに踏み切る原因となった。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; 惑星シャンブロウ
: ヤマトが迷い込んだ薄鈍色の異空間にただ1つ存在する星。ガトランティスからは「静謐の星」と呼ばれる。
: 表面は液体だが、その内部は2層構造となっており、液体の下にも空洞がある。その空洞内は、神話の世界のような情景で、地球のアマゾンに酷似したジャングルを持つ。劇中では桐生の記憶から作られていると推測されている。
: その正体は、古代アケーリアス文明の遺跡にしてジレル人の聖地である恒星間播種船「シャンブロウ」であり、本作のサブタイトルとなっている「星巡る方舟」である。薄鈍色の異空間自体が巨大な宇宙船の内部であり、惑星はその一部に過ぎない。長きにわたり眠りについていたが、古代、バーガー、レーレライの3人が手を携えることで目覚め、真の姿を現した。
: {{独自研究範囲|date=2015年10月|なお、シャンブロウは[[C・L・ムーア]]の[[ノースウェスト・スミス]]シリーズの短編『[[シャンブロウ]]』に由来すると考えられる。ハヤカワ文庫版ノースウェスト・スミス・シリーズは、[[松本零士]]が挿絵を提供しており、旧シリーズのスタッフであった松本へのオマージュと思われる。}}
:; 大和ホテル
:: シャンブロウのジャングル内にあった戦艦大和の内部に存在するホテル。レーレライが桐生から読み取った記憶を基に現出させたもの<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3』P266。</ref>。ガミラス人には屋内の装飾はガミラス風の様式に見える。
:: なお、ジャングル内に横たわる船というアイデアは、[[ヴェルナー・ヘルツォーク]]のアドベンチャー映画『{{仮リンク|フィッツカラルド|en|Fitzcarraldo}}』の1シーンがヒントになっている<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』BD・DVDブックレットP21。</ref>。当初は大和ではなく[[タイタニック号]]などにするつもりだった<ref name="オーコメ"/>が、チーフメカニカルディレクターの[[西井正典]]のアイデアにより大和になった<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』BD・DVDブックレットP02。</ref>。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
 
== キャスト ==
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* [[スターシャ|スターシャ・イスカンダル]] - [[井上喜久子]]
 
== の経緯 ==
=== 企画スタッフ ===
第五章を制作していた頃に製作委員会から総集編の話が出たが、出渕は全26話のエピソードを1本の総集編にまとめるのは難しいという懸念があり、その代わりに今までの作品で描かれておらず、なおかつ既存の設定や3DCGモデルも流用できるイスカンダルからの帰路のエピソードを新規で作ることを打診し、新作映画として製作が決定した<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P24。</ref>。なお、その後に総集編はこれとは別に改めて製作が決定し、『追憶の航海』として公開されることとなった<ref name="方舟パンフP22"/>。
 
第六章の頃には製作が決まっていたため、第20話では劇場版へと繋がる余地のある設定や描写<ref>第20話で初登場した桐生美影やガルントおよびランベアの最期の描写など。</ref>が入れられた<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P24、25。</ref>。ストーリーに関しては、当初は生き残りのオルタリア人がヤマトに保護を求めてくる話や、『[[宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち]]』に登場する[[自動惑星ゴルバ]]をモチーフにした生命体が登場する話などの案もあったが、テレビシリーズで既出であることや模型展開の容易さ等という製作側の都合から、ガトランティスを主敵に据えた話となった<ref name="方舟パンフP23"/>。
 
=== 制作 ===
脚本は出渕が担当。絵コンテは8人体制で描かれており、それぞれの得意パートに分担して行われた<ref name="方舟パンフP23"/>。各人の思い入れの強さのため、絵コンテは元のシナリオから内容が尺に収まりきらないほど膨らんでいき、その分チーフディレクターの[[別所誠人]]が第三者視点で不必要な部分を容赦なくカットしていくという状態となった<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/150422-2 宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 Blu-ray ver. 特別上映&舞台挨拶公式レポート]、YAMATO CREW、2015年4月22日</ref><ref>[http://www.cinematoday.jp/page/N0072279 人気声優・中村繪里子、ガチのヤマトファンであることを実感!]、シネマトゥデイ、2015年4月10日</ref>。絵コンテを基に作られるアフレコ台本を見た際に桐生役の中村は「ぶ厚いと感じた」と述べている<ref name="ニュースラウンジ2015410"/>。なお、テレビシリーズに[[オープニングアニメーション]]の絵コンテでしか参加できなかった[[庵野秀明]]が、本作には原画として2カットのみ参加しており、インターネット上ではどこを担当したのかを推測されていたが、出渕曰く「全部外れていた」とのこと<ref name="ニュースラウンジ2015410"/><ref>庵野の担当カットについては、BD・DVD収録のオーディオコメンタリーで示されている。</ref>。
 
ヤマトシリーズ40周年記念作品という都合から、何としても2014年内に公開しなければならなかった<ref>[http://news.mynavi.jp/articles/2014/12/07/yamato2199/ 出渕裕総監督が語る"波動砲封印"とSFドラマの主眼「相互理解を描きたかった」-『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 (1) "力"というプリミティブな意味で人間的な『2199』のガトランティス]、マイナビニュース、2014年12月7日</ref>が、制作日程はかなり逼迫していた模様で、アフレコ段階では画も完成しておらず、プロデューサーの郡司幹雄は社内で「諦めなよ」などと言われたこともあったと述べている<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2014/12/14/110/ 小野大輔「ヤマトの旅は終わっていない」『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』]、マイナビニュース、2014年12月14日</ref>。2014年12月の公開時の舞台挨拶も、出渕をはじめとする主要制作スタッフは登壇する余裕がなく、実際に公開された本編も作画未修正のままのシーンが散見され、BD/DVDにおいて大幅なリテイクが施された<ref name="ヤマトクルー150313">[http://yamatocrew.jp/crew/info/150313/ 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」本編Blu-ray ver. 特別上映&舞台挨拶 東京と関西で開催決定!!]、YAMATO CREW、2015年3月13日</ref><ref name="ヤマトクルー150319">[http://yamatocrew.jp/crew/info/150319 「宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集- Vol.3&シナリオ集」発売日変更のお知らせとお詫び]、YAMATO CREW、2015年3月19日</ref><ref name="ニュースラウンジ2015410"/><ref name="マイナビ20150411">[http://news.mynavi.jp/news/2015/04/11/160/ 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』BDで庵野秀明氏が担当したカットも明らかに!?]、マイナビニュース、2015年4月11日</ref>。
 
==== 没シーン ====
上記の通り絵コンテの内容が膨らんだ影響もあり、尺や製作期間の都合でカットされたシーンが存在している。冒頭の[[宇宙戦艦ヤマト2199の登場人物#バシブ・バンデベル|バンデベル]]艦隊の戦闘シーンや前半のデスバテーター隊の奇襲にヤマトが対抗するシーンなどにも、もっと多くのカットが存在したが、制作が間に合わないため細かい描写のカットは極力省かれている<ref name="オーコメ"/>。それ以外にも丸ごとカットされたシーンもあり、『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3&脚本集』で確認できる。以下はカットされた主なシーン。
; イスカンダル星とガミラス星のシーン<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-脚本集』P266、267。</ref>
: スターシャが[[ヒス]]と通信し、地球との暫定協定について会話する。その後、ガミラス本星の現況が描かれ、[[タラン#ガデル・タラン|ガデル・タラン]]が音信不通の艦隊へヤマト攻撃禁止命令を伝達するため、警務艦隊を派遣させる。
: これらは小説版ではカットされずに描かれている。また、前者のシーンは後述の[[#ピクチャードラマ|ピクチャードラマ]]の案の1つとして挙げられたが、企画コンセプトに合致しないため没となった<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3』P284。</ref>。
; 序盤の桐生の語りシーン<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-脚本集』P267。</ref>
: 本編では航空隊の様子のみが無声で流されているが、シナリオ段階ではそれ以外にも艦内各所の現況が描かれていた。この一連のシーンは早い段階で絵コンテが上がっていたため、作画に入った後にカットされた<ref name="オーコメ"/>。なお、シナリオ段階では南部が波動砲封印に対し懸念を示すシーンも桐生の語りに含まれていた。
:; 岩田と遠山の将棋シーン
:: 劣勢の岩田が「[[未確認飛行物体|UFO]]がいる」という時代錯誤な方法で遠山の視線をそらして不正を働こうとし、榎本にツッコまれる。
:; 島が太田のカメラを没収するシーン
:: 太田が航海科女子に盗撮まがいの行為を働こうとし、島にカメラを取り上げられる。本編で島が使用したカメラは、このシーンで没収された太田の私物である<ref name="オーコメ"/>。
:: 上記の通り、作画段階に入った後でカットされたため、劇場公開前にネット上で公開された新作場面カットにはこのシーンのカットが存在していた(島と[[宇宙戦艦ヤマト2199の登場人物#大島夏樹|大島夏樹]]ともう1人の航海科女子クルーが映っているカット)<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2014/12/01/089/ 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』新作場面カット&入場者プレゼント公開]、マイナビニュース、2014年12月1日</ref><ref name="オーコメ"/><ref name="inなんば">「『星巡る方舟』本編Blu-ray ver.特別上映会&舞台挨拶inなんば」での監督・出渕の発言</ref>。
:; 相原と[[宇宙戦艦ヤマト2199の登場人物#佐野史彦|佐野]]が遠距離超空間通信のシステム開発を思案するシーン
:: 本編ではカットされたが、公式サイトや劇場パンフレットでの相原のキャラ解説で触れられている<ref>[http://yamato2199.net/about/modal/chara4.html 相原義一|宇宙戦艦ヤマト2199]、2015年5月28日閲覧</ref><ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』劇場パンフレットP08。</ref>。後にテレビシリーズ最終話の超空間リレーへと繋がる。
:; 平田の茶道シーン
:: 左舷展望室で茶会が開かれ、平田がクルーに茶を点てている。『全記録集・脚本集』のシナリオ決定稿には記載されていないが、『全記録集Vol.3』で「幻の茶道シーン」として設定画と絵コンテが掲載されている<ref name="全記録集3-282、283">『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3』P282、283。</ref>。設定監修は[[表千家]]の名取りでもあるむらかわが行っており、当人曰く「宇宙一正確なアニメでの茶道シーン」再現のため、作法や道具などに関して非常に詳細かつ丁寧な設定画が作成されていた<ref name="全記録集3-282、283"/>。
:: 本編で古代と玲が会話するシーンで映ったエレベーターホールのモニターの映像の紅葉と桜のうち紅葉のシーンは、本来このシーンでの展望室のモニターの映像だった(ヤマトの地球帰還時は秋である)<ref name="オーコメ"/><ref name="inなんば"/>。
 
=== 公開 ===
12月6日に公開。当日[[新宿ピカデリー]]で舞台挨拶が行われたが、上記の通り主要制作スタッフは登壇せず、プロデューサーと声優のみ登壇した。
 
公開の2、3日前である12月3日、4日には、バンダイチャンネルにおいて、有料会員と無料会員を対象とした各日先着4000名まで(どちらか1日のみ)の無料オンライン試写が行われた<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/141121-2 バンダイチャンネルにて「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」インターネット先行上映会開催決定!]、YAMATO CREW、2014年11月21日</ref>。また、同日には本編の冒頭9分間の映像も公開された<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/141203 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」冒頭映像9分公開!!]、YAMATO CREW、2014年12月3日</ref>。
 
=== BD / DVD版での修正 ===
上記の通り、BD・DVDにおいて大幅な作画のリテイクが行われた<ref name="ヤマトクルー150313"/><ref name="ニュースラウンジ2015410"/><ref name="マイナビ20150411"/>。修正カット数は600カット程度まで上り、全体の3分の1以上に至ったという<ref>[http://hobby.dengeki.com/news/73037/ 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVD発売前夜マトーク開催]、[[電撃ホビーマガジン|電撃ホビーウェブ]]、2015年5月29日</ref>。アニメスタッフがリテイク作業に追われるため、後述の[[#ピクチャードラマ|ピクチャードラマ]]を[[むらかわみちお]]が担当した<ref name="むらかわブログ2015411">[http://murakawamichio.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-21d7.html ピクチャードラマなるものは: 楽只堂]、2015年4月11日</ref>結果、[[宇宙戦艦ヤマト2199#むらかわみちお版|コミカライズ]]の連載が1回分中断することにもなった<ref>[http://murakawamichio.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-36df.html 今月は更新ないのです。: 楽只堂]、2015年3月24日</ref>。
 
また、エピローグにおいて、ヤマトとの交信(テレビシリーズ最終話での交信<ref name="出渕コメント"/>)が回復する直前に藤堂が語るヤマト発進後の経過日数に誤り<ref>「ヤマトが旅立って324日、人類滅亡まで41日」と語っているが、交信時より後の地球帰還日である12月8日から逆算したとしても、ヤマト発進以前のメ号作戦が行われていた1月17日(『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.1』P012より)となり、矛盾が生じる。</ref>があったが、総監督の出渕は「ちょうど藤堂役の[[小川真司]]の訃報があり、修正できなかった」と語っている<ref name="オーコメ"/>。
 
2015年[[4月10日]]、[[4月11日]]には、BD・DVDの完成を祝して、新宿ピカデリー・[[なんばパークス]]・[[MOVIX京都]]の三劇場でBD版の特別上映と主要制作スタッフが登壇する舞台挨拶が行われた<ref name="ヤマトクルー150313"/>。
 
== スタッフ ==
* 原作 - 西﨑義展
* 総監督・脚本 - 出渕裕
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* 製作 - [[製作委員会方式|宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会]]
 
=== 音楽企画 ===
本作の発端は、テレビシリーズの先行上映版第五章(2013年4月公開)を制作していた頃に製作委員会から発案された総集編である。出渕は全26話のエピソードを1本の総集編にまとめるのは難しいという懸念があったため、総集編の代わりに今までの作品で描かれておらず、なおかつ既存の設定や3DCGモデルも流用できるイスカンダルからの帰路のエピソードを新規で作ることを打診し、新作映画として製作が決定した<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P24。</ref>。なお、その後に総集編はこれとは別に改めて製作が決定し、『追憶の航海』として公開されることとなった<ref name="方舟パンフP22"/>。
 
第六章(2013年6月公開)を制作している頃には本作の製作が決まっていたため、第20話では本作へと繋がる余地のある設定や描写<ref>第20話で初登場した桐生美影や、ガルントおよびランベアの最期の描写など。</ref>が入れられた<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P24、25。</ref>。ストーリーに関しては、当初は生き残りのオルタリア人がヤマトに保護を求めてくる話や、『[[宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち]]』に登場する[[自動惑星ゴルバ]]をモチーフにした生命体が登場する話などの案もあったが、テレビシリーズで既出であることや模型展開の容易さ等という製作側の都合から、ガトランティスを主敵に据えた話となった<ref name="方舟パンフP23"/>。
 
=== コンセプト・演出 ===
本作はサイドストーリーであるが、1本の映画として成立するよう意識して作られている。その一端として、プロローグとエピローグの挿入がある<ref name="出渕コメント"/>。プロローグはテレビシリーズにおける第3話冒頭部分にあたるヤマトの地球圏離脱を月面から目撃するエピソードとなっており、その後OPで第3話から第24話までのダイジェスト<ref>なお、本作は'''テレビシリーズ'''のサイドストーリーだが、OP映像には『追憶の航海』の追加カットも含まれている。</ref>が流され、本編に入る。エピローグではテレビシリーズでの最終話にあたる<ref name="出渕コメント"/>ヤマトとの通信回復の直前の司令部の様子が流される。これらのエピソードによってテレビシリーズとは異なる視点でのヤマトの旅立ちと帰還を描いている。また、意図的にストーリーのスケールを抑えているという点もある。これは1本の映画という尺に収めるという制約上、テレビシリーズと同じような戦略的な規模のストーリーでは個々のエピソードが些末になってしまいやすいことから、逆にその個々のエピソードに焦点を置いた戦術的なストーリーにすることにより深く掘り下げていく手法をとったためである<ref name="マイナビ20141207(2)">[http://news.mynavi.jp/articles/2014/12/07/yamato2199/001.html 出渕裕総監督が語る"波動砲封印"とSFドラマの主眼「相互理解を描きたかった」-『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 (2) SF的な種明かしもありつつ、主題は"相互理解"をきちんと描くこと]、マイナビニュース、2014年12月7日</ref>。そのため、本作はあくまでも「航海の中で起こった1つの物語」という枠からはみ出さないものとなっている。
 
本作では「世代継承」や「異民族との共闘・相互理解」がテーマとして盛り込まれている<ref name="ニュースラウンジ2015410">[http://newslounge.net/archives/167037 出渕裕総監督ヤマト2199「星巡る方舟」Blu-ray&DVDは「気がつかないところまでこだわっていくのが我々の仕事」]、News Lounge(ニュースラウンジ)、2015年4月10日</ref><ref>[http://animeanime.jp/article/2015/04/11/22814.html 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」Blu-ray版上映会 出渕裕総監督、中村繪里子らが想いを語る]、アニメ!アニメ!、2015年4月11日</ref><ref name="出渕コメント"/>。
 
また、本作は総集編を除けばヤマトシリーズで初めて[[波動砲]]を使用しない作品でもある<ref>総集編を含めると、『[[宇宙戦艦ヤマトIII#総集編|宇宙戦艦ヤマトIII 太陽系の破滅]]』が存在する。</ref>。このことについて総監督の出渕は、波動砲がただの便利アイテムになることによる武器の性能のインフレを避け、逆に波動砲封印という枷を演出として組み込む意図があったことを語っている<ref name="マイナビ20141207(2)"/>。
 
=== 脚本・絵コンテ・作画 ===
脚本は出渕が担当している。絵コンテは8人体制で描かれており、それぞれの得意パートに分担して行われた<ref name="方舟パンフP23"/>。各人の思い入れの強さのため、絵コンテは元のシナリオから内容が尺に収まりきらないほど膨らんでいき、その分チーフディレクターの[[別所誠人]]が第三者視点で不必要な部分を容赦なくカットしていくという状態となった<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/150422-2 宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 Blu-ray ver. 特別上映&舞台挨拶公式レポート]、YAMATO CREW、2015年4月22日</ref><ref>[http://www.cinematoday.jp/page/N0072279 人気声優・中村繪里子、ガチのヤマトファンであることを実感!]、シネマトゥデイ、2015年4月10日</ref>。絵コンテを基に作られるアフレコ台本を見た際に桐生役の中村は「ぶ厚いと感じた」と述べている<ref name="ニュースラウンジ2015410"/>。なお、テレビシリーズに[[オープニングアニメーション]]の絵コンテでしか参加できなかった[[庵野秀明]]が、本作には原画として2カットのみ参加しており、インターネット上ではどこを担当したのかを推測されていたが、出渕曰く「全部外れていた」とのこと<ref name="ニュースラウンジ2015410"/><ref>庵野の担当カットについては、BD・DVD収録のオーディオコメンタリーで示されている。</ref>。
 
=== 音楽 ===
テレビシリーズ同様、宮川彬良が作曲を担当。テレビシリーズ使用曲も含め、全曲が新録されている<ref name="BDサントラブックレット">「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 オリジナル・サウンドトラック 5.1chサラウンド・エディション」([[日本コロムビア]]、2015年)ブックレット。</ref>。本作用に作られた曲は約40曲で、内訳は完全新規BGMが2割、テレビシリーズのBGMの編曲が4割、テレビシリーズ未使用の旧シリーズBGMの編曲が4割程度となっている<ref name="方舟パンフP29">『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』劇場パンフレットP29。</ref>。
 
旧シリーズBGMの選曲は音響監督の吉田知弘が行っており<ref name="方舟パンフP29"/>、『[[さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち|さらば]]』『[[宇宙戦艦ヤマト2|ヤマト2]]』のものを中心としているが、1曲だけ『[[ヤマトよ永遠に|永遠に]]』から「新銀河誕生」が選曲されている。また、終盤で使用される「大決戦-ヤマト・ガミラス・ガトランティス-」は、『[[宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち|新たなる旅立ち]]』の「大戦争-ゴルバ・デスラー・ヤマト-」をイメージして吉田が宮川に注文した<ref name="ヤマトークM">『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』初回限定盤BD・特典DISC収録「たっぷりヤマトークナイト星巡る方舟ミュージック編」より。</ref>。
 
作曲方法の違いとして、テレビシリーズでのBGMは予め録音したものをシーンに合わせて調節して流していたが、本作では最初からシーンに合わせて作曲するフィルムスコアリングに近い形式を採用している<ref name="方舟パンフP29"/>。[[絵コンテ|コンテ]]撮を見ながら曲をイメージして作曲し、吉田たちと相談しながら音の伸びなどを調整して演奏・録音していった。なお、生演奏のため音のタイミングに若干のずれが生じてしまうが、そこは演奏の出来を優先して厳格にせずに映像側で微調整している<ref name="ヤマトークM"/>。そのため厳密にはフィルムスコアリングではない<ref>吉田の弁では、アニメの映像はアフレコ前、効果音をはめる前など複数回編集が行われるため、本来は最後の素材で作曲するのがベストだったが、製作期間の都合上不可能なので、絵コンテ段階で作曲してもらい、ずれは映像側で調整する手法となった(「たっぷりヤマトークナイト星巡る方舟ミュージック編」より)。</ref>が、宮川は「伸び伸びとしたフィルムスコアリング」と称している<ref name="ヤマトークM"/>。
 
音楽収録は、昨今パートごとに別撮りすることが多い中、珍しく全員が一堂に会して収録された<ref name="ヤマトークM"/><ref>[https://twitter.com/new_yamato_2199/status/545570308548091904 Twitter / new_yamato_2199: 劇伴の収録風景のお話、指揮は宮川さん40~50人ほど...]、2014年12月18日</ref><ref>[https://twitter.com/new_yamato_2199/status/545570815471652864 Twitter / new_yamato_2199: 音楽の担当ごとにバラバラに収録することが多いなか...]、2014年12月18日</ref>。また、劇中でガミラス兵が弾いているピアノは宮川彬良自身が演奏している<ref>『これを観ないと2199は完結しない!「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」大ヒット航海中SP』より。</ref>。なお、本作では[[シンセサイザー]]を一切使用していない<ref name="ヤマトークM"/><ref>[https://twitter.com/new_yamato_2199/status/545570377682788353 Twitter / new_yamato_2199: 宮川さん「今回の劇版は実はシンセサイザーは一切使って...]、2014年12月18日</ref>。
 
ちなみに、初収録は10月11日(『追憶の航海』公開日と同日)であり<ref name="BDサントラブックレット"/>、それ以前に制作されたPVでは旧シリーズのBGMが使用されている。
 
== 制作状況 ==
ヤマトシリーズ40周年記念作品という都合から、何としても2014年内に公開しなければならなかった<ref>[http://news.mynavi.jp/articles/2014/12/07/yamato2199/ 出渕裕総監督が語る"波動砲封印"とSFドラマの主眼「相互理解を描きたかった」-『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 (1) "力"というプリミティブな意味で人間的な『2199』のガトランティス]、マイナビニュース、2014年12月7日</ref>が、制作日程はかなり逼迫していた模様で、アフレコ段階では画も完成しておらず、プロデューサーの郡司幹雄は社内で「諦めなよ」などと言われたこともあったと述べている<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2014/12/14/110/ 小野大輔「ヤマトの旅は終わっていない」『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』]、マイナビニュース、2014年12月14日</ref>。2014年12月の公開時の舞台挨拶も、出渕をはじめとする主要制作スタッフは登壇する余裕がなく、実際に公開された本編も作画未修正のままのシーンが散見され、BD/DVDにおいて大幅なリテイクが施された<ref name="ヤマトクルー150313">[http://yamatocrew.jp/crew/info/150313/ 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」本編Blu-ray ver. 特別上映&舞台挨拶 東京と関西で開催決定!!]、YAMATO CREW、2015年3月13日</ref><ref name="ヤマトクルー150319">[http://yamatocrew.jp/crew/info/150319 「宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集- Vol.3&シナリオ集」発売日変更のお知らせとお詫び]、YAMATO CREW、2015年3月19日</ref><ref name="ニュースラウンジ2015410"/><ref name="マイナビ20150411">[http://news.mynavi.jp/news/2015/04/11/160/ 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』BDで庵野秀明氏が担当したカットも明らかに!?]、マイナビニュース、2015年4月11日</ref>。
 
=== 没シーン ===
上記の通り絵コンテの内容が膨らんだ影響もあり、尺や製作期間の都合でカットされたシーンが存在している。冒頭の[[宇宙戦艦ヤマト2199の登場人物#バシブ・バンデベル|バンデベル]]艦隊の戦闘シーンや前半のデスバテーター隊の奇襲にヤマトが対抗するシーンなどにも、もっと多くのカットが存在したが、制作が間に合わないため細かい描写のカットは極力省かれている<ref name="オーコメ"/>。それ以外にも丸ごとカットされたシーンもあり、『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3&脚本集』で確認できる。以下はカットされた主なシーン。
; イスカンダル星とガミラス星のシーン<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-脚本集』P266、267。</ref>
: スターシャが[[ヒス]]と通信し、地球との暫定協定について会話する。その後、ガミラス本星の現況が描かれ、[[タラン#ガデル・タラン|ガデル・タラン]]が音信不通の艦隊へヤマト攻撃禁止命令を伝達するため、警務艦隊を派遣させる。
: これらは小説版ではカットされずに描かれている。また、前者のシーンは後述の[[#ピクチャードラマ|ピクチャードラマ]]の案の1つとして挙げられたが、企画コンセプトに合致しないため没となった<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3』P284。</ref>。
; 序盤の桐生の語りシーン<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-脚本集』P267。</ref>
: 本編では航空隊の様子のみが無声で流されているが、シナリオ段階ではそれ以外にも艦内各所の現況が描かれていた。この一連のシーンは早い段階で絵コンテが上がっていたため、作画に入った後にカットされた<ref name="オーコメ"/>。なお、シナリオ段階では南部が波動砲封印に対し懸念を示すシーンも桐生の語りに含まれていた。
:; 岩田と遠山の将棋シーン
:: 劣勢の岩田が「[[未確認飛行物体|UFO]]がいる」という時代錯誤な方法で遠山の視線をそらして不正を働こうとし、榎本にツッコまれる。
:; 島が太田のカメラを没収するシーン
:: 太田が航海科女子に盗撮まがいの行為を働こうとし、島にカメラを取り上げられる。本編で島が使用したカメラは、このシーンで没収された太田の私物である<ref name="オーコメ"/>。
:: 上記の通り、作画段階に入った後でカットされたため、劇場公開前にネット上で公開された新作場面カットにはこのシーンのカットが存在していた(島と[[宇宙戦艦ヤマト2199の登場人物#大島夏樹|大島夏樹]]ともう1人の航海科女子クルーが映っているカット)<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2014/12/01/089/ 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』新作場面カット&入場者プレゼント公開]、マイナビニュース、2014年12月1日</ref><ref name="オーコメ"/><ref name="inなんば">「『星巡る方舟』本編Blu-ray ver.特別上映会&舞台挨拶inなんば」での監督・出渕の発言{{信頼性要検証|date=2016-02}}</ref>。
:; 相原と[[宇宙戦艦ヤマト2199の登場人物#佐野史彦|佐野]]が遠距離超空間通信のシステム開発を思案するシーン
:: 本編ではカットされたが、公式サイトや劇場パンフレットでの相原のキャラ解説で触れられている<ref>[http://yamato2199.net/about/modal/chara4.html 相原義一|宇宙戦艦ヤマト2199]、2015年5月28日閲覧</ref><ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』劇場パンフレットP08。</ref>。後にテレビシリーズ最終話の超空間リレーへと繋がる。
:; 平田の茶道シーン
:: 左舷展望室で茶会が開かれ、平田がクルーに茶を点てている。『全記録集・脚本集』のシナリオ決定稿には記載されていないが、『全記録集Vol.3』で「幻の茶道シーン」として設定画と絵コンテが掲載されている<ref name="全記録集3-282、283">『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.3』P282、283。</ref>。設定監修は[[表千家]]の名取りでもあるむらかわが行っており、当人曰く「宇宙一正確なアニメでの茶道シーン」再現のため、作法や道具などに関して非常に詳細かつ丁寧な設定画が作成されていた<ref name="全記録集3-282、283"/>。
:: 本編で古代と玲が会話するシーンで映ったエレベーターホールのモニターの映像の紅葉と桜のうち紅葉のシーンは、本来このシーンでの展望室のモニターの映像だった<ref name="オーコメ"/><ref name="inなんば"/>。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
 
== 公開・反響 ==
12月6日に公開。当日[[新宿ピカデリー]]で舞台挨拶が行われたが、上記の通り主要制作スタッフは登壇せず、プロデューサーと声優のみ登壇した。
 
公開の2、3日前である12月3日、4日には、バンダイチャンネルにおいて、有料会員と無料会員を対象とした各日先着4000名まで(どちらか1日のみ)の無料オンライン試写が行われた<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/141121-2 バンダイチャンネルにて「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」インターネット先行上映会開催決定!]、YAMATO CREW、2014年11月21日</ref>。また、同日には本編の冒頭9分間の映像も公開された<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/141203 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」冒頭映像9分公開!!]、YAMATO CREW、2014年12月3日</ref>。
 
<!--最終興行収入は2.4億で終わってしまい、キネ旬{{要ページ番号|date=2015年8月}}には公開規模から残念な結果に終わったと書かれていた。(←何年何月号の何ページ?)
-->
2015年8月29日に[[鳥取県]][[米子市]]で実施された、第54回[[日本SF大会]]”米魂”の[[星雲賞]]でメディア部門を受賞した<ref>[http://animeanime.jp/article/2015/08/29/24707.html 星雲賞決定 日本長編部門に藤井太洋、メディア部門は「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」]、2015年8月29日閲覧。</ref>。
 
== BD / DVD版での修正 ==
上記の通り、BD・DVDにおいて大幅な作画のリテイクが行われた<ref name="ヤマトクルー150313"/><ref name="ニュースラウンジ2015410"/><ref name="マイナビ20150411"/>。修正カット数は600カット程度まで上り、全体の3分の1以上に至ったという<ref>[http://hobby.dengeki.com/news/73037/ 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVD発売前夜マトーク開催]、[[電撃ホビーマガジン|電撃ホビーウェブ]]、2015年5月29日</ref>。アニメスタッフがリテイク作業に追われるため、後述の[[#ピクチャードラマ|ピクチャードラマ]]を[[むらかわみちお]]が担当した<ref name="むらかわブログ2015411">[http://murakawamichio.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-21d7.html ピクチャードラマなるものは: 楽只堂]、2015年4月11日</ref>結果、[[宇宙戦艦ヤマト2199#むらかわみちお版|コミカライズ]]の連載が1回分中断することにもなった<ref>[http://murakawamichio.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-36df.html 今月は更新ないのです。: 楽只堂]、2015年3月24日</ref>。
 
また、エピローグにおいて、ヤマトとの交信が回復する直前に藤堂が語るヤマト発進後の経過日数に誤り<ref>「ヤマトが旅立って324日、人類滅亡まで41日」と語っているが、交信時より後の地球帰還日である12月8日から逆算したとしても、ヤマト発進以前のメ号作戦が行われていた1月17日(『宇宙戦艦ヤマト2199 COMPLETE WORKS-全記録集-Vol.1』P012より)となり、矛盾が生じる。</ref>があったが、総監督の出渕は「ちょうど藤堂役の[[小川真司]]の訃報があり、修正できなかった」と語っている<ref name="オーコメ"/>。
 
2015年[[4月10日]]、[[11日]]には、BD・DVDの完成を祝して、新宿ピカデリー・[[なんばパークス]]・[[MOVIX京都]]の三劇場でBD版の特別上映と主要制作スタッフが登壇する舞台挨拶が行われた<ref name="ヤマトクルー150313"/>。
 
== 主題歌 ==
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:: ヴァイオリン奏者は、歌詞のインパクトの強い本曲を、ボーカルなしでなおかつ弦楽器で表現できるアーティストということで、葉加瀬に声がかかった<ref name="中日スポーツ20141114"/>。葉加瀬自身も子供の頃にヤマトに夢中になった身であり、話が来た当初は信じられなかったという。演奏に当たっては、豪華なオーケストレーションにヴァイオリン1本の演奏で太刀打ちできるよう“一音入魂”で挑んだと述べている<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2014/11/14/185/ 映画『宇宙戦艦ヤマト2199』メインテーマに葉加瀬太郎「一音入魂で挑んだ」]、マイナビニュース、2014年11月14日</ref>。
:: 作曲は、葉加瀬たちが主旋律を作曲し、それを聴いた宮川が副旋律を作曲するという手順となった<ref>『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』BD初回限定盤特典ディスク収録の「劇伴収録風景」。</ref>。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; エンディングテーマ
:; 「Great Harmony 〜for yamato 2199」
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:: 本楽曲は、ヤマトシリーズにおいて宮川彬良が初の作曲を担当した主題歌でもある。元々『2199』への参加は、テーマ曲は担当しなくても良さそうということで引き受けていたが、本作においてついに作ることになった<ref name="アキバ総研20141201"/>。作曲の際には、作詞担当の吉元と詞の内容でキャッチボールを何度も繰り返したという<ref name="アキバ総研20141201"/>。
:: また、歌を担当する平原綾香は、父親である[[平原まこと]]が宮川泰のバンド「名匠宮川組」のコアメンバーだったことから、宮川彬良とともに"世代交代"という作品内容にも共通する事柄ということにより、西﨑彰司氏と音楽スタッフの意向で参加が決定した<ref name="アキバ総研20141201"/><ref name="マイナビ20141203"/>。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
; 挿入歌
:; 「わかれ」
404 ⟶ 416行目:
:: ドイツ民謡の「{{仮リンク|別れの歌|label=ムシデン|de|Muss i denn, muss i denn zum Städtele hinaus|preserve=1}}」。日本語訳詞は複数あるが、本作では岡本敏明訳の歌詞を使用しており、劇中では沖田曰く「再会を胸に別れゆく友を想うという歌」として紹介されている。劇中では沖田の私物のレコードとして登場し、演出的には古代やバーガーたちの信頼関係を端的に表現する意図で使われている。「ムシデン」の使用を提案したのは構成協力として参加していた高山文彦<ref name="方舟パンフP23"/>。
:: サントラには「わかれ-出港-」とのメドレーで収録。曲単体は、「宮川彬良 Presents『宇宙戦艦ヤマト2199』コンサート2015」において、S席チケットの特典である劇中のLPジャケットを再現したCDに収録された<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/150205 「宇宙戦艦ヤマト2199コンサート2015」2月8日(日)よりチケット一般発売!]、YAMATO CREW、2015年2月5日</ref>。
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照-->
 
== 特別番組 ==
409 ⟶ 422行目:
 
; 劇場公開記念!!『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』発進SP<ref>[http://yamato2199.net/info/news/423/ 特番決定!「劇場公開記念!!『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』発進SP」。中村繪里子・内田彩のコメントも到着!]、ニュース|宇宙戦艦ヤマト2199、2014年11月26日</ref>
: 『星巡る方舟』の最新映像や、スタッフへのインタビュー映像などを放映。YouTubeの松竹チャンネルでも公開された<ref>[http://yamato2199.net/info/news/527/ 劇場公開記念!!『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』発進SP 公式YouTubeでも公開!]、ニュース|宇宙戦艦ヤマト2199、2014年12月7日</ref>(2015年12月現在は非公開)。BD・DVDに特典映像として収録<ref name="特典映像">[http://yamato2199.net/about/goods_a.html グッズ情報|宇宙戦艦ヤマト2199]、2015年4月25日閲覧</ref>。
:{| class="wikitable" style="font-size:small;" border="1"
! 放送地域 !! 放送局 !! 放送日 !! 放送時間 !! 放送系列 !! 備考
443 ⟶ 456行目:
:
; これを観ないと2199は完結しない!「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」大ヒット航海中SP<ref>[http://yamatocrew.jp/crew/info/141213 『これを観ないと2199は完結しない!「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」大ヒット航海中SP』放送!!]、YAMATO CREW、2014年12月13日</ref>
: 『星巡る方舟』の見どころ紹介や、初日舞台挨拶の様子や舞台裏が放映された。放送後、YouTubeの松竹チャンネルでも公開された<ref>[http://yamato2199.net/info/news/580/ 『これを観ないと2199は完結しない!「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」大ヒット航海中SP』公式YouTubeにUPしました!]、ニュース|宇宙戦艦ヤマト2199、2014年12月24日</ref>(2015年12月現在は非公開)。BD初回限定盤の特典ディスクに収録<ref name="特典映像"/>。
:{| class="wikitable" style="font-size:small;" border="1"
! 放送地域 !! 放送局 !! 放送日 !! 放送時間 !! 放送系列
500 ⟶ 513行目:
 
== メディア展開 ==
[[豊田巧]]による公式ノベライズが2014年12月6日にマッグガーデンから発売(ISBN 978-4-8000-0394-2)。構成は「小説 宇宙戦艦ヤマト2199[下]」と同じ。アニメ版にある地球の描写はすべて省かれており、戦艦大和のエレベータの描写が異なっていたり、最終決戦が独自の展開になっていたりするなど、細部に小説オリジナルの表現がみられる。作品内で語られる七色星団海戦などの過去の出来事は、メルヒの設定を除き、同じ[[宇宙戦艦ヤマト2199#小説|小説版]]に準拠している。
 
== 影響・評価 ==
<!--最終興行収入は2.4億で終わってしまい、キネ旬{{要ページ番号|date=2015年8月}}には公開規模から残念な結果に終わったと書かれていた。(←何年何月号の何ページ?)
-->
2015年8月29日に[[鳥取県]][[米子市]]で実施された、第54回[[日本SF大会]]”米魂”の[[星雲賞]]でメディア部門を受賞した<ref>[http://animeanime.jp/article/2015/08/29/24707.html 星雲賞決定 日本長編部門に藤井太洋、メディア部門は「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」]、2015年8月29日閲覧。</ref>。
 
== 脚注 ==