「ジャガー・Mk1/Mk2」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
編集の要約なし
3行目:
 
== 概要 ==
第二次世界大戦後[[スポーツカー]]/[[グランツーリスモ]]及び大型[[セダン|サルーン]]のみを生産してきたジャガーが、新たな市場の開発のために1956年<ref name="worldcarguide12-165" />に送り出した小型[[セダン|サルーン]]が「2.4サルーン<ref name="worldcarguide12-165" />」であった。伝統の[[ジャガー・XKエンジン|XKエンジン]]をショートストローク化して採用した。2年後には[[ジャガー・XK140|XK140]]用の3,442ccエンジンを搭載した「3.4サルーン」が追加され、いずれも高い人気を博した。[[1959年]]にはモデルチェンジ版としてMk2が登場、そこからそれまでの2.4サルーン/3.4サルーンは便宜上Mk1と呼ばれることになった。Mk2は上記2タイプに[[ジャガー・Eタイプ|Eタイプ]]用の3,781ccエンジンを搭載した「3.8サルーン」が追加され、高性能スポーツサルーンとしてこちらも高い人気を持って市場に迎えられた。[[1967年]]から3,781ccモデルは廃止されて各部の装備が簡略化された240/340というモデルに切り替わり、最終的には[[1969年]]まで生産された。
 
なお、ジャガーではフルサイズのサルーンの名称はローマ数字で表し、小型サルーンの名称はアラビア数字で表すという区別をしていた<ref name="worldcarguide12-71">『ワールド・カー・ガイド12ジャガー』pp.71-96「スモールジャガーとEタイプの発表」。</ref>。
 
=== Mk1 ===
[[ファイル:MHV Jaguar 2.4 1955 01.jpg|250px|right|thumb|ジャガー・2.4リッタートル(Mk1)]]
1955年10月に発表<ref name="worldcarguide12-71" />された2.4サルーンは、ジャガーとして初めて[[モノコック]]ボディを採用した<ref name="worldcarguide12-71" />自動車である。強度を保つために窓枠が非常に太く、ここが後に登場するMk2との最も大きな識別点となっている。
 
3,442ccの[[ジャガー・XKエンジン|XKエンジン]]<ref name="worldcarguide12-165" />の行程ボアφ83.0mm切り詰めて<ref name="worldcarguide12-16571" />×ストローク76内径φ83.5mm0mm<ref name="worldcarguide12-165" />とストロークを切り詰めて×行程76.5mm<ref name="worldcarguide12-71165" />排気量2,483cc<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />とし圧縮比は8.0<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />、[[ソレックス]]<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />のダウンドラフト<ref name="worldcarguide12-165" />ツイン<ref name="worldcarguide12-165" />[[キャブレター]]を組み合わせ、で112hp/5,750rpm<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />、19.4kgm/2,000rpm<ref name="worldcarguide12-165" />を発揮した。
 
[[トランスミッション]]はそれまで社内で用いられてきた4速[[マニュアルトランスミッション|MT]]を搭載し、オプションで機械式オーバードライブを選択できた。
 
ボディはそれぞれ[[ジャガー・マークVII/VIII/IX|マークVII]]との比較で400mm短い<ref name="worldcarguide12-71" />全長4,590mm<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />、150mm狭い<ref name="worldcarguide12-71" />全幅1,700mm<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />、140mm<ref name="worldcarguide12-71" />低い全高1,460mm<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />。300mm近く短い<ref name="worldcarguide12-71" />ホイールベース2,730mm<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />と小型である。車両重量も1,270kg<ref name="worldcarguide12-165" />に抑えられた<ref name="worldcarguide12-71" />。
 
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン+トーションバー<ref name="worldcarguide12-165" />、リアはトレーリングリンク+ラディアスアーム+リーフスプリング<ref name="worldcarguide12-165" />。フロントトレッド1,390mm<ref name="worldcarguide12-165" />よりリアトレッドが1,270mmと狭い、珍しい構造であった。
 
内装はそれまでのジャガー車に劣らぬ豪華な内容となっており、レザーシートとウッドパネルの空間が広がっている。
 
ブレーキはドラムだがディスクを選択できた<ref name="worldcarguide12-165" />。
 
SE仕様が用意され、この後「リーピング・ジャガー」と呼ばれ親しまれるようになったジャガーのマスコットが含まれていた<ref name="worldcarguide12-71" />。
 
1957年<ref name="worldcarguide12-165" />、3.4サルーンがデビューした。XK140用の[[直列6気筒]]<ref name="worldcarguide12-165" />[[DOHC]]<ref name="worldcarguide12-165" />、ボア内径φ83.0mm×ストローク行程106.0mm<ref name="worldcarguide12-165" />、3,442cc<ref name="worldcarguide12-165" />エンジンを採用。[[スキナーズ・ユニオン|SU]]<ref name="worldcarguide12-165" />キャブレターを2基<ref name="worldcarguide12-165" />搭載し、210hp<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />/5,500rpm<ref name="worldcarguide12-165" />を発揮した。車両重量は1,422kg<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />に増大してはいたが最高速度193km/h<ref name="worldcarguide12-71" />などを実現し、高性能スポーツセダンとして認められた<ref name="worldcarguide12-71" />。このモデルから[[トランスミッション]]に3速[[オートマチックトランスミッション|AT]]が選べるようになり<ref name="worldcarguide12-71" />、1958年<ref name="worldcarguide12-71" />から2.4サルーンでも選択可能となった。ダッシュボード上に設置された小さなシフトセレクターでギアを操作できるようになっていたため、ATモデルはMTモデルと違い、フロントシートがベンチシートになっていた。また、3.4サルーンの登場に伴い<ref name="worldcarguide12-71" />フロントサスペンションが強化され<ref name="worldcarguide12-71" />、フロントに[[ディスクブレーキ]]を選択できるようになり<ref name="worldcarguide12-71" />、ラジエーターが大型化された<ref name="worldcarguide12-71" />。その高い戦闘能力から[[ラリー]]などのレースでも使用されるようになっていった。
 
=== Mk2 ===
1959年<ref name="worldcarguide12-165" />10月<ref name="worldcarguide12-71" />に登場したMk2はもちろんMk1の改良版であるが、ほとんど変わらない外見と異なり、メカニズム的には大きな進歩を遂げており、当時の世界の小型セダン市場に大きな衝撃を与えた。
外装では、クロームメッキを施した細いウィンドウサッシュおよびリアタイヤを覆うスパッツ、バンパーのオーバーライダーが最も変わった点である。窓枠が細くなって横窓の面積が増え、後窓も拡大されたため、室内はより開放感が生まれ、実際に明るくなった。シート及び[[ダッシュボード]]のデザインは見直され、メッキパーツの点数も増やされたため、より豪華に洗練されて生まれ変わっている。
 
車両重量は2.4サルーンで1,447kg<ref name="worldcarguide12-165" />。
 
メカニズムとしては、それまでのエンジンラインナップに加え、[[ジャガー・マークVII/VIII/IX|ジャガー・マークIX]]に搭載されていた3,781ccXKエンジンを追加した点が大きい。圧縮比は8.0<ref name="worldcarguide12-71" />で、[[スキナーズ・ユニオン|SU]]ツインキャブレターとの組み合わせから220hp<ref name="worldcarguide12-71" />/5,500rpmを発揮した。車両重量はやや増えたが1,524kg<ref name="worldcarguide12-71" />に納まり、これにより0-60mph加速8.8秒<ref name="worldcarguide12-71" />を実現、最高速度は201km/hに達した<ref name="worldcarguide12-71" />。3.4サルーンのエンジンは従来通り<ref name="worldcarguide12-71" />であったが、2.4サルーンのエンジンは8hpアップの120hp<ref name="worldcarguide12-71" /><ref name="worldcarguide12-165" />/5,500rpm<ref name="worldcarguide12-165" />、19.9kgm/2,000rpm<ref name="worldcarguide12-165" />となった。
 
[[トランスミッション]]は下位モデルと同様4速MT(オーバードライブあり<ref name="worldcarguide12-165" />/なし)及び3速ATが選べた。
 
3.8サルーンに四輪ディスクブレーキが標準装備<ref name="worldcarguide12-165" />され、2.4サルーンと3.4サルーンでもオプションで選択可能となった<ref name="worldcarguide12-165" />。
 
足廻りではリアトレッドが83mm広げられ、より安定性が増した。
52行目:
1967年までにジャガーの経営は圧迫され始め、車種整理の必要に迫られた。そこで登場したのがMk2の改良版である240/340である。
 
各部にコストダウンの跡が認められるものの、メカニズム的には進化している。エンジンは3.8リッタートルがラインナップから落とされたが、ヘッド形状の見直しによってパフォーマンスは向上した。特に2.4リッタートルモデルの240ではキャブレターもSU製のものに換えられたため、最高出力は133hp/5,500rpmと飛躍的に向上している。3.4モデルの340も、出力こそ210hp/5,500rpm<ref name="worldcarguide12-165" />、29.7kgm/3,000rpm<ref name="worldcarguide12-165" />と変わらないものの、加速は0-50mph(0-80km/h)で9秒から6.9秒と、こちらも飛躍的に向上している。
 
外見上では、細くなったバンパーとホイールキャップのデザインが最も大きな変更点である。内装ではレザーの代わりにビニールが用いられるようになった。
72行目:
 
== 参考文献 ==
*『ワールド・カー・ガイド12ジャガー』[[ネコ・パブリッシング]] ISBN 4-87366-105-6
{{デフォルトソート:しやかあMk1/Mk2}}
[[Category:セダン]]