「ボルスタアンカー」の版間の差分

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前者はおもに[[気動車]]で1台車2軸駆動を行う場合に採用される。気動車では[[内燃機関|エンジン]]や[[トルクコンバータ]]を車体に装備し、台車へは[[ドライブシャフト|推進軸]]により駆動力を伝える。このとき、エンジン寄りの1軸のみを駆動する場合は問題とならないが、1台車の2軸両方を駆動する場合は、輪軸間にも推進軸あるいは平歯車による動力伝達装置が必要となり、それらが枕梁と干渉し台車の部材配置が困難となる場合がある。このような場合には、心皿や枕梁を持たない仮想心皿方式が有利となる。
[[画像:JNR ED76-500 Truck DT129 20071019 001.jpg|200px|thumb|写真3-4 仮想心皿方式による台車]]
もうひとつは、特に列車牽き出し時等に軸重補償を必要とする車両用の台車である。輪軸に作用する軸重は車両の粘着力に影響し、適切な軸重は空転を防止するために必要である。しかし、軸重は走行路線の[[線形 (路線)#勾配|勾配]]や車両の引張力の影響により、他の輪軸に移動する性質がある。とりわけ急勾配で大きな引張力を必要とする[[機関車]]では、軸重の移動による影響が大きい。これに対し、仮想心皿方式を採用しボルスタアンカーや引張棒を低い位置に配置することで、軸重の移動を防止することができる。
 
もうひとつは、特に列車の引き出し時等での軸重補償を必要とする車両用の台車である。これは、列車の引き出し時において、電動機が始動して車輪が回転を始めると、その反力により台車が進行方向に対して後方に傾こうとする回転モーメントが発生して、前方の車輪の軸重が小さくなり、後方の車輪の軸重が大きくなる。車輪とレールの粘着は軸重に比例するため、前方の車輪では空転と呼ばれる空周りが発生する恐れがあり、空転が発生すると牽引力がほぼ0となり、列車を引き出すことができなくなる。また、軸重は走行路線の[[線形 (路線)#勾配|勾配]]の影響により、他の輪軸に移動する性質もあり、適切な軸重は空転を防止するために必要である。大きな引張力を必要とする[[機関車]]では、軸重の移動による影響が大きく、その対策として、旧型電気機関車では、重量がある頑丈な大型の3軸台車とし、台車同士を連結棒で連結する方式を採用しており、[[国鉄EF60形電気機関車|EF60形]]以降の電気機関車では、[[国鉄EF30形電気機関車|EF30形]]と[[国鉄EF80形電気機関車|EF80形]]に1台車につき1つの電動機を搭載して、片側の車軸で発生した反力をもう片側の車軸で相殺する1台車1モーター方式を採用している。牽引力の反力による台車の回転モーメントは、牽引力の伝達点がレール面に近ければ小さくなり、レール面では0となるため、仮想心皿方式では、車体下部の台枠と台車枠を繋ぐボルスタアンカーや引張棒をレール面に極力近い位置に配置して、牽引力の伝達点の高さをレール面に近けることで軸重の移動を防止することができるとともに、さらなる牽引力の向上を図っている<ref name="鉄道のテクノロジー アーカイブス_34-35"/>。
写真3-4に仮想心皿方式による勾配線区用機関車の台車事例を示す。これはジャックマン方式と呼ばれるもので、ボルスタアンカーに相当する引張棒が車体(写真右側)と枕バネ直下を低い位置で結んでいる。枕バネの直下にはクランクピンが設けられており台車を回転させる機構を有するとともに、引張棒は低い位置で軸箱を経由しており台車に対する力点を下げることで軸重を補償する構造となっている。<br/ style="clear:both;">
 
写真3-4に仮想心皿方式による勾配線区用機関車の台車事例を示す。これはジャックマン方式と呼ばれるもので、ボルスタアンカーに相当する引張棒が車体下部の台枠(写真右側)と枕バネ直下の間軸箱の下を経由して低い位置で結んでいる。枕バネの直下にはクランクピンが設けられており台車を回転させる機構を有するとともに、引張棒は低い位置で軸箱を経由しており台車に対すおけ牽引の伝達点を下げることで、台車の回転モーメントと軸重の移動補償する構造となっ抑制している。<br/ style="clear:both;">
 
=== トラニオン ===
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<ref name="鉄道車両技術入門_12">[[#鉄道車両技術入門|鉄道車両技術入門 p.12]]</ref>
<ref name="鉄道車両技術入門_15">[[#鉄道車両技術入門|鉄道車両技術入門 p.15]]</ref>
<ref name="鉄道のテクノロジー アーカイブス_34-35">[[#鉄道のテクノロジー アーカイブスVol2|鉄道のテクノロジー アーカイブスVol2 pp.34-35]]</ref>
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