「政治的行為」の版間の差分

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==== 猿払事件 ====
ところが、その後、北海道宗谷郡猿払村の郵便局に勤務する郵政事務官が、1967年(昭和42年)の衆議院議員総選挙に際し、日本社会党を支持するポスターを掲示し又は配布したという事実で起訴された事件('''猿払事件''')があり、旭川地裁は、国家公務員法の政治的行為の制限規定を日本国憲法第21条第1項が保障する[[表現の自由]]との関係からはじめて検討した。そして、同地裁は、非管理職である現業公務員で、その職務内容が機械的労務の提供にとどまる者が、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、かつ職務を利用し若しくはその公正を害する意図なしに、かつ労働組合活動の一環として行われた人事院規則14-7第6項第13号の行為に刑事罰を加えることを定めている国家公務員法第110条第1項第19号は、被告人の当該行為に適用される限度において、行為に対する制裁としては合理的にして必要最小限度の域を超えるものであり、憲法21条、第31条(適正手続の保障。罪刑の均衡の趣旨も含むと解されている。)に違反する、として無罪判決を出した(1968年(昭和43年)3月25日判決)。この判決は法令の[[違憲審査基準]]としていわゆる'''LRA(less restrictive alternative)の基準'''を用いたものと評されている。旭川地裁判決の影響は大きく、その後、全国の裁判所に係属していた同種の事件につき、下級審で同法、同規則の規定を違憲と判断するか、あるいは同法、同規則を違憲とまでは判断しないものの、公務員の政治的行為に可罰的違法性がないなどとして、無罪とする事例が続出した。主要な事件としては、次のようなものがある。
 
* 徳島地裁1969年(昭和44年)3月27日判決(徳島郵便局事件第一審-'''無罪''')
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* 国家公務員法第102条第1項、人事院規則14-7は憲法第21条に違反しない。
* 同法第110条第1項第19号の罰則は憲法第21条、第31条に違反しない。
* 同法第102条第1項の人事院規則への委任は、憲法に違反する立法の委任とはいえない。
* その政治的行為が、たとえ非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であっても、同法第110条第1項第19号の違法性を失わせるものではなく、また、このような事件に同法、同規則を適用しても、憲法第21条、第31条に違反しない。
といった同法、同規則を全面的に合憲とするものであり、上記3事件の被告人らを逆転有罪とするものであった(ただし、いずれも11対4の多数意見)。