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=== Fc領域とFab領域 ===
"Y"字の下半分の縦棒部分にあたる場所を'''Fc領域''' (Fragment{{lang-en-short|fragment, crystallizable}}) と呼ぶ。左右2つの重鎖からなる。白血球やマクロファージなどの[[食細胞]]はこのFc領域と結合できる[[受容体]](Fc受容体)を持っており、このFc受容体を介して抗原と結合した抗体を認識して抗原を貪食する([[オプソニン作用]])。その他Fc領域は、補体の活性化や抗体依存性細胞傷害作用など、免疫反応の媒介となる。このようにFc領域は抗体が抗原に結合した後の反応を惹起する「エフェクター機能」をもつ。免疫グロブリンのエフェクター機能は、免疫グロブリンの種類(アイソタイプ)によって異なる。
 
"Y"字の上半分の "V"字の部分を'''Fab領域''' (Fragment{{lang-en-short|fragment, antigen binding}}) と呼ぶ。この2つのFab領域の先端の部分で抗原と結合する。2本の軽鎖と2本の重鎖からなる。重鎖のFab領域とFc領域はヒンジ部でつながっている。左右の重鎖はこのヒンジ部がジスルフィド結合している。[[パパイヤ]]に含まれるタンパク分解酵素[[パパイン]]はこのヒンジ部を分解して、2つのFabと1つのFc領域に切断する<ref>Porter RR. "The hydrolysis of rabbit γ-globulin and antibodies with crystalline papain." ''Biochemical Journal'', 73, 1959, p.p. 119-127. PMID 14434282</ref>。またタンパク分解酵素の[[ペプシン]]はヒンジ部のジスルフィド結合のFc側で切断し、大きなFabが2個くっついたF(ab')<sub>2</sub>を1つと、多数の小さなFc断片を生成する<ref>Nisonoff A, Wissler FC, Lipman LN, Woernley DL. "Separation of univalent fragments from the bivalent rabbit antibody molecule by reduction of disulfide bonds." ''Archives of biochemistry and biophysics'', 89, 1960, p.p. 230-44. PMID 14427334</ref>。Fc断片のうち、C<sub>H</sub>3領域に相当する最も大きな断片はpFc'と呼ばれる。F(ab')<sub>2</sub>は、ジスルフィド結合部を含むため、Fabよりも構造が大きいため、Fabと区別するため ab' としている。このF(ab')<sub>2</sub>は抗原に結合するが、Fc領域を持たないためその後の免疫反応を引き起こさない。このことを利用して抗原の標識に用いられる。
 
[[Image:Immunoglobulin_basic_unit.svg|300px|thumb|left|'''免疫グロブリンの基本構造'''<br />