「トランスミッション」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎自動車等: ホンダマチック(フル/セミ)・T型フォードに対応した追記、etc.
8行目:
 
== 自動車等 ==
[[自動車]]や[[オートバイ]]などでは[[原動機]]の出力を駆動輪に伝達する過程において、適切なトルクと回転速度に変速するためにトランスミッションが利用される。無回転時にトルクを発生しない一般的な容積型[[内燃機関]]を原動機とする場合、回転速度を低くしすぎると発進時や低速走行時にはエンジンがストールする場合もある。トランスミッションは原動機の回転速度を減速すると同時にトルクを増幅する。車両へ搭載は一般的にエンジンとの間にクラッチやトルクコンバーターなどのスターティングデバイスを介して接続される。
 
自動車などのトランスミッションの種別は、手動で変速比を切り替える[[マニュアルトランスミッション]] (MT)や自動的に変速比が切り替わる[[オートマチックトランスミッション]] (AT)に分類される。またオートマチックトランスミッションの内で、[[クラッチ]]操作のみを自動化した[[セミオートマチックトランスミッション]]を別に分類する場合がある。ATの変速方式の1つとして、無段階で変速比を変化させる[[無段変速機]](CVT)を採用する車種や、奇数段と偶数段で別々に2つの自動制御クラッチを有する[[デュアルクラッチトランスミッション]] (DCT)を採用する車種もある。
14行目:
=== マニュアルトランスミッション (MT) ===
{{main|マニュアルトランスミッション}}
減速比の切り替えやその際に必要となるクラッチの断続など、変速時の全ての操作を操縦者が行うトランスミッションである。多くの場合、複数の歯数の異なる歯車の組合せによりの内から適切なものを選び機の出力を希望する回転数やトルクに変換して伝達する。多くの場合、歯数の異なる段(ギア)に変速する際に動力の伝達を一旦途切れさせるため、[[クラッチ]]機構が備わっている。また、内蔵された数本のシャフトの回転差を同調させ、変速をスムーズに行う為の[[シンクロメッシュ]]が各段の歯車に備えられている。
 
自動車用の変速機としては最も基本古典的な機構で、自動車の普及とともに広く採用されてきた。しかし、操作の煩わしさなどから一部の用途を除いて需要が減り、採用車種も減少した。{{要出典範囲|date=2015年2月|例えば日本では、2007年度の乗用車の新車販売台数におけるシェアは3%未満であった}}。日本では「'''マニュアル'''」や「'''MT'''」と略されることが多い。
 
MTの一種であるが、自動車用として広く普及しているシンクロメッシュ式MTと異なり、ギアセレクターと歯車の間の同調を取るためのシンクロナイザーを持たない形式を [[ノンシンクロトランスミッション]]と呼ぶ。日本では「'''ドグミッション'''」と称される場合もある。[[オートバイ]]のMTで一般的に採用されているほか、競技用車両の一部で採用されている。かつては一般の自動車用としても広く採用された。ローギアなどの一部をノンシンクロとして、ほかの段をシンクロメッシュ式とした車種もあり、これに対してすべての段でシンクロメッシュを採用したトランスミッションは'''フルシンクロ'''と呼ばれていた。
24行目:
=== オートマチックトランスミッション (AT) ===
{{main|オートマチックトランスミッション}}
クラッチ操作と変速操作を自動化して運転操作を簡略化したトランスミッションである。日本では'''オートマ'''や'''AT'''と略されることが多い。古くから採用され広く普及している方式は、[[流体継手]]の一種である[[トルクコンバーター]](トルコン)によってエンジンと接続され、[[遊星歯車機構]]で変速を行う機構を組み合わせた方式である。このほかに、摩擦クラッチによってエンジンと接続される方式や、ベルトとプーリーで変速を行う方式、上述のMTで多く利用されるギヤ列の組み合わせを自動選択して変速する方式などがある<ref>{{cite web|url=http://www.honda.co.jp/factbook/pi-civic/trans.htm|title=TRASMISSION|publisher=本田技研工業株式会社|accessdate=2015-02-20}}</ref>。
 
ベルトまたはチェーンとプーリー、あるいは円盤と円錐状のローラーを組み合わせて[[歯車比|減速比]]を無段階に連続変化させるトランスミッションは[[無段変速機]]({{lang-en-short|Continuously Variable Transmission, CVT}})と呼ばれる。変速時のクラッチ断接や歯車の切り替えで生じる出力軸のトルク変動が小さく、きめ細かな減速比を実現できることからエンジンの効率が高い回転域を多用でき、燃費の面でも利点がある。一方で、2005年頃からは幅広い回転域で効率よく稼働するエンジンが増えてきたことにより、CVTの優位性は薄れてきているとする技術者もいる<ref>WEBCG掲載のVW社DSG開発エンジニアインタビュー記事参照[http://www.webcg.net/WEBCG/essays/ozawa_koji/e0000018848.html?word=%A5%B4%A5%EB%A5%D5%A1%A1GTI] </ref>。
 
奇数段と偶数段で歯車を支持する入力軸(インプットシャフト)を別に持ち、それぞれにクラッチを配置して変速操作と同時に2つのクラッチを同時に繋ぎ替えるものは、[[デュアルクラッチトランスミッション]](DCT)あるいは'''ツインクラッチトランスミッション'''と呼ばれる。市販車には[[2003年]]に初めて搭載され、高級車から次第に普及価格帯の車種へと普及が進んでおり、小型トラックでも採用されている。
 
オートマチックトランスミッションの機構と制御のまま、ギヤの選択を運転者が任意で選択することもできるスイッチを備えたものを'''マニュマチック''' ([[:en:Manumatic|Manumatic]])と呼ぶ場合がある。上述のCVTを基にした物も存在する。日本では「'''MTモード付きAT'''」や「'''スポーツAT'''」と称されることが多い。[[1990年代]]に、従来のATにスポーツ性を付加する目的で登場した。“Manumatic”は英語圏における“Manual”と“Automatic”の[[かばん語|混成語]]である。
 
==== セミオートマチックトランスミッション (セミAT) ====
{{main|セミオートマチックトランスミッション}}
変速操作を自動化せずにクラッチ操作のみを自動化したトランスミッションである。機構ではなく制御範囲による分類であるが、変速を自動的に行うモードを持つ上述のマニュマチックと、セミオートマチックATとが混同されることも多い。
 
'''ロボタイズドマニュアルトランスミッション'''({{lang-en-short|robotized manual transmission}})や'''オートメイテッドマニュアルトランスミッション'''({{lang-en-short|automated manual transmission, AMT}})などと称されることのがる。り、これ一般的なMTと同様の機構(摩擦クラッチでエンジンと接続され、シンクロメッシュギアを組み合わせた方式変速機構を持つ)で、操縦者のギヤ選択操作によりクラッチの断続を自動制御している。クラッチ操作のみを自動化した機構は他にも古くから自動車に採用された例があるが、制御技術の向上とアクチュエーターの小型化に伴い、多くは変速も自動的に行うモードを備えたフルATへと変化している。一方で、一般的なフルATと同様にトルクコンバーターあるいは遊星歯車変速機構を備えながらも、自動的な変速比の選択を行わないセミATもある。
 
== 脚注 ==